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防災インタビューVol.172

自ら考え行動するための防災教育

放送月:2020年1月
公開月:2020年5月

森本 晋也 氏

文部科学省総合教育政策局
安全教育調査官

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は、文部科学省総合教育政策局の安全教育推進室で、安全教育調査官をしています。この安全教育推進室は、防災教育を含む学校での安全を担当している部署です。2010年3月までは岩手県の釜石市立釜石東中学校で社会科の教員として勤務し、防災教育に携わっていました。東日本大震災が起きた時は、転勤して内陸部の一関市教育委員会におりましたが、発災後すぐに釜石市教育委員会に応援に行って、釜石東中学校のお手伝いをしました。その後は沿岸部の方に異動になって半年弱、大槌町教育委員会で学校再開に従事した後に岩手県教育委員会で防災教育を担当し、その後交流人事で岩手大学の教員を経て、2019年4月から現在の職に就いています。東日本大震災の時には、主に学校の再開に関わる仕事をしており、いろいろな支援を受けるための窓口になったり、校舎も被災していたので、新たな場所で学校が再開できるように、椅子や机など、子どもたちに必要な学習道具を準備していました。

現在は、文部科学省で防災教育や安全教育を各学校が推進していくための考え方をまとめたり、国として防災教育、安全教育が広がっていくための施策を練ったり、講師になって研修会でお話をさせていただいたりしています。

東日本大震災後の子どもたちへの聞き取り調査

東日本大震災の前年の2010年まで、釜石東中学校に勤務し、防災教育に携わっていましたので、当時の生徒たちに避難の状況や、震災前に学んだ防災教育で実際に何が一番大事だったのかということについて、聞き取り調査をしました。

その中で、まず「東日本大震災が起こった時にどのように避難したか」を聞いています。まさに2011年3月11日14時46分、これまでに経験したことのない、本当にとてつもない大きな揺れが長く続きました。釜石でも震度6弱を観測しました。「この時、生徒たちはどうしたのか」ということで、当時の中学校2年生13人に聞き取り調査をしたところ、子どもたちは、部活をしていたり、卒業式の準備をしていたり、校舎内のいろいろな場所でそれぞれ地震に遭遇しました。

例えば体育館にいて、ちょうどバスケットボールの練習を始めたという生徒たちは、大きな揺れの時にまず身体をかがめて身を守ったのですが、揺れが収まらず、以前、地震で体育館の照明も落ちたことがあったことを思い出して、このままこの体育館にいるのは危険だと判断して、生徒たちで声を掛け合って体育館の外に出たと言っていました。その時にボールを持って逃げようとしている生徒や荷物を持っていた生徒に、「そんなものを持つんじゃない」と声を掛けたそうですが、それは防災教育で学習していた知恵が役立ったということも話していました。グラウンドで練習中だった別の生徒は、「本当に一瞬で頭が真っ白になって、何も考えることもできなかった」と言っていましたが、実際、その生徒は、気が付いたら身体は動いていて避難場所に向かって走っていたそうで、「避難訓練ってあらためて大事ですね」と言っていました。

防災教育の大切さ

当時の釜石市では、年に数回は避難訓練をしていましたが、それ以外にも防災に関するいろいろな学習や体験的なこともやっていたのが生かされていたようで、生徒たちや当時の先生たちにいろいろな話をお伺いすると、防災教育をやっていたことが、実際に大地震が起こった時の判断や行動に結びついたとのことでした。

このような防災教育は、地域によって、学校によって、やはり取り組みに差があるのが課題かとは思いますが、現在はこれだけ自然災害も多発していますし、大規模な地震も懸念されていますので、各地域で実践的な教育を進めていこうという動きは以前よりは高まっていると思います。特に南海トラフなどの津波の危険がある地域では、学校でも地域と連携した実践的な取り組みを行っています。

私が教員をしていた釜石市でも、当時、宮城県沖地震が30年以内に99%起こる可能性があると言われていたのですが、堤防がこれだけできているから大丈夫だと思う方も多く、なかなか地域の方々も避難訓練への参加が少ないなど、実は課題はたくさんある中で、学校での防災教育がもっと必要なのではないかということで、ちょうど震災が起こる少し前から、当時群馬大学の片田先生の指導の下、積極的に防災教育に取り組むようになったところでした。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。