1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害に強い社会をつくる
  6. つながりの場をつくる ~災害ボランティア支援団体ネットワーク~
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.138

つながりの場をつくる ~災害ボランティア支援団体ネットワーク~

放送月:2017年3月
公開月:2017年10月

明城 徹也 氏

全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)事務局長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害現場の混乱の中で

東日本大震災の時にどういうところが一番苦労をしたのかを少し話をしていきたいと思います。東日本大震災の時は、いろいろな支援団体が発災翌日から現地に入って行き、現地の情報を求めて県庁に行ったり、市役所に行ったり、もしくはボランティアセンターに行ったりしました。その時にボランティアセンターに行くと、「うちは個人のボランティアの受け付けをするので、団体はうちじゃないです」と言われました。それで都道府県に行ったら、「NGO、NPOさんはボランティアでしょう。だったらボランティアセンターに行ってください」と言われました。結局NGOやNPOなどの団体は、これだけの被害を前に、調整をしている状況ではないので、自分たちでいろいろな地域に入って行って活動していたら、今度は「何で他所から来て勝手にそういう支援活動を始めているんだ」と言われ、もともとこういう団体が支援に入るという認識がなかったために、たらい回しにあったり、勝手にやるつもりではなかったけれど、勝手にやっているように見えてしまったりということも起きました。

実はこういった団体の中には、海外で1万人の難民キャンプの運営をして、そこで食糧を配ったり、住居を造ったり、病院や学校を運営したりしている団体もあって、大きな事業規模を展開できる力がある所もあったのですが、東日本の時には国内でそういった団体が支援活動をするという認識がなかったために、このような力が最初から発揮できずに、先ほど言ったようなたらい回しにあったりしていた現状もありました。

柔軟な対応が求められる現場での連携

もうひとつの例として、行政がプレハブの仮設住宅を建てた際に、当時は日赤が家電6点セットを入れることになっていました。家電は日赤が入れたとしても、布団やお風呂周り、キッチン周りなどの必需品をどこが入れるのかというのが全然決まっていなくて、それで入居が始まろうとしていました。私もそこの現場に居たので、「NPO、NGOで残りの生活必需品は入れようか」という協議をしたのですが、なかなか行政の方と協議する場をつくること自体が非常に難しくて、かなりギリギリになってしまったというような状況もありました。知らないというのと、知らない所に頼むのは怖いということが根源にあったのかなというふうに思います。やはりボランティアのイメージが、個人のボランティアさんというようなイメージで、組織的に行政以外が住民へのサービスをするというイメージが、やはりまだまだないというのをその時初めて知りました。自分の国でありながらも、自分の国のことをあまり知らなかったことを実感しました。

この話には、続きがありまして、このように行政の方に理解してもらえるまで時間がかかったのですが、結果としては、連携して支援をすることができた事例があります。具体的に、宮城県の場合は、市町村ごとに担当のNPO、NGOを決めて、そこが最低限これだけの必需品を揃えて、仮設住宅の入居のタイミングに合わせて物資を入れるというような調整をすることができました。これによって、被災した住民の方が、入居してすぐに新しい暮らしを始めることができるようになり、非常に大きな成果が1つできたと思っています。

このことをきっかけに、その後、冬になって寒くなってくると、今度は暖房器具が必要だというような話になり、その時も行政の方と話し合いをして、プレハブの仮設住宅は行政のほうで暖房器具を追加で提供し、一方でアパートなどの、いわゆるみなし仮設という所に入った被災者には暖房器具は行かない状況だったので、そちらは、NPO、NGOで市町村ごとに手分けをして入れるという支援が、宮城県はじめ東北の3県ではできました。

発災の当初から本当に信頼関係が築けていれば、避難所にいる時からいろいろな連携ができ、こういう事例がもっともっとできたのではないか、いろいろな地域において、支援の形も違っていたのではないかというような思いはあります。

実際に災害が発生してから、段階を経て時間がたつ中でいろいろな支援が必要になってきます。本当にさまざまな分野で支援が必要になってきて、子どもの支援から高齢者の支援、さらには学校関係の支援も民間でしていたりもします。行政とNGOやNPOなどのボランティア団体との連携が難しい中で、全体を把握して、どうやって連携していくかがこれからの一番の大きな課題になってくると思います。私たちJVOADもそういう団体を束ねていくというよりも、そういう団体が力を発揮できるような関係をつくっていくというか、後押しをしていきたいと思っています。

大事なのはいろいろな考え方を持った団体が入ることで、支援を受ける側もやはりいろんな考えがあるので、それによって救われる人というのがたくさん出て来ればいいのかなと思います。必ずしも考え方は一致しなくても、それによって助かる人というのが出てくるので、やはり排除しないというのが非常に大事になってくると思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針