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防災インタビューVol.171

災害現場でも役に立つ 自動ラップ式トイレ『ラップポン』

放送月:2019年12月
公開月:2020年4月

餅月 忍 氏

日本セイフティー株式会社
ラップポン事業部 営業部 部長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

特殊フィルムで臭いも菌もラップ

自動ラップ式トイレ「ラップポン」では、まずフィルムを1回セットすると50回連続して排泄ができます。このフィルムは、特殊なボスフィルムというフィルムを使っておりまして、排泄をした時点で約1カ月半、臭いと菌を閉じ込め、大腸菌繁殖もないということを第三者機関に出して試験データをきちんと出しています。災害派遣の際にも、警察や自衛隊、消防の方たちが、1カ月くらい活動した後、自分の排泄物を持ち帰るのに、臭いや菌が出ないというデータが必要だということで、東日本大震災後にこのテストデータを防衛省にも提出しました。

「ラップポン」は、フィルムに凝固剤を入れてあり、排泄をした後、ボタンを押すと約25~26センチ下の方に落ちて、フィルムを熱で圧着して冷却して切り離すまで自動でできます。そうすると密閉されて、ポテトチップの袋の空気が抜けているような状態のものが出てきます。これは危機管理という見方でいうと非常に有効で、病院や避難所などでも長期になると必ず感染症が発生したりしますので、感染症が広がるのを防ぐために隔離した部屋でこのトイレを使用できます。このように、避難所や病院などでいろいろなことを考えて使われています。

要介護者の尊厳を守るために

私は災害現場に行くといつも思い出すことがあるのですが、中越地震の時にトイレの設置をする段取りをしていた際に目撃してしまったかわいそうな現場の様子です。その時、身体の大きな、足の不自由な老婦人が、車椅子で2人のボランティアの方に付き添われて外の仮設のトイレに行くのが、ちょうど私の目に留まりました。外の仮設のトイレのドアを開けると、段差がある和式のタイプで、手すりなどの持つ所が当時のトイレにはなくて、どうされるのかと思って見ていると、2人の方に支えられてドアを開けっぱなしで、そのままお尻をむき出しの状態で用を足していました。外を通る人みんなに見えてしまう状態で、どんな気持ちで排泄をされていたのだろうか、本当にこんなことが日本にあっていいんだろうかという思いを抱きました。それからすぐに室内に弊社の「ラップポン」を設置できたので、本当に喜んでいただけました。

東日本大震災の時も、1階が津波でやられてしまった小学校の2階の教室にお年寄りが寝ていたのですが、やはり老婦人が毎回毎回階段を下りて、外の1階の仮設トイレに行くわけです。階段を下りてトイレに行って、ようやくまた階段を上がって2階に行って、ホッと座ると、「ああやっぱりまたもう1回トイレに行きたくなったよ」と言いながらまたトイレに降りて行くという姿がありました。「もう少し待っていてね、すぐにトイレ設置するからね」と言って、本当に皆さんが寝ている横に設置をさせていただくと、「本当嬉しい、ありがとう、ありがとう」と言って喜んでいただくことができました。

排泄を我慢するためには食べない、飲まないというふうになってしまいがちなので、使いやすいトイレがあるということは非常に大切で、そのために何とか皆さんのお役に立てればという思いでこれまで活動してきています。災害時には高齢の方や、要介護のかた、障害を持っている方は、普通の健常者よりも大変な思いをされていることが多いですが、2007年の能登半島地震以降少しずつ状況も変わってきて、2019年になって国や県などから、福祉避難所を立ち上げるように指示が出され、状況は非常に変わってきたと思います。それでもまだ十分ではなく、たくさんの人が集まっている混乱した避難所の中で、トイレに誰かの手を借りながら行くのは、やはり気を使われるので非常につらいことだと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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