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防災インタビューVol.145

マンション生活継続計画

放送月:2017年10月
公開月:2018年5月

濵口 加津子 氏

一般社団法人マンションライフ継続支援協会(MALCA)
事務局長

在宅避難という選択

安全性がもちろん大前提ですが、マンションの場合は災害時には「在宅避難」を選択することを、私たちはお勧めしています。そのためには事前の準備が必要なので、マンション生活継続計画、MLCPを考えていく必要があります。避難所があるから避難所に行けばいいと考える方もいらっしゃいますが、マンション自体が倒壊などの大きな被害を受けない限りは受け入れが不可能な部分もありますし、プライバシーを重視したマンション生活に慣れている方にとっては、不便な生活になったとしてもプライバシーが守られる在宅避難が賢明な選択だと思います。いざというときに在宅避難をするためには、やはり備えが必要です。家具の転倒防止はもちろんですが、備蓄品もそろえておかなければなりませんし、管理組合として災害対策を計画的に進める必要があると思います。
実際、災害時にマンションはどのようなリスクがあるのかというと、首都直下地震が発生したとき、神奈川県でも広範囲で震度6以上が予想されます。マンションは建物自体は倒壊、崩壊することはないですが、雑壁などの非構造部材がかなり損傷を受ける可能性がありますし、耐震構造でない玄関ドアが開かなくなったり、固定していない家具の転倒もありますし、高層階ほど揺れが大きくなります。その他、水道や電気、エレベーターなどのライフラインが停止すると生活に大きな影響を与えます。特に高層階の居住者への支援は困難になるので、「高層難民」が出ると言われています。帰宅困難な方も多数発生して、普段役員をされている方などがいない状況で災害が起こる可能性も高いと思います。
一部の対策の進んでいるマンションでは避難訓練をしたり、防災計画を作ったりしていると思いますが、「何をしたらいいか分からない」というマンションも多いと思います。私たちは、何かしなくてはいけないと思っていても、何から始めたらいいのか分からないというマンションを支援していかれれば、と思っています。
今までの事例で言いますと、非常に課題が多いマンションに対して、補助事業などを使用して支援したこともあります。例えば吉祥寺にある築40年以上たったマンションで、居住者の方も割と高齢で、最初は近隣の付き合いがなかったけれど、時間がたって高齢になり、それまで自分たちのマンションが何も防災について考えてこなかったことが不安になった女性たちが中心となって、防災組織を立ち上げました。その防災計画の作成の支援をしました。

スムーズな復旧復興のための「マンション生活継続計画(MLCP)」

MLCPはマンションライフコンテュニティプランのことで、直訳すると「マンション生活継続計画」と言います。これは災害時に事業を継続するために多くの企業が導入しているBCP、ビジネスコンテュニティプラン、事業継続計画のマンションライフ版で、地震発生後、マンション居住者が自助と共助で生活を継続するための行動計画です。これは共同生活、共同行動をとることで、お互いに助け合って被害の拡大を防ぎ、スムーズに復旧復興が進むことを目標に作成しています。
MLCPの具体的な内容で「自主防災組織が中心となって災害対応をするために事前に準備すること」というのがありまして、私たちはハート、ソフト、ハードとよく言うのですが、居住者、区分所有者が自分たちの心の問題として災害対策を真剣に考えること、それがハートです。それを管理規約などの制度に落とし込む仕組み、防災計画がソフトです。そうしたソフトを定着するとともに、建物の設備の性能の向上、防災用資機材の充実を図ること、これがハードになります。これらを段階的、計画的に進めて作成することが必要になります。まずは事前の備えとして、管理規約の整備が必要ですし、緊急時にその人を助けるための立ち入りや応急処置も必要です。また、壊れた所をすぐ応急的に直すことができるような規約を整備し、防災組織などの体制づくりを行い、普段から訓練を行っておくこと、防災用品や資機材の備蓄を進めること、あとは建物設備の耐震補強や改修をするとともに災害弱者、要配慮者などのリストも整備して、いざというときに助けられるような態勢が必要かと思います。
マンションの中にはいろいろな方が住んでいます。同じ建物でいろいろな分野の知識や技術を持つ人が居住しているという、マンションならではのメリットもあると思いますので、そういった専門家に助けてもらいながら一緒に地震発生時の困難な状況の中でも、いざというときに助け合えるような防災組織をつくっていくことが大事だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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