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防災インタビューVol.132

地域を守り、会社を守るためのBCP

放送月:2016年9月
公開月:2017年4月

中澤 幸介 氏

新建新聞社取締役、リスク管理.com編集長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

新建新聞社という会社で、BCPや危機管理の専門誌「リスク対策.com」という雑誌を発行しています。新建新聞社というのはもともと建設の業界紙ですが、2007年に建設だけに限らず社会を守っていく、あるいは地域を守っていくための媒体ができないかということで創刊したのが、この「リスク対策.com」という雑誌です。comというのは、ITのcomではなくて、カンパニーとコミュニティーという意味で、要は会社を守る、地域を守るためのリスク対策の専門誌という意味で出しています。

熊本地震における企業の対応

まずは、2016年4月14日と16日の熊本地震における企業の対応について、自分なりに何社か取材をして分かってきたことを総括したいと思います。現地のほうでも検証委員会が立ち上がりましたし、それぞれの分野で今検証がまさにスタートしたところです。企業におけるBCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)という側面からの調査報告書はまだ出ていませんが、私は、今回の熊本地震における企業の対応について、一つは現地の企業がどのように対応したのかという点と、もう一つは、例えば東京に本社がある会社であれば、東京側からどのように支援をしたのかという、この両サイドから取材をしてきました。BCPという側面から考えると、九州では常日頃、あまり大きな地震は起こらないのではないかと思われており、そういうところに突然大きな地震が来たのですぐに対応ができなかったと言われています。

某金融機関の調査によると、熊本は全国平均に比べて必ずしもBCPの策定率が高いとは言えない状況で、逆に平均より下回っていました。ただ熊本県内にあるいくつかの企業を取材してみたところ、やはり2011年の東日本大震災当初と比べると企業の対応は上がっていると言っていいのではないかと思っています。特にこの上がっているという部分は、一つは全国的なサプライヤーを持つ大手企業です。こういった所はやはり東日本大震災の教訓を生かして、東京だけではなくて、今、全国的に子会社も含めて一生懸命この災害対応やBCPというものに取り組んでいると言えると思います。

熊本では、大半はやはり中小企業なので、こういった企業がどれだけ災害に備えているかというところがポイントになりますが、BCPについては全部が全部の企業ができていなかったというわけではなく、工務店など、もともと熊本というのは非常に台風が多く押し寄せてくる所ですので、このような台風にしっかり備えていたような企業は、地震でも速やかに対応ができたという事例が認められました。

例えば全国展開をしている大企業の事例を見てみると、自動車関係などでは、BCPについてはよく考えられていますが、その他にも例えば富士フィルム九州という、精密、フィルムを作っている会社では、東京の本社だけではなくて現地の子会社である富士フィルム九州がしっかりと災害対応をして、被害を迅速に乗り越えることができました。また、イオンは、現地の店舗が被災する中でも、店舗の外、屋外で食品を販売するなど、非常に迅速な対応ができていました。

一方で中小企業については、なかなか速やかにいい対応ができたという事例は少ないかもしれませんが、九州においては、やはり常に台風に備えていたことによって、地震に対しても速やかに対応できた所はありました。例えば工務店などでは、災害時にはやるべきことが非常に多くなるわけです。お客さんの家が壊れてしまった場合には、速やかにそれを修理しなくてはいけません。これは別に地震に限らず、台風が来ても瓦屋根が飛んでしまった、屋根が傷ついてしまった、雨漏りを起こしているということに対して早く対応しなくてはいけないので、繰り返し来る台風に対してしっかりと災害対応の準備をしていることで、今回も地震直後から会社に社員が集まってお客さんの安全確認に当たるなど、非常に早い対応をした会社もありました。

災害時に役立つBCP

BCPというのは、Business Continuity Planですので、ちょっと言い過ぎた言葉かもしれませんが、単なる計画です。実際には、できる事、できない事も含めて、書こうと思えば何でも書けるわけです。ただ実際にそれがきちんとできるかどうか、実行性、実働性の部分についてが、今問われているのだと思います。

BCPの実行性を上げていくためには、常に準備をしておくことが必要です。実際、日常的にやっていないことは、災害時にはできませんので、どれだけ訓練をしているのか、どれだけ日常的に災害に備えているのかが問われるということです。BCPを策定すること以上に、作ったBCPの実行性という部分が、全国的に求められていると思います。

BCPは現在非常に注目を集めていますが、例えば分厚いBCPを作ってはいても、災害の時に本当にそんなものを見て行動するのは難しいですし、大量の内容を全部覚えるのも不可能です。極端な話、BCPの紙がなくても動けるぐらいにしておくことが理想です。そうすると頭の整理としていろいろなことを載せておくことは良いのですが、特に初動の部分、本当の1日、2日、3日という部分でやらなければいけないことは、もう身に付けておかなければいけない、そういうことを強く感じる地震だったと思います。

実際、災害が発生後、すぐに誰がどう動くとかいうのを確定するのは難しいです。特に社員一人一人の話でもあるわけです。会社のBCPとしてもそうですが、それ以上にまず社員一人一人が自宅でも、あるいは通勤途中でも、あるいは日曜日に何かで外出していても、まずとらなくてはいけない行動ができないと、仕事が始まって、BCPというところには結びついていかないと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。