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防災インタビューVol.147

マンションの防災 ~彼を知り、己を知れば、百戦殆からず~

放送月:2017年12月
公開月:2018年6月

三浦 伸也 氏

国立研究開発法人
防災科学技術研究所

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

「災害シナリオ2」の具体的対処方法

「シナリオ2」というのは、おおむね現在の地域防災計画で想定されている状況です。建物は全壊には至らず被災後も使用できますが、各種ライフラインが途絶するなど生活の不便さを伴う自体になったときに、それに対してどう対処していくのかを考えていきたいと思います。
具体的に、この「シナリオ2」の中で私たちがどう対応していくのかを考えた際に、時間に沿ってタイムラインで考えることになります。このタイムラインというのは、災害が発生した後、どのような対応が必要かを時系列で整理したものです。あらかじめ、どのような対応が必要なのかを確認しておくことで、災害発生時にスムーズに行動することができます。タイムラインは災害が発生してからの経過時間に沿って考えます。具体的には、災害が発生してから30分、これを「フェーズ1」としましょう。次の「フェーズ2」は発災から1時間から2時間ぐらい、「フェーズ3」は発災から24時間、「フェーズ4」は発災してから3日間から1週間程度、この四つの時期に分けて、対応しなければならないことをまとめておくと、非常に役に立ちます。
まず「フェーズ1」の発災から30分間の対応のポイントは、「命を守る」ということになります。大地震が発生し、揺れが収まったら玄関ドアを開け、電気・ガス・水道の使用を禁止します。居住者がやることは、まずは安否確認です。その後に火災が起こっていないかを確認し、電気ブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めて、必要に応じて避難します。地震時のエレベーターがどうなるのかも、あらかじめ把握しておいたほうがよいと思います。
続いて発災から1時間~2時間後(「フェーズ2」)の対応ですが、このポイントは「応急対応」です。居住者がやることは、マンションの各戸に閉じ込められた方がいないかを確認し、閉じ込められている方がいた場合は、その方の救出をすることになります。さらに負傷者がいる場合は応急手当てをし、安否確認の結果を整理する必要があります。危険箇所、被害箇所の確認整理も必要です。
発災から24時間(「フェーズ3」)の対応のポイントは、二次被害の防止です。居住者がやることは、場合によっては重傷者がいることもありますので、医療救護所や避難所と連絡を取って、その負傷者をどうするのか対応を考えなければなりません。その際、自分たちでどういうふうにできるのか、単に消防署に電話をして救急車を待つのではなくて、自分たちでどういうふうに負傷者を運べるかを考えておくことが、とても重要です。さらにライフラインである電気、ガス、水道、電話が停止している場合の対応が必要になってきます。あとは出入り口の管理がどうしても防犯上必要ですので、こういうことも発災後24時間になると必要になってきます。さらに自分たちのマンションだけでなくて地域の被災状況を把握することが、24時間後の対応になります。
そして発災後3日~1週間(「フェーズ4」)の対応のポイントは「生活をどう維持するか」です。居住者がやることは情報の整理と発信、具体的には自分たちの誰が被災していて、どこに行っているのか、そういう情報を整理し、掲示板などで発信して、マンション内の情報として共有しておくことが大切ですし、出入り口の管理、防犯活動が、さらに必要になってきます。あわせて、建物設備の安全確保、これは明確にどこが壊れているかが分かってきますので、そこを立ち入り禁止にすることが必要になってきますし、救援物資をどう確保していくのか。ここで地域との関わりが非常に必要になってきます。マンションの中でも、ある程度、備蓄はあると思いますが、時間が経過すると確保が難しくなることもあります。24時間だとまだ平気ですが、3日~1週間になると、なかなか難しくなってきます。臨時ごみ集積場所をどうするかという問題も、3日~1週間後となると大きな問題となってきます。
まず発災から30分間にどういうことができるのかを考えると、居住者の安否確認についてはマンション各階の担当者が、要配慮者、高齢者、妊婦をどのように優先して安否確認をして安全な所にお連れするのかを考えたほうがいいと思います。シナリオ2の中では、特に停電によりインターホンが使えない可能性がありますので、各戸の玄関ドアを手でたたきながら声を掛けて確認していく必要があると思います。理事長が不在の場合は副理事長が確認することになっていると思います。各階の担当者は安否確認を行い、理事長、あるいは副理事長に報告します。このことを行うためには、各階の担当者をしっかり決めておくことも大切になってきます。このように、誰が何をするのか、担当を具体的に考えておくと、発災時にスムーズに対応できますので、ぜひ事前に備えていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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