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防災インタビューVol.131

NPO法人 国際ボランティア学生協会 ~地域に元気をおいてこよう~

放送月:2016年8月
公開月:2017年3月

宮崎 猛志 氏

IVUSA理事(事務局長)

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害支援の原点 ~北海道南西沖地震~

われわれの団体において、災害時の支援活動の原点となっているのが、北海道南西沖地震、奥尻島での災害救援活動だと思います。リアルタイムで被災状況がテレビで流れた震災としては、恐らく初めてではないかと思いますが、それを見た学生が募金活動などをして、現地に行くことを希望し、学校の先生方とも協議をして、「学生たちが行きたいなら」ということで現地に入りました。実際には、現地に入るまでにもいろいろありましたが、ようやく現地に行って、仮設住宅に入られる方たちの所に物資の仕分けをして、お届けしました。ある家庭にカボチャを1個届け、次の家庭にもカボチャを届けに行ったら、そのお宅のお父さんから「うちは5人家族だよ、3人家族でもカボチャ1個で5人家族でも1個なのか」というお叱りを受けたこともあります。大変悲惨な災害で、行方不明の方や亡くなられた方がいる状況の中で、「われわれ学生は何をしに来たんだろう」「本当に被災された方たちのために役に立っているのであろうか」と考えました。その時、みんなで話し合って、「われわれがふさぎ込んでいても仕方がないし、本当の意味で地域の人たちの痛みを解消してあげることはできない、だったらわれわれはわれわれらしく活動しよう」と、ある日突然、吹っ切ったのです。

それで翌日から、若い自衛隊の方たちに「仮設住宅に運び込む布団の配送競争を一緒にやりませんか」と持ち掛けて、配送競争を皆で大騒ぎしながらやりました。それを見て、初めて住民の方が笑ったのです。心のどこかで「僕たちはかわいそうな被災者の方たちを支援に来たんだ」というおごりがあったのかもしれないと後になってから、そう思いました。自分たちが学生らしく元気よくやることが、実は地域の人たちにとって一番だったんだということが分かりました。

そのことがあってからわれわれの団体は、「地域に元気をおいてこよう」「学生たちの持っているエネルギーとパワーで、被災地に元気をおいてこよう」ということをモットーに活動してきました。ですので、被災地域において「被災者と救援者ではなくて、1学生と1住民」という関係で活動してこれたのかなと思っています。

今私は、学生たちを連れて行く側ですので、地域の町会や自治会の区長さんとお話しした時には、「遠くから親戚の子どもや孫が来たと思ってください。ですが、孫や子どもも出来の良いのもいれば出来の悪いのもいますので、その辺は一緒に教育してください」というふうにお話もしていますし、そういうフラットな形で地域の方とお話をしながら支援プログラムを考えていくほうが結果的には地域の方たちのお役にも立てるのではないかと思います。

災害時支援協定を通じて

一般的に学生たちの活動においては、まずどうしてもお金の問題が出てきますが、われわれの団体は競輪やオートレースをやっている車両競技公益資金記念財団という所から、国内の災害に関しての移動費や食費の支援を頂いています。国内で災害があった際に、比較的すぐに動いて活動ができるのは、こういった団体にスポンサーになっていただいたり、卒業生がその都度寄付をしてくれたりというのが大きいです。

この他、この番組でもいくつか紹介されていたと思いますが、「災害時の支援協定」というものがあります。災害が起きると社会福祉協議会が中心になって、災害時のボランティアセンターを立ち上げてボランティアの受け入れをするというのが全国的な流れになっています。しかしながら、いきなり行っても被災地ですので、受け入れが難しいこともありますので、平時からつながりのある自治体を増やしていこうということで、「災害時の支援協定」を多くの自治体と結んでいこうという形で今進めています。つい先日も茨城県の古河市と災害時の協定を結びました。そのきっかけは、2015年の常総の水害で、実は古河市にも農業被害がありました。このような水害も他人事ではないので、どうしようかと考えていた時に、ちょうど卒業生がこの地区にいたこともあって、自治体の方と話が進み協定につながりました。その他にも千代田区の社会福祉協議会ともボランティアセンターの立ち上げに関しての協定を結んでいます。こういった協定を今後も増やしていこうと思っておりますし、もともと地域活性の絡みの中で、地域活性に関する協定や業務委託に関しての協定をいくつかの自治体と結んでおりますので、そういった所で災害が起きた際にはすぐに現場に行って活動することができます。われわれの団体は基本、「移食住」、「移食住の移は移動の移」という言い方をしているのですが、基本は自己完結型で、装備や道具などを持っていますので、とにかく場所さえ貸していただければすぐにでも支援活動することができますので、直接自治体と協定を結んでいくことで、より早く、より的確な支援活動につなげていけるように、今取り組みを広げているところです。

私たちは20年あまり活動をしてきておりますので、たくさんの卒業生が、自分たちが習得したノウハウを、しっかり後輩たちに伝承してくれています。毎年毎年、新しい学生が来るのですが、そういった意味では団体としての支援活動というのは、かなり幅は広がってきていると思います。卒業生の中には、実際にプロとして災害時の支援活動に間接的に関わっていたり、学生の教育を指導していただいたりもしますが、実際に卒業生自身が被災をして、われわれの所にSOSを投げてくれて、そこに行って活動するというケースも増えています。基本その卒業生を支援する形であれば、私たちはすぐにその地域に入れますので、そこから地域の自治会や社会福祉協議会にお話をして、卒業生がいた町以外の所にも支援活動に移るというような形になっています。

災害というのはわれわれ誰にでも平等に起きますし、どこで起きるか分からないし、誰もが被災する可能性があるわけです。ですから、言葉は適切かどうか分かりませんが、お互いさまというか、それぞれができることをするというようなスタンスで活動しています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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