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防災インタビューVol.174

記者の目から見た災害時のメディア

放送月:2020年3月
公開月:2020年7月

杉浦 美香 氏

編集者・ライター

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は、兵庫県尼崎市出身で、立命館大学を卒業後、産経新聞大阪本社に入社し、30年間記者として勤めてまいりました。しかしながら、今メディアはなかなか厳しい状態で、産経新聞も同じような状態の中で50代の社員に対して希望退職を募っていました。新しいことにチャレンジするにはいい機会だと思い、昨年11月に30年間勤めてきた産経新聞社を退社しました。今は原稿を頼まれて書いたりしながら、ライターを務めております。

記者の目から見た災害

私は関西出身で大阪本社がスタートだったのですが、ちょうど25年前の阪神淡路大震災のときに記者生活初の災害取材を体験しました。その後東京本社に転勤したときに東日本大震災を経験し、そのときちょうど山形支局長が東北の被災地に行ってなかなか戻って来られなくなり、私が支局長として5月の連休明けに山形に赴任しました。その後一度東京に戻ったのですが、北海道の札幌支局長に赴任することになりまして、そこで北海道胆振東部地震が発生し、北海道全体がブラックアウトした状況を取材することになりました。このように3回も大きな地震に遭遇し、実際に現場の取材もしてきましたが、考えてみると私が行く所、行く所に大きな地震が多いので「来ないで」と言う方もいました。今私は東京にいますので、東京に大きな地震が来なければいいと思っておりますが、すでに新聞社は退社しておりますので、大きな地震はないことを祈っています。

このように、3つの地震を体験してきた中でも一番印象に残っているのが阪神淡路大震災です。当時、私は尼崎で両親と暮らしていましたが、自宅の壁もひび割れ、最初は水も出ない状況でした。最寄り駅が阪急塚口駅でしたので、そこから梅田駅に出ましたが、あれだけ大きな地震があったことが信じられないくらい、そこには普通の日常生活が広がっていました。逆に阪急線の西宮から先は、全く電車は動いておらず、景色は一変しました。がれきもたくさんありましたし、つぶれてしまった家屋も多くあり、緊急車両が列を作って渋滞しているというような状況でした。つぶれている家の隣の家はつぶれていなくて大丈夫だというような状況もあり、非常に不思議だったのですが、ちょうど断層の上に位置していたり、耐震構造になっていたり、ということで、隣同士であっても被災状況にはかなりの差がありました。

その後もいくつか大きな地震に遭いましたが、最初に体験した阪神淡路大震災を基準にして災害を考えるようになりました。「阪神のときはこうだったからこうだね、この程度だね」というように、自分の記者としての取材の判断にもなったのが阪神淡路大震災でした。今では、災害のトラウマとしてのPTSDという言葉が一般的になっていますが、その当時は、新聞記者ですらそういう言葉も知りませんでしたし、ボランティアの活動もそれ以前はあまり浸透していませんでした。また自衛隊の派遣に関しても、現在は知事の要請があると派遣されることにはなっていますが、要請がなくても「みなし」で現場に派遣されています。しかし、当時はそのような形にはなっておらず、行きたかったのに行けなかったと、記者会見で自衛隊の方が号泣するシーンもあり、現在とは隔世の感がある災害現場でした。

3つの地震の特徴

直下型の都市型地震であった阪神淡路大震災では、大都市の直下で地震が起こり、高速道路が倒れたり、たくさんの方が家の下敷きになり、そのまま火事で亡くなられるというような悲惨な状況もありました。東日本大震災も津波で建物が流されるという非常にショッキングな災害でした。北海道胆振東部地震は、家屋はつぶれたのですが、都市型の地震ではなかったので、田んぼを含めたいわゆる田舎の地方の光景が広がっている中での災害でした。

しかしながら、胆振東部地震では北海道全体がブラックアウト、大停電が起きました。私の家でも、地震の直後は電気はついていたのですが、本社と連絡を取っていた際に停電になり、そのときは北海道全体が停電になっているということは思ってもみなかったのですが、ラジオのニュースで知って本当にびっくりしました。2019年の台風の影響で千葉県でも長い期間停電が続いたこともありましたので、都市部でもこのような停電は起こり得る話なのですが、このときの北海道のように、飛行機や船などの交通機関が止まり、他の地域と遮断された中で大停電が起こるというのは、過去になかった状況でした。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。