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防災インタビューVol.131

NPO法人 国際ボランティア学生協会 ~地域に元気をおいてこよう~

放送月:2016年8月
公開月:2017年3月

宮崎 猛志 氏

IVUSA理事(事務局長)

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害支援は平時の訓練から

このように学生たちは、被災地の支援活動を行っていますが、学生ですので、さほど専門性が高いわけではありません。「被災地に行ってどんなことができるのか」というのは当然疑問に持つ場合もあるかと思います。そのためにも、われわれの団体では、「現場に行く前にいろいろな形の研修や訓練を積んで現地で活動する」というのをモットーにしています。

これは、災害救援だけではなく、いろいろなボランティア活動を通じて、社会で起きている課題を研究するというような研修や、基本的には人と人のつながりですので、コミュニケーション力を向上するための研修というのも行っています。中でも、全会員に応急救命の講習を必須にしています。この応急救命の講習は、学生のインストラクターが学生に教えるのですが、そのインストラクター自体も養成しています。それ以外にも災害時に備えて、災害のメカニズムを学んだり、実際に発災して、自分が被災した際に避難生活に向けてどのような準備をしておかなければならないのか、といった罹災時の行動シミュレーションなども学んでいます。その他、活動現場において起きるであろうリスクを事前に危険予測といって、どんな危険がその現場には潜んでいるのかを考えて行動するような訓練であるとか、あとは上級生になるとリスクのアセスメント、ダメージコントロールというような、学生たちが興味を持ちそうな、ちょっと格好いい名前を付けたリスクマネジメント系の研修も行っています。また、災害時の現場で使用できるような、チェーンソーや動力資機材の練習や実習を含めた学生たちの個人のスキルアップはもとより、災害が起きた際、被災地での活動の安全管理のためにも事前の研修活動をメインで行って、その上で現場に行くということをモットーにしています。特に、動力資機材であるとか、ダメージコントロールであるとか、ある程度専門性がいるような研修に関しては、われわれの卒業生や顧問、事務局の職員などの中にいるプロの救命士、専門家からアドバイスや監修をしてもらいながら研修プログラムの構成をしています。

訓練から実践へ ~社会で役に立つ経験を~

学生として、訓練を受けている時はそこまで意識はしていなかったかもしれませんが、みんな卒業した後に、異口同音に「学生時代に学んだことがすごく生きた」というような声をよく聞きます。われわれの団体はちょうど10年前、2006年に防災功労者内閣総理大臣賞を受賞しました。その受賞の一番の理由は、被災地で若いマンパワーで活動していることは当然のことながら、平時から災害時の想定訓練などをやっていることが評価されたという経緯もあります。平時の準備を怠らずやっておくということは、防災を考える上でも非常に重要なことであり、この訓練を通して、そのことを学生たちに伝えていきたいと考えています。 研修と現場という二つのものをうちの団体は持っていますので、学びと実践を行い、それにチャレンジをすることによって、失敗や成功体験も含めて、反省したり、学んだりして、また次の研修を受けて現場に行くというこのスパイラルで人材育成をしています。

被災地での活動

災害時の活動としては、災害の種類にもよるとは思いますが、発災をして最初の段階は命をつなぐ時期ですので、あまり大勢で現地に入るというよりは、少数精鋭で現地に入って、情報収集を軸にしながら行います。2016年4月の熊本地震の際には、すぐ避難所に入って活動しましたが、場合によっては在宅避難をしている方たちに対する炊き出しや、物資の搬入、搬送、輸送などの活動が軸になります。東日本大震災の際も、3月11日の発災後すぐ、3月16日は石巻のほうに入ったのですが、首都圏でも食糧が手に入らなかったので、活動のパートナーであった新潟県を回って、地元の卒業生や地域活性の活動でお手伝いをさせていただいていた村の方から野菜などを頂いて、現地に入って、1回に約2千食の炊き出しなどをして、当初の支援活動を行いました。その後、少し落ち着いてきて、電気が通り始めた段階になってから、学生たちを大勢連れて行って、がれきの片付けなどを行うというように、活動を移行する形でやってきました。

学生一人一人としては、それほどスキルはないのかもしれませんが、われわれの団体は指揮系統がしっかりしていますし、どちらかというと指揮官がいて具体的にやらなければいけない現地のニーズに応えていくことを考えると、若いフットワークのある若者のほうが場合によっては良い活動ができるのではないかと思います。

地震災害の場合は、比較的長い期間余震が続いたりしますが、風水害の場合は、一般的には水が引いてしまえば、ある程度二次災害の危険性は下がるので、できるだけ早く普通の生活に戻れるように、いち早く家屋の中に入って、床下に入り込んだ泥を書き出して、家の中を乾燥させて、大工さんに床をふさいでもらったり、畳を替える必要があります。このような場合には特に、泥出しや、掃除のお手伝いをする際に若い力は非常に効果的だと思います。

やはりどんな被災地でも、現地に行くと当然被害状況を目の当たりにして、多くの学生たちは一瞬、「こんなところで自分たちは何ができるんだろう」というふうに思うのですが、ただその苦しい中でも何とか立ち上がろうと地域の方たちがされている姿を見て、「自分たちも何かできることがあるんじゃないか」という思いで一生懸命救援活動、支援活動に汗をかく学生は少なからずいます。

学生たちにとっても、誰かから「ありがとう」と感謝されることに飢えているのかもしれません。自分が何かをすることで、誰かに感謝をされたり、「ありがとう」という言葉を言われると、いわゆる自己肯定というか自己実現を感じるのかもしれません。

ダイレクトコミュニケーションツールが発達している今の現代社会において、なかなか人と人がFace to Faceで触れ合って、そこでお互いの思いをぶつけ合う機会というのは意外と少ないので、被災地ボランティアに限らず、地域の活性化、お祭りのお手伝いの際でもそうですが、直接自分とは世代の違う方とコミュニケーションをとりながら何かを成していくということに、もしかしたら今の若者のほうが飢えているのかもしれないと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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