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防災インタビューVol.143

経験を生かした防災 ~避難所生活からの学び~

放送月:2017年8月
公開月:2018年3月

柄谷 友香 氏

名城大学 教授

過去の災害に学び、経験を生かす

これまで被災された方の近い所で寄り添いながら調査研究をさせていただきましたが、被災するということを理解したり、共感するということが、今後の災害を受けるかも知れない私たちにとって大きなヒントであり、重要な意味を持つと思いました。災害に対しては事前の備えも重要ですが、実際に大変な環境変化に遭いながらも、被災された方々が、さまざまな知識や知恵、あるいは外部の支援を上手に開拓しながら、しかも行政に頼らずに自ら主体的に再建を進めてくる、こういう力が実は人には備わっているということを感じました。「大変な状況から立ち上がっていく力をどうしたら身に付けられるのですか?」あるいは「首都直下地震や南海トラフのような私たちの想像を超えるような災害に対して、どうやって備えたらいいのですか?」という質問を研究者として受けることがよくありますが、やはり「過去の経験に学ぶ」ということが、ひとつ大きなことだと思います。私の場合、現地に近い所で実際に被災地の状況を見ながら被災者の方々の経験、あるいはノウハウを学ばせていただいていますが、これをきちんと活字や映像にして残す、記録をするという作業をずっと続けています。「以前はこうだったから、こうすべきだ」という正解がないのが防災の難しいところですが、それを逆手に取って、正解がないモヤモヤをみんなで楽しみながら、かつて、被災者が避難所でどうしていたのか、行政の立場であれば、どうやってそれを乗り切ったのか、その災害経験がヒントになると思います。そのために、私は今、実際に現場で記録してきたことを読み物にしたり、映像を使って、子どもから大人、自治会や行政の皆さんに災害の追体験をしてもらい、イメージ能力を高めるような研修や、防災教育の場を持ち続けています。
メディアの情報やメッセージも重要なのですが、最も重要だと思うのは、一側面だけを切り取って見るのではなく、実はうまく乗り切った例もあるし、私たちにヒントを与えてくれることありますし、五感を研ぎ澄ませることができるような生々しい現場感、災害感というものもみんなで共有したいと思っています。

災害に打ち勝つために

私自身、学生の頃に阪神淡路大震災を経験し、ある意味で被災者になったのですが、多分災害だけではなく、本当に大変なことが起こって環境が変わってしまうということは、皆さんにもあったと思います。でも、そのどん底だと思っている所から、いろいろな知恵を使い、周りの方々の力を得ながら立ち直っていったり、前よりももっと良い状況に持っていくという力をみんな持っていると思います。私自身も震災を経験して、その時に難病で入院しており、いいことなんて1つもないような女子大生でしたが、今考えると、それをきっかけに防災を学びはじめ、生涯をかけて防災、減災のための仕事をさせていただき、学生たちやいろんな方にこうして出会うことができました。命さえあれば、災害経験がきっかけで、いろいろな展開もあるのではないかと思いますし、皆さんもそんな力をきっと持っていると思います。そういった力を私たちは「レジリエンス」と呼んでいますが、この力を高めるためにも、被災のさまざまな経験について学び合う機会を作り、1歩先、数時間先、2日先、3日先に、どんなことが起こって、そこで私は何ができるのか、どんな支援が必要かということを皆さんで共に膝を突き合わせて考えることができるような機会を皆さま方と一緒に持っていきたいと思っています。

一人一人ができることを

この話の中から、皆さんが被災現場の現実について知っていただき、「自分には、こんなことができるんじゃないか」とか、何か一つでも小さな気付きがあれば私も幸せです。災害現場は、辛くて、暗くて、悲しい所と思われていますが、その中でもみんなで笑える、明るくいられる避難所もあることを知っていただき、みんなが頑張ればそれを実現できるのだということを感じてもらえればと思います。そして、そのためにも、一人一人ができることを、それぞれみんながやっていただければと思いますし、私自身もぜひやっていきたいと思っています。東北でもまだ住まいの再建もできず、仮設住宅で暮らしている方もいますし、九州、熊本もそうです。同じ日本の中にいる、そういう方々に少しでも思いを寄せていければと願っています。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。