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防災インタビューVol.119

災害シミュレーションによる災害への備え

放送月:2015年8月
公開月:2016年3月

木村 正清 氏

NTTラーニング

災害イマジネーション力

災害に備えるということで大切なのが「災害イマジネーション力」を付けることです。この「災害イマジネーション力」という言葉そのものは、私の恩師にもあたる東京大学の目黒先生が考えられたものです。そして、災害イマジネーション力を養成するために目黒先生が考案されたのが「目黒巻」「目黒メソッド」という考え方です。

人は、いざ地震が起こった、津波が起こったという状況に置かれると、途端に動けなくなってしまいます。それはつまるところ、置かれている状況からこの後どうなるのかということが考えられないからなので、ある一定の状況下で「この後どんなことが起こってくるんだろう?」と考えて、例えば10秒後、30秒後、あるいは1分後はどうなっているかを考えることが必要です。そして、3分後、5分後、どんな状況が起こってくるだろうということを想定できないと、なかなか適切に対応できないものです。普段の自分の日常生活において「いざ津波が起こったら」「いざ地震が起こったら」というシナリオを書き込んでいきます。そのシナリオに基づいて「自分の普段の行動から、どう具体的にその後行動していくか」というのを記述していきます。これは5分後、30分後、1時間後、3時間後とずっと続いていくと、だんだんと巻物のようになってきます。このクルクル巻いて書かれたものが「目黒巻」と言われています。人というのは、意外と考えていないものですので、「その状況に置かれて自分がどうするんだろう?」ということを、当事者意識を持って考えていくことが重要です。一人一人がこのように考えることで、災害時イマジネーション力を養成していただくことが必要になってくると思います。

「DIG」による演習

自治体の自主防災組織のリーダー向けにわれわれのほうでプログラムを提供していますが、その中でDIG(災害イマジネーションゲーム)という演習をやっています。これは実際に皆さんにやってもらうと、なかなか書けないことがあります。「自分が住んでいる所からどこへ避難したらいいか」というような質問をあびせかけられるのですが、その時になかなか普段自分が行ったことがないところだと、どこを通ったらいいのかなかなか分かりません。仮に指定されている避難所へ移動することになって、「それって一体どれぐらい時間がかかりますか?」と質問されると、「えーと」と困ったりします。そういうふうにいざというときのことを想定して、実際に地図を使ってやる演習ですが、これを通してみんなに考えてもらいます。津波でも1.5mの津波もあれば5mの津波だってあるわけですので、当然浸水区域も変わってきます。1.5mの津波に対応する避難路と、5mの津波に対応する避難路とは、当然変わってくるはずです。そういったことを具体的に「いざ災害が起こったときには、自分たちはどう行動するだろうか?」というのを考えていただく、このような演習を続けていくと、災害イマジネーション力はおのずと上がってくると思います。

当事者意識を持った防災計画

昨年、いざというときに災害にどう備えたらいいかが書かれた「災害対策基本法」という法律が変わりました。今までは「地域防災計画」という自治体が作っていた計画があったのですが、この法律が改正されたことによって、いざ災害が起こったら、自主防災組織がどういうふうに対応するかという「地区防災計画」を自治体の地域防災計画の中に織り込むことが可能になりました。これまで以上に、自主防災組織が実際に災害の際にどう活動していくかということが、非常に重要になってくるのかと思います。その中で一番大切なことは、やはり地域に住む方々が、いざというときに自分たちでどういうふうにそれに対応していくかということについて、当事者意識と参画意欲を持って、自らのこととして考えていくということです。そうすれば、いざというときに実効性が高いと思います。こういったことを地域の中で広めていき、地区防災計画のモデルを順次作って、その良いモデルを伝播していって、より良い防災計画、地区防災計画というものを各地域で作っていけば、全体的な防災力というか災害体力が上がってくるのではないかと思います。この中で初動対応マニュアルや、防災マニュアルということも含めて対応していっていただけると、まさに地域の防災や減災活動に非常にいい効果をもたらすことができるのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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