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防災インタビューVol.154

『知ること』から始める防災

放送月:2018年7月
公開月:2019年1月

中村 清美 氏

国土防災技術株式会社
課長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

現在私は、国土防災技術株式会社に勤務しております。この会社は創立から52年たっており、地滑りや斜面災害などの自然災害に対する、ハード系の防災インフラの調査、設計、施工管理をしています。

この会社に入る前は、防災とは全く別のところで、NGOとして途上国の貧困問題や開発問題を解決するためのさまざまな支援活動に携わってきました。その際に、NGOの活動として、次に海外に行く時期まで3ヶ月あったので、人生で初めてハローワークを訪れました。そこで、たまたまこの会社が、新しい法律ができたために、その基礎調査をやってくれる人をその3カ月間、ピッタリの期間で募集していました。海外に行かなければならないので、延長はないことを確認してから仕事を始めましたが、住民説明などに時間がかかってしまって3ヶ月の期限を超えてしまうことになりました。「海外に行くので困る」と伝えたら、「行ってもいいけど、また帰ってきたら戻って来て」と言われて、そういうことの繰り返しを経て、社員になっていったという形です。現在もNGOにはボランティアとして関わっています。

また、その傍ら、現在も大学院で研究をしています。私は長崎出身なのですが、1991年に島原半島の雲仙の普賢岳で起きた噴火災害の当時のことや、その後の生活再建や復興の歩みがどうだったのかということを対象に、今研究をさせてもらっています。

「土砂災害防止法」の制定

私がこの会社に入って、最初に携わったのが「土砂災害防止法」に関するものでした。この「土砂災害防止法」は平成13年に制定されましたが、日本の中でも画期的な法律だと言われています。「災害対策基本法」では「人命と財産を守る」ということが国の責務として書かれているのですが、この「土砂災害防止法」に至っては、「財産」という言葉が抜けています。つまり「命は守ります。でも財産はある意味諦めるので、自分たちで守って下さい」ということです。

この法律でどんなことをやるかというと、自然科学的なデータに基づいて、地理情報システムGISソフトを使って、土砂災害の起きそうな所を見つけ出し、警戒区域の設定をします。ハザード、いわゆる危険な所はどこにあるかということを、ハザードマップを作ることで住民に危険を周知して、その後は市町村で警戒避難計画を作っていきます。そのための基礎資料を作るという業務がどんどん増えていき、私はそのことにずっと関わってきました。

この業務においては机上で設定をしますので、現地に行って机上でやったものと現状が合っているかどうかということを確認します。自然科学的に見て判断すると、斜面の傾斜やその高さが法律で決められたガイドラインを満たしていない、崖崩れが起きそうな所でも、実際、道路や歩道1本挟んで、こちらは警戒区域に入っているけれど隣は入っていないということが起きることがあります。実際に現場で立ってみると、きっとここに住んでいる人は逃げるときにご近所同士声を掛けて逃げるのではないかと思いますが、そうなるとお隣同士でありながら、こちらは警戒区域に入って警戒避難計画の対象のお家になっているけれど、こちらは入らないということになりますので、これでいいのかと疑問を持ちました。

ハザードマップを受け取った住民がハザード通りに動くわけではないということです。自分たちの身の安全を考えて、早期避難が重要な土砂災害に備えて、どのように適切なタイミングで避難をするかということを、もう少し地区や集落として考えてもらえるような、防災意識を高めていくようなツールとセットで、こういうハザードをコミュニティの中に持ち込まなければいけないのではないかと、この業務をやりながらずっと思っていました。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。