1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. 災害時に役立つ マンションのコミュニティの形成のために
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.125

災害時に役立つ マンションのコミュニティの形成のために

放送月:2016年2月
公開月:2016年9月

村田 明子 氏

清水建設技術研究所 社会システム技術センター

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

仙台のマンションの事例

仙台のあるマンションでは、災害対策本部の他に、居住者の避難誘導や安否確認といったこともされていました。このマンションでは、大規模な地震が起こったら全員で避難しようということを決めており、近所の避難所に誘導したそうです。また、居住者の安否確認をしていたマンションも結構ありました。ただ、安否確認といっても、留守の居住者もいますので、全部確認するのには人海戦術でたくさんの人手も必要で非常に時間がかかったということです。中に人が居るか居ないのか、家の中で閉じ込められているのか、留守なのかというのが、非常に分かりづらいです。実はあるマンションでは、閉じ込めが起こっていたことにたまたま気付いたという事例もありました。このマンションでは、全員で避難をしたのですが、避難後、夜マンションのほうを眺めたら1軒のお家で懐中電灯を振り回して助けを求めている明かりが見えたそうです。それで駆けつけてみると、中でけがをされた高齢の方がいて、家具が倒れてなかなか自分ひとりで避難できなかったということもありました。そういったことを考えると、やはり安否確認は必要かと思います。

在宅避難のために必要なこと

実際に、在宅避難となると、いろいろな問題が出てきます。まずひとつは、食事の問題、炊き出しです。公的な避難所に入れない場合、マンションの1階や共用部分において、ちょっと寝泊まりできるような準避難所となる場所を設ける必要が出てきますが、調理のためのスタッフがいるわけではありません。居住者が当番で順番にやることにしても、調理のための台所もありませんので、ロビーなどに長机を並べて料理したり、それぞれのお宅のカセットコンロや鍋を持って来て、材料も皆さんのお宅の冷蔵庫の中にある、腐ってしまって食べられなくなりそうな肉や野菜を持ち寄って食べたそうです。また、高層階に住んでいるお年寄りのご夫婦などが、地震がまた来たら不安だということで、1階やロビーなどに何人も滞在されたという事例もあったようです。このような高層階の方が下で暮らすということは、首都圏のマンションでも考えておかなければならないと思います。

大地震の後の在宅避難に際しては、停電や断水など、ライフラインが止まった中で、どのようにライフラインの機能を維持していくのかが問題になってきます。特に大事なのが水の問題ですが、水槽がある場合は水栓を止めて計画的に水の取り出し口を用意しておいて、計画給水をしていたところもありますし、排水管が壊れたときには順番で排水するというルールを設けていたところもありました。その他に、情報の共有、エレベーターが止まった中で高層階への運搬をどうするか、停電時の共有部分の照明など、さまざまな問題に対しても、みんなでアイディアを出しつつ考えた結果として、対処しているところも多くありました。実際に、このように素晴らしい取り組みをしているところがあったことに、私自身も驚きました。

ライフラインの維持 ~情報の共有~

ライフラインの機能の維持のひとつに情報共有が挙げられますが、館内放送設備があるマンションはあまりないと思います。停電になってしまいますと、インターホンも使えなくなりますし、非常放送設備がないので、大事な情報をみんなに伝える方法について困っていたところもあったようです。もちろん掲示板に情報を掲示はするのですが、みんなが一斉に見るわけではないので、例えば「今から断水になります」というような情報を一斉に流すことができません。ハンドマイクなどを使ってはいても、室内までは聞こえづらいということもあります。あるマンションではインターネットが活用できるということで、一軒一軒、アンケートを取って、メールアドレスを集めて、無料のメーリングリストを作成して、情報を送信していたところもあったそうです。災害時に無料メーリングリストを使うというのは、思いがけない発想で、私も話を聞いてびっくりしましたが、とても良いアイディアです。

その他、高層階への荷物の運搬についても、60代ぐらいの元気なシニアの方がよりお年寄りの70代、80代の方のために、階段を上り下りして水を運搬したという話も伺っています。また、夜遅く帰ってくる方が停電で真っ暗な中でも自宅に戻れるように、共用部分にポータブル発電機と投光器を設置しているマンションもありました。

東日本大震災の時には、首都圏でも半日、仙台では2日から4日ぐらい停電していた所もありましたが、非常用発電機があるようなマンションでは、停電になると自動的に作動してしまって、昼間にもかかわらず、照明が3時間も点灯していたことがあったそうです。このような非常用発電設備のあるマンションでは、昼間に停電になったときに照明がついて、電気が勝手に無駄に使われてしまうので、そういったことも配慮されたらいいかと思います。

水についても、給水ポンプが停電になると作動しなくなり、高層階まで上げられなくなって水が出なくなることもありますし、最近は受水槽がないマンションなどもありますが、地域の断水がなければ逆に水は使える場合もあるのかなと思います。井戸があるマンションでは、停電でも井戸が動くように自家発電設備の電力を供給して井戸から水がポンプアップできるような改修工事をするという話も聞いたことがあります。

そして、一番心配なのはやはり下水の問題です。トイレが使えなくなって、浦安のマンションなどはやはり非常に困ったということです。このトイレの問題ですが、水がなくて流せないというのもあるのですが、排水管自体の傾きがフラットになってしまって流れなくなるという所もありましたし、排水管が壊れてしまって、一度に排水するとあふれだしてしまう心配があるという所もありました。トイレの問題は、本当に皆さん困ると思いますので、簡易トイレ、ポータブルトイレのようなものを、皆さんきちんと準備しておくことが必要だと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。