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防災インタビューVol.147

マンションの防災 ~彼を知り、己を知れば、百戦殆からず~

放送月:2017年12月
公開月:2018年6月

三浦 伸也 氏

国立研究開発法人
防災科学技術研究所

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

マンションにおける大地震の際の被害

大きな地震が発生した際にマンションで想定される被害は、家具やテレビなどの電化製品の転倒、落下、移動、調理中の地震による火災、電気・ガス・水道などのライフラインの停止、食料・日用品などの不足、電話・メールなどの通信障害が考えられます。
それらに備えるために多くの場合、各マンションや自治体から住戸別のチェックシートなどが配布されています。それらにまとめられていることは、大きな分類項目として、家具の転倒、居室からの出火、応急医療品、日用品、食品、食品関係、燃料関係、衣類、簡易トイレ、住戸に閉じ込められた場合の対応、避難所などの確認、防災訓練や防災教室への参加などが挙げられています。
例えば家具の転倒のチェック項目は、よく言われるように突っ張り棒などの家具の転倒防止があります。また家具が転倒しても被害が生じないような配置というのを、日常的にやっておくと安心です。特に高層マンションの場合は高層階における長周期地震への対策として、家具が転倒しても被害が生じないような配置をしておくことが非常に重要です。
マンションの場合は在宅避難が基本になっている場合が多いのですが、建物に被害がなくても停電してエレベーターが使えなくなったり、断水して水道が使えない場合には、避難を考えざるを得なくなります。それに備えて、避難所の場所や避難所までの避難経路なども事前に確認しておくとよいと思います。それ以外としては、防災訓練や防災教室に積極的に参加し、災害に備えておくとよいと思います。これらに参加することでマンション居住者以外の地域住民の方々と知り合うこともできますし、万が一、災害が起きて避難所に避難した際も、コミュニケーションがとりやすくなります。
まずはマンション内のコミュニケーションから始めて、地域とのコミュニケーションもとっておくと、災害時に非常に役に立つと思います。

地域防災の課題 ~マンション住民と地域住民の交流~

都市部での地域防災の大きな課題として「マンション住民と地域の住民の方の交流がなかなかできていない」ことがあげられます。マンション住民とその周りの地域の住民の方との交流がないと、どういう点で困ったことが起こるのかと言いますと、マンション居住者は在宅避難と位置づけられているため、災害時の避難所への避難や食料の配給の対象者に入っていない場合がほとんどであることがあげられます。平時より周りの地域の方と交流して、マンションに住んでいる自分たちも、状況によっては避難するかもしれないことを、あらかじめ交流の中で伝えておく必要があると思います。そうしないと、マンションの住人は在宅避難ということで食料の配給の対象外になってしまいますので、マンション住民の方と地域の方の交流は非常に重要です。マンションに住んでいる方は、なかなか周りの方と交流を持たない傾向、もしくは持ちたくないという傾向があると思いますが、災害時の生活を考えると、もう一度見直してもいいのではないかと考えます。

「彼を知り、己を知れば、百戦殆からず」

災害に備えるには、まず自分自身の住んでいる地域のことを知り、被害を想定して、対策を立てておくことが大切だということをお話ししてきましたが、そのために「マンション防災マニュアル」を作ることも大切です。この防災マニュアルは、マンション居住者が自分たちに理解できる言葉を用いて、自分たちで作ることが、とても重要です。居住者の誰が何をするのか分かるものにしないと、実際には使えません。最初にお話しした「彼を知り、己を知れば、百戦殆からず」ということを踏まえて具体的に考えていけば、本当に使えるマンション防災マニュアルが作成できると思います。ぜひ、お住まいのマンションの防災について、もう一度考えていただいて、本当に自分たちの身の丈に合ったマンション防災マニュアル作りをしていただきたいと思います。私自身、昨年、世田谷区の若林地区にあるマンションで「若林コンド防災マニュアル」を作ってWeb上に公開しています。Googleで検索するとPDFがダウンロードできますので、ぜひ参考にしていただければと思います。また、このほかにも「地域防災Web」という、自分の地域の災害の危険性が確認できるページもありますので、ぜひ参考にしてください。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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