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防災インタビューVol.130

大地震への備え ~熊本地震からの考察~

放送月:2016年7月
公開月:2017年2月

国崎 信江 氏

危機管理教育研究所代表

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は現在、危機管理教育研究所の代表をしており、自然災害や犯罪、生活上の事故や交通事故などの日常に潜むリスクからどう身を守るのかについて研究をしています。その傍ら、危機管理アドバイザーとして全国で講演をしたり、ラジオ・テレビへの出演、執筆などを通じて情報発信している他、文部科学省の地震調査研究推進本部政策委員会や、内閣府の防災に関わる委員会の委員など、いろいろな委員も務めております。今回の熊本地震のように、国内外で災害が起きたときにはいち早く現地に入り支援活動もしています。

避難所の自主運営のための道筋

熊本地震の直後の4月19日に、私は熊本県益城町に入り、益城町町長から熊本地震の防災アドバイザーを拝命し、町役場の職員の皆さまと一緒に災害対応に従事してきました。最近は、避難所対策チームで避難所の環境改善などの仕事をしています。今回は、そのことを報告し、首都圏に暮らす私たちが、今後の地震にどう備えればよいのかについても考えていきたいと思っています。

私は、益城町に入ってすぐに避難所の調査をしました。状況を知らなければ、対策を打ち出すことができないので、まず調査をして、その上で町長や担当職員に伝えて、今起きている問題を解決しようということで取り組んできました。当初、益城町の避難所には、1つの避難所に数名の職員の方が張り付いていました。地域の避難所の開設というのは、通常は自治体の職員1、2名が派遣されるのが一般的だと思っていた私にとって、5名以上の職員が1つの避難所に張り付いているというのは非常に不思議な現象でした。

現地を視察してみると、支援物資の受け入れや管理、住民への配布、避難所駐車場に来る車の交通整理や仮設トイレの掃除、町民の方の相談の受け付けなど、とにかく何人いても人が足りない状況でした。この益城町の避難所担当の職員の方々は、防災担当の方ではなくて、公立の幼稚園、保育所の園長先生や給食センターの職員、教育委員会の方、選挙管理担当など、さまざまな職員が派遣されていました。そういった職員の方々が、本来の業務に戻るためには、まず避難所の自主運営をしなくてはならないということで、自主運営に向けた取り組みをしてきました。

自主運営をするに当たり、職員でなくてはできないことと、避難所にいる方々でできることの業務の整理をしました。できるだけ自分たちのことは自分たちでやろうという自主運営ができるように、リーダーを立てて、例えば、掃除班、物資班、食事班というような班をつくって、そこに皆で関われるような自主運営を促していきました。そのためには避難所運営マニュアルを配布したり、担当者の会議を開いて自主運営の重要性というのを繰り返し、繰り返し伝えてきました。

しかし、この活動は残念ながら順調にはいきませんでした。一番大きな問題は、避難所に多くの人が来られて、避難所の収容可能人数を超えてしまい、過密状態だったことにあります。そこで町は、新規にこういった方々を受け入れる避難所を設置するために、一生懸命土地を探したりしており、新しい避難所の準備ができるまでは住民も落ち着かないだろうから、避難所の運営は町のほうでやろうと考えてきました。住民側でも「まずは応急危険度判定を受けてからその先のことを考える」という方も少なくなくて、見た目には何の損壊もないだろうという家もたくさんあったのですが、応急危険度判定で青紙、つまり「家の中に入れるよ」ということを第三者に言ってもらうまでは、怖くて家に入ることができないために避難所に入っている方も多くいました。また、水道が復旧したら家に帰るよとか、家の片付けが終わるまでは避難所にいたいというように、避難所で生活する人たちは、本来家が損壊して入れないという人ばかりではなかったので、避難所が一層過密状態になってしまいました。

町役場の人たちも、「最終的に避難所にしかいられない人の人数を確定してから、避難所の自主運営をしていってはどうか」と考える人も多く、それを待っていたために自主運営がいっこうに進まなかったという現状もありました。さらに時間の経過とともに、手取り足取り何でもしてもらうことに住民側が慣れてしまい、仕事に復帰したり、病院に通うようになったりと、個々の状況の変化とともに、自主運営の意識というのがますます低下していって、難しくなってきたという現状がありました。

時間の経過とともに、皆さんの気持ちや環境に変化があって、避難所の自主運営についての話し合いや動きが進まなくなってしまうのは、益城町だけではなく、これまでの被災地でも同様ですが、もし事前に実際に訓練をして、避難所の自主運営の重要性が意識の中にあったならば、もう少しうまくいっていたのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。