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防災インタビューVol.144

ADRAの活動を通した被災者支援

放送月:2017年9月
公開月:2018年4月

渡辺 日出夫 氏

特定非営利活動法人 ADRA Japan
国内事業(防災・緊急支援)担当マネージャー

被災地への寄付金 ~義援金と支援金~

阪神淡路大震災以降、本当に年々災害が多くなってきていて、特に2007年の能登地震、中越地震あたりからまた変わってきています。東日本大震災以降は毎年どこかで地震や水害、土砂災害などの災害が起きているという状況になっています。そうすると、地震の時の課題、水害の時の課題、水害も川が氾濫している時と氾濫していない時の課題で、全く違ってきます。
そのような災害に対処するために、私たちアドラのようなNPOというのは、基本的に活動資金をどこから得ているかというと、一般の方からの寄付金がほとんどになります。災害が起きると私たちは「こういう支援活動をしますので、ご寄付をお願いします」というようなPRをするのですが、その寄付金の集まり方は、実はメディアの報道によって大きく変わるというのが、私たちの悩みの種になっています。
メディアでたくさん報道されたり、長い期間報道されたりすると、目に留まりやすくなり、ある程度寄付金が集まりやすくなります。良くも悪くも、人的被害が少ない場合、特に亡くなった方がいなかった時というのは、いくら被害が大きい状況でもメディアの報道は非常に少なくなります。そうなると本当に寄付金が少なくなったり、もしかすると集まらないというような状況もあるわけで、昨年の熊本地震の時はかなり寄付金が集まりやすかったのですが、今年の福岡、大分の九州北部豪雨というのは、熊本の10分の1ぐらいしか寄付金が集まらないような状況でした。今後の活動を支えていただくためにも、ぜひ皆さんにご協力をお願いしたいのですが、支援の仕方はいろいろあります。クレジットカードによるものや銀行振り込みで、団体に直接お支払いいただくのが一番助かります。
災害が発生した場合に、被災地への支援として赤十字などを通して寄付を送るということがよくあると思いますが、その他にも義援金、支援金など、いろいろな方法があります。赤十字などに送るのは「義援金」と呼ばれるもので、この「義援金」は直接被災地の方々に現金で贈られるものになります。一方、私たちのような活動を支えていただくのは「支援金」と呼んでいます。行政による支援では公平性というのが重要視されますので、どうしても確実に支援から漏れる方が出てしまいます。そういう部分を補完する活動をしているのが、私たちのようなNPO団体などの活動になります。ですので、寄付をする際にも、半分は義援金に、もう半分は支援金にというような形にしていただけると、もう少し痒いところに手が届く支援になるのではないかと思っています。

被災地での私たちの活動

頂いた支援金を使って私たちが実際にどのような活動をしているのかを、ぜひ知っていただきたいと思います。
避難所での生活が長くなると、食生活についても偏ってくることがよくあります。朝もおにぎりだけがずっと続くということもありますし、2か月半避難所にいて、毎朝毎朝変わらない3種類のパンが届けられて、その中から1種類を選んでずっと食べるというようなこともありました。お昼はカップラーメンで、実際にお昼に避難所に残っている高齢者にとって、毎日カップラーメンの生活を2カ月半しなければならないというのは、非常にきついです。災害後少したってくると、コンビニ弁当のようなものが届くようになりますが、冷たいお弁当で、温かいものを食べることはなかなかできません。そこで、温かい汁ものを作ったりする炊き出しが必要になります。炊き出しというのは、温かい食べ物があるというだけでなく、匂いや雰囲気、視覚的な効果もあります。サロンのようにお茶を飲める場所も非常に助かります。私たちは、お茶を一杯飲む場所もないというところには、テントを持って行って、外でお茶を飲んでいただいたりもしますが、そこも極力ペットボトルやインスタントコーヒーなどではなく、コーヒーメーカーでコーヒーを淹れています。そうするとコーヒーの匂いだけでも今までにない環境になるので、そういう活動をさせていただいています。
また、支援者を支援するということでいうと、被害を受けた家の荷物を片付けたり、水害の泥を出したりするボランティアの受け付けをしている災害ボランティアセンターというものがあり、そこを運営しているのが社会福祉協議会の方々になりますが、この方たちも実際には被災者です。被災者なのにそういった支援活動をしなければならない方々、かつ、被災するのは初めてなので、そういうノウハウがない方々が多いので、私たちのような団体が運営支援という形でそこに入り、過去の災害での事例を示しながら、運営のノウハウやヒントをお伝えして陰ながらサポートするような、人的支援もさせていただいています。
私たちはそのような活動をしていますが、他の団体で、重機が得意な団体がいたら、重機を持って来て人海戦術では間に合わないところを支援したり、マッサージが得意なところは、マッサージで癒やしてあげたり、子どもたちの遊びを得意とする団体では、大学生などが子どもたちと一緒に遊んでストレスを発散させたりと、いろいろな活動を展開しています。このように、NPOというのは、みんなの力を集めれば、ほぼできないことはないのではないかと言われるくらい、いろいろな団体が、いろいろな特技を持って被災地で活動しています。被災地を支援するには、この多岐にわたる活動を知っていただき、その活動を支援していくための寄付をしていただくのも、支援をする一つの方法だと思いますので、ぜひ皆さんにもそれを知っていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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