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防災インタビューVol.125

災害時に役立つ マンションのコミュニティの形成のために

放送月:2016年2月
公開月:2016年9月

村田 明子 氏

清水建設技術研究所 社会システム技術センター

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

地震後の火災について

阪神淡路大震災では、地震の際に建物からの火災が多く発生して、大規模な市街地火災も発生しました。東日本大震災では、津波で火災が大きく燃え広がったという話は、かなり目立ったのですが、一方、マンションで火事が大きく広がったという話はあまり多くはありませんでしたので、マンションで火災が発生したという話はあっても、それほど火災の話については問題になりませんでした。

阪神淡路大震災のことをちょっと振り返ってみますと、あの時は、建物の被害が非常に大きかったということもありまして、地震で構造的な被害を受けたマンションの住戸で火事が発生して、場合によっては扉が開かなくなったり、避難すべき避難用の階段が使えなくなってしまったために、避難できないとか、中には閉じ込められて焼死されたという方も結構おられました。

今後、地震の後の火災の発生ということも考えながら、生活を継続する上での火器の管理についても考えていくことが重要だと思います。地震の後は、建物が結構壊れていたりしますので、火災が発生しても、建物がそれより燃え広がらないようにするためのコンパートメントというか、防火区画ができているはずの所が、壊れてしまって機能しないことがあります。実際に居住者の方は、どこが防火区画になっているかについても、よく分かっていない場合もありますし、また防災設備そのものが、地震によって壊れてしまって動かなかったり、停電で動かないこともあります。例えば、スプリンクラーが付いているから安心だと思っていても、地震の後には、スプリンクラーが機能しないといったこともありますので、とにかく地震の後の火災に対しては、特に皆さんに気を付けていただく必要があると思っています。

また、先ほどの例でいうと、特に在宅避難の際には、部屋の中にいろいろな火器器具を持ち込むことになりますので、マンションの各家でそれぞれに火器器具を使うというよりは、「火を使うのはロビーだけ」とか、「まとまった場所で、皆さんが分かる場所で火を使う」というような、居住者の中でのルール作りみたいなことも必要になってくるのかと思います。東日本大震災でも扉が開かなくなって外に出られなかったケースもありましたが、火事が発生して逃げられないというのが非常に辛いので、命の問題でもあるので、火事については、真剣に考えていただきたいと思います。

災害時のための日ごろの備え

東日本大震災の後に、生活を継続する上で必要になった施設、設備について見てみると、仙台などでは、みんなが集まれる広場やホールがあったことが良かったという話も聞いています。みんなが集まることで、顔を見てみんなの無事を確認できるということが非常に大事だということです。また、大きな地震の後は、話し合わなければならないこともたくさんありますので、話し合いのできる集会室もあれば、非常に助かります。また、設備や施設について考えてみると、受水槽があるマンションならば、地震で止まる緊急遮断弁や、タンクから水を取り出すための採水口があると助かります。また、準備をしていた自家発電設備を放送にも使ったり、ポータブル発電設備を照明に使ったり、停電していても使えるアナログの電話機を使ったマンションなどもあって、結構いろいろ役立ったと聞いています。最近では停電対応の電話機というのも売っているようなので、そういったものを準備しておくというのも一案だと思います。

地震の後に、マンションで何が必要だったかを聴いたところ、やはり「情報が一番欲しかった」という話がたくさんでてきました。その際に情報伝達手段として、非常放送設備が非常に活用されたという話もありました。普通は、非常放送は火事が起こったときなどに使われるものですが、バッテリーを大事にしながら、例えば「今断水になっています」「食事の用意ができました」というような、生活情報の伝達に使ったということも聞きました。それから、やはり施設設備がいくらあっても、誰がどんなふうに災害の後の対応活動の運営をするのかということが重要です。震災後にマンションの方たちに「災害時に役立ったのは何ですか?」「運営手法、組織や仕組みでは、何が大事でしたか?」という質問をすると、やはり日ごろから居住者の組織が大切だということでした。分譲マンションには、管理組合はもちろんありますが、それ以外にも自治会、防災組織、防災会という、居住者の方の団体があると、皆で何かをやるときに連携しやすいのでいいのではないかと思います。

都会のマンションなどですと、組織をつくるのもなかなか大変だというのもありますが、まずはお互いに知り合うきっかけをつくるような、コミュニケーションが大切です。また、管理員さん、管理会社の方が、逆に居住者の間をつなぐきっかけになったという話もありまして、例えばお年寄りの方が何階に住んでいるかというような個人情報については、なかなか居住者同士で情報共有できませんが、管理員さんはその辺は少し把握されていますので、さりげなく高齢者の方や障害のある方、そういった方に目をかけておられたというのも聞いています。仙台の場合では、お年寄りの情報は、地域の民生委員の方が把握されていたりして、お年寄りの方が避難する時に民生委員の方を通じて介護施設などへ連絡を付けたということもありました。

このように、事前に防災訓練を実施したりしたところでは、災害時にもすぐに対応できるということもありますので、まずはコミュニケーションづくりを行い、防災訓練なども、単に消火器で火災を消す訓練だけでなく、いろいろなメニューをやっておくことがいいかと思います。例えば、全員で全館避難訓練をしたり、安否確認をする訓練、仕切り板を蹴破る訓練、避難はしごを降りてみる訓練などを実施したり、炊き出し訓練と称して皆さんでおいしい芋煮とかを食べるとか、そういったことも大事なのかなと思います。そういった日ごろからのコミュニティづくりが、災害の際に一番役立ちます。マンションによって、居住者の組織の作り方は非常に違うので、管理組合以外の自治会や自主防災組織をつくれる所は、ぜひつくっていただいて、役割分担していくといいのかなと思います。地震が起こってからでは、何かをやろうとしても余裕がないので、地震が起こる前に日ごろから心掛けておくことが大切です。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。