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防災インタビューVol.138

つながりの場をつくる ~災害ボランティア支援団体ネットワーク~

放送月:2017年3月
公開月:2017年10月

明城 徹也 氏

全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)事務局長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

JVOADの活動のきっかけ

東日本大震災が起きた時は、私はNGOに資金助成をする部署で仕事をしていました。非常に大きな規模の災害でしたので、普段は海外で支援しているNGOなどの団体も東日本にすぐに駆け付けました。実は海外で同じような災害が起きたときには、途上国だと特に政府の力が弱くて、なかなか支援の調整をするというのは難しいので、国連が介入をして支援の調整窓口となって、行政やNGOの支援の調整をするという役割を担っているのが普通です。東日本大震災が起きた時に、実はわれわれが一番気になったのは、どこがこの調整をするのかということでした。NGOも現地に発災翌日からどんどん駆け付けて行きましたので、それに対する資金助成をわれわれはしていたのですが、そのNGOが、本当に支援が必要な所を見つけるためには、やはり現地の情報が分からないといけないですし、政府がやることとバッティングしてもいけません。それで、分野ごとに適切な状況の把握をして、誰がどこで何をやっているのかをしっかりと把握した上で、「じゃあここで支援が今必要だよ」というような決定が必要だったのですが、なかなかそれをどこがやるのかというのが分からない状況でした。

震災の時には、普段海外で活動している団体だけではなく、国内で防災をやっている団体や新しく地域で立ち上がった団体など、NPO、NGOと呼ばれる団体が数多く支援活動をやったわけですが、結局震災から約6年たった今でも、その時にどれぐらいの団体が活動して、どういう分野で何をやったのかが結局分からないまま来てしまったという状況です。個人のボランティアさんは、ボランティアセンターを通じて150万人が東日本の時には現地に入ったというような数字がありますが、実はNPOとかNGOの場合、それがよく分かりません。NPOやNGOが、被災地を支援するという認識すらも、地域によっては全くなかったので、行政も支援者としてNPO、NGOを見ていなかったということです。いろいろなリソース、資金的なものや、物的なものなど、いろいろ支援に役立つものを、NPOやNGOは提供できたのですが、それがうまく初動から生かせなかったということがありました。全体を把握しているところが全然ない状態で、数多くのNPO、NGOが現地に入って活動したので、行政からしてもやはり連携をしないと駄目だという認識を持つきっかけにもなりました。

災害対策基本法による行政とボランティアの連携

東日本大震災が起きた後、平成25年に「災害対策基本法」が改正され、「行政はボランティアとの連携に努めること」ということが明記されました。これは、努力目標ではあるのですが、行政がボランティアと連携するような文言が法律に記載されたというところが大きな転換点となりました。ただ、この中で「ボランティア」というのが、「じゃあ誰なのか」というところで悩ましいのですが、多くの人は現地のボランティアセンターに並んで、片付けや清掃などの作業をする個人ボランティアを思い浮かべる方も多いかもしれません。このボランティアの中に、実はさっき言ったNPOとかNGOとか、そういう組織的な支援をするところも含まれており、そこと行政も連携をしないといけないというような流れができてきました。

その後、一昨年起きました関東東北豪雨水害で、茨城県の常総市が大きな水害を受けた際に、多くの支援団体が現地に駆け付けて支援をした時の振り返り検証作業が、国のほうで行われました。その時に「NPO、NGOともしっかり情報共有会議をしたほうがいいんじゃないか」「行政とNPO、NGOで情報を共有して、全体像を把握しながら災害の対応を進めていったほうがいいんじゃないか」というような提言もまとめられ、徐々に行政の認識も変わっていきました。今では防災基本計画の中に、ただ単に連携に努めるということだけではなくて、情報共有をしたり、一緒に対策を検討していくというような流れにどんどん変わってきており、まさに今過渡期といいますか、どんどん積み上がってきているような状況です。

今までは行政がやることと、民間がやることとの接点というのがなかなかなかったのですが、ここまで災害が続いていると、やはり行政だけで十分な被災者支援ができなくなってきています。一方で民間だけで何かできるかというと、やはり行政の情報や施策があって、そこからさらに必要な部分をしっかり探していって、足りない所をしっかり補っていくことが大切です。実際には、民間のほうが得意な部分というのもありますので、そういったものを行政と連携をしながらやっていくような取り組みがこれから必要になってくると思います。

ただ、現在は、国や都道府県の一部で連携ができてきていますし、徐々に変わってはきていますが、すべての地域でそういう認識が持てているかというと、実はまだまだこのようなNPOやNGOの支援活動を認識している所というのは、ごく一部に限られていると思います。私たちは、JVOADを東京で立ち上げましたが、東京だけでやるものではなく、いかに地域と普段から関係をつくっていくのか、その辺が非常に重要になってくると思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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