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防災インタビューVol.118

災害時に安全に家に帰るために

放送月:2015年7月
公開月:2016年2月

川村 丹美 氏

ニュートン・コンサルティング

家族の安全を確保すること

職場で災害にあったときに「どうしても家に帰りたい」という気持ちを思いとどまらせてくれるのは、家族の安全が確保できるという確信があることだと思います。そのためにも、家族の安全を確保するための方法について話をしたいと思います。

これは特にお子さんに関してですが、親しかできないことで、日ごろから子どもと接するときにいろいろなことを働きかけて「災害からどのように身を守るか」という知識を与えてあげることが重要です。お子さんが自分の身を自分で守ることができるように繰り返し、繰り返し、子どもに話をしてあげて、そういうお子さんになるように教育していっていただきたいと思っています。

地震とは関係ないのですが、私はずっとワーキングマザーでしたので、留守宅に子どもだけでいるということが多くありました。皆さん「オオカミと7匹の子ヤギ」というお話をご存じでしょうか。これは母親のヤギがいないときに、狼が子ヤギを食べにくるというお話です。狼はあの手この手を使って子ヤギにドアを開けさせようとするのです。私はどうもそれが脳裏にありまして、家のドアの子どもの目の高さのところに「宅配便屋さんが来ても開けちゃだめ、郵便屋さんが来ても開けちゃだめ、お巡りさんが来ても開けちゃダメ」と書いて貼っておきました。この人たちはお母さんに用があって来るから、君たちに用がないから「お母さんはいません」とだけ答えなさいと教えました。「何時に帰ってくるの?」と聞かれたら「分かりません」と言いなさいと。なぜ時間を言ってはいけないかというと、「7時まで帰ってきません」と答えたら「この家は7時まで子どもだけだということが分かってしまうので、教えてはだめだよ」と理由も添えて、何度も小学生の頃から言って聞かせていました。子どもたちはちゃんと言いつけを守ってくれて、宅配便屋さんが来ても、宅配便の人には申し訳ないのですが、ドアを開けずにまた来ていただくということをやっていました。そういった形で子どもが自分の身を守れるような働きかけを親がするということが大事だと思います。

よく小学校に、壁に「お・か・し・も」と書いてある貼り紙があります。おかしもの「お」は押さない、「か」は駆けださない、「し」はしゃべらない、「も」は戻らない。これが避難の時のルールとして、小学校の壁に書いてあります。これは非常に大事なことで、避難する基本を全部揃えています。押すとやはりけがをしますし、駆けだしてもやはり転んでしまってけがをする、もしくはパニックになってしまう。それからしゃべったりすると先生の指示が聞こえない。そして荷物を取りに戻ると崩れてきた建物の下敷きになってしまったり、いろんな災害が起きてしまいますので、こういったことが大事だよということを子どもに教えているのです。これは学校の避難の時の例ですが、こういった形で子どもにどういうことが危ないのか、どうして危ないのかということをしっかり教えていけば、子どもでも十分自分の身を守れると思います。親のほうも工夫をしながら、たとえ小さい子どもに対してでも繰り返し、繰り返し、教えてあげれば分かってくれますので、そういう努力をしてもらいたいと思います。

子どもの安全の確保

子どもだけで家で過ごす際、子どもの身の安全の確保をするためには、子どもの危険センサーを育てることが必要です。例えば地震が発生したときに「何が危ないのか」をちゃんと教えてあげてほしいのです。大人ならば、家具が倒れてくるとか、ガラスが飛んでくるというのは分かると思いますが、子どもはそこまではなかなか分かりません。多分地震が起きたら机の下に隠れなさいというふうに教えていると思いますが、ただ意味もなく机の下に隠れているだけでは子どもには理由が分からないわけです。そこで「大きな家具が倒れてくるかもしれないから机の下にもぐって自分の体を守りなさい」「ガラスが飛んでくるかもしれないから、ガラスのあるそばには行っちゃだめよ」というふうに、理由を添えて教えてあげてもらいたいと思います。こういうことがとっさの場合の子どもの行動につながって、何かあったときに自分から危険な所に行かないようにする行動をとってくれるのではないかと思います。

私は子どもにガスの臭いを嗅がせたことがあるのですが、皆さんは嗅がせたことはあるでしょうか? ガスは本来は臭いはないのですが、漏れていることが分かるようにわざと臭いをつけてあるそうです。そこで、私は子どもにガスの臭いを嗅がせて「地震が起きた時に、家が大丈夫だったら家にいてもかまわない。でもこの臭いがしたら、自分で何かしようとせずに、大きな声で周りの人に知らせに行きなさい」というふうに教えていました。ガス漏れが起きたときの対応は、子どもにはなかなか難しいので、やはりそこは大人に任せたほうがいいですし、ガス漏れが起きていることを周りの人に伝えないと、もしかしたら大変な事故になるかもしれないので、ガスについてはそういう行動をとるようにと教育をしてきました。その他、例えば「トイレが使えなくなるかもしれないけれど、その時はお風呂の水を使って流してね」とか、「子どもだけでいる時は火を使わないでね」ということを教えて、代わりにここに懐中電灯があるからロウソクは使わずにこれを使うようにということを教えました。また、困った時は近所の人にも頼れるように、心の準備をしていくことも大切ですし、周りの人ともうまく助け合いながら行動するということも子どもに教えてあげてほしいと思っています。

それからもう一つ私は子どもに「もしも避難をするんだったら、学校に行って、学校単位で避難してね」と言っていました。そうすれば、「○○小学校は今ここにいますよ」ということが追跡する手掛かりになると思いました。このようなことが子どもにちゃんと分かっていて、自分がいなくても危険な行動はしないと分かっていれば、いざというときにもし一緒にいられなくても、だいぶ安心ができると思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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