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防災インタビューVol.147

マンションの防災 ~彼を知り、己を知れば、百戦殆からず~

放送月:2017年12月
公開月:2018年6月

三浦 伸也 氏

国立研究開発法人
防災科学技術研究所

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

マンションの防災

最近はマンション等に住む方が多くなっています。東京都の特別区における共同住宅の割合は、平成25年の時点で約70%ですし、神奈川の都市部でも非常に多くの方がマンションに住んでいます。しかしながら地域防災におけるマンションの防災の位置付けは、まだしっかりされているとは言えない状況です。
例えば、平成27年9月1日に発行された『東京防災』という本が、東京の各戸に配布されたわけですが、その本の中でマンション防災について記述されたのは、わずか3ページだけでした。マンションのベランダへの避難、マンションの耐震化、そしてマンションの災害対策が3ページについて書かれているだけです。この『東京防災』は最後に漫画の部分がありますが、漫画の部分を除くと全体で324ページある中で、マンションに関する記述は、3ページだけなので、約1%の記述ということになります。非常に少ないと思います。これまで地域防災計画は基本的に戸建て住宅が中心で、マンション防災にあまり重点を置かれていないのが現状ですので、マンションに住んでいる方たちが災害時に被害を軽減するためにも、まず最初にそのマンションが直面している災害のリスクの現状を把握し、どういう災害が発生する可能性があるのかを、きちんと把握しておく必要があります。マンション自体もそうですが、マンションを取り巻く地域についても考えておくことが重要です。例えば、この横浜市青葉区で考えると、青葉区は地震と土砂災害が起こる可能性が高い地域です。地震については30年以内に震度6弱の揺れに見舞われる確率が算出されていますが、これが青葉区の場合は71.6%で、非常に高い数字になっています。あと青葉区で注意しなければいけないのは土砂災害です。青葉区の場合は急傾斜地の崩壊危険箇所が100カ所くらいあります。このように、居住する地域に、どういう災害が起こりやすいのかを考えておく必要があります。
被害想定では、建物被害と人的被害を把握しておく必要があります。これは地域の建物の全体を統計的に見て、被害を被る割合を算出して、それに建物や生活する人の数を乗じて算出したものですが、個別の建物が被害を被るかまでは示されていません。この被害想定の内容を分析して、例えば人的被害は地震を起因とした火災によるものなのか、建物被害や屋内の収容物によるものなのかを見ていくと、その特徴が把握できます。また高層マンションの中では、屋内の落下物による被害も注意しなければなりません。このようなことを考えると、家具の固定はもとより棚の上などに落ちてくるものがないように、平時の整理整頓が肝心になってきます。
高層マンションにおいては、例えば30階建てのマンションの高さは約90mになりますので、地表面の震度が6弱だったとしても、上階では場合によっては震度6強、あるいは震度7ぐらいになる可能性もあります。「震度6弱だから大丈夫」ということにはならないので、家具の転倒防止や落下防止をしておくことが非常に大事です。またマンションにおいてはライフラインの中でも特に電気が重要で、特に高層マンションの場合は電気が止まってしまうとエレベーターも動かなくなってしまうので、電気の重要性を再認識する必要があります。また断水してしまうとトイレも使えなくなってしまいますので、その点についても日頃から十分に考えておく必要があります。高層マンションに居住している方は、ライフラインについて事前によく考えておくことも重要です。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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