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防災インタビューVol.174

記者の目から見た災害時のメディア

放送月:2020年3月
公開月:2020年7月

杉浦 美香 氏

編集者・ライター

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

北海道胆振東部地震によるブラックアウト

北海道胆振東部地震以前は「ブラックアウト」という言葉自体、それほどメジャーではなかったかと思いますが、北海道全体が大停電に見舞われ、全ての電気が止まってしまうブラックアウトの状態は、初めての経験でした。

2018年9月6日午前3時7分に胆振東部地震が発生したとき、私はパソコンを立ち上げたままで寝ていたのですが、地震発生後少しの間は電気はついており、テレビから地震速報が流れていました。その後突然停電になり、懐中電灯がどこにあるかも分からず、取りあえず現場に行くために、暗闇の中でスマホの光を頼りに着替えをし、パソコンや着替え、水などを用意して玄関を出ました。私はマンションの5階に住んでいたのですが、エレベーターも止まっていたので、仕方なく、立ち上げたままのパソコンのバックライトで足元を照らしながら階段を下りました。このとき初めて体験して、パソコンのバックライトはスマホのライトよりはずっと明るいことが分かりましたが、両手がパソコンでふさがってしまうので怖い思いをしながら何とか下りてきました。地上でもスマホの光を懐中電灯代わりにしながら歩いている人が多くいました。取りあえず、地上に下りて、駐車場に行きましたが、停電の中では立体駐車場だと車が出せませんし、1階に停めていたとしても、シャッターが閉まっていたら出すことができませんので、私は平置きで車を置いていたので助かりました。以前から充電器を用意していたのが命綱になりまして、パソコンの充電もスマホの充電もでき、車を走らせて充電しながら現場を目指して移動することができ、ブラックアウトの中でも非常に助かりました。

また、東日本大震災のときにはガソリンスタンドにガソリンがなくなってしまったということがありました。私も被災地に行くにあたって、目盛りをみると半分しかガソリンがなくて、これからどれくらいの距離を走って、ガソリンを入れられるかも分からない状況の中で、被災地に着けても取材のための車がガス欠になって停車してしまい、緊急避難をしている方の迷惑になってしまったら大変なので、なんとかガソリンを入れようと焦っていました。ガソリンスタンドを見つけるたびに立ち寄るのですが、店員はいても「停電でガソリンが入れられない」ということで困っていたところ、被災地に近い夕張のご夫婦で経営しているガソリンスタンドには非常電源があり、ガソリンを入れることができました。このご夫婦のお宅自体も大変な事になっていたそうですが、ガソリンがなくて困っている人がいるだろうということで開けてくださっていたそうです。ガソリンを入れて、安心して被災地に取材に行くことができましたが、それ以降は、ガソリンがちょっとでもなくなってくると、常にガソリンを補充しておくようになりました。

このように、私も被災して実感したのですが、被災地ではガソリンを入れるにも長蛇の列ができますので、常日頃からガソリンを満タンにしておくことが大事であると感じました。石油連盟も残りのガソリンが半分になったら、満タンにしておくことと、灯油も1缶プラスして用意しておくことを推奨しています。特に北海道では、雪の中に閉じ込められたりしたときに、ガソリンがないというのは命に関わることなので、皆さん早めに給油することが多いのですが、特に今回のようにブラックアウトした場合にもガソリンは命綱になると感じました。車の中で避難することもできますし充電もできるので、ある意味非常に重要な役割を果たすものだと実感しました。

停電時には「アナログ」が役に立つ

北海道胆振東部地震でもうひとつ盲点だったのが、ブラックアウトしたときには電子マネーやクレジットカードが使えない、お店で物が買えないこともあるということです。実際、コンビニエンスストアに商品はあるのにポスシステムが使えず、レジが打てないので売ることができないということもありました。私も被災地に向かう時に買い物をするためにコンビニエンスストアに寄ったのですが、現金で買おうと思ってもレジが使えず売ってもらえませんでした。

そのような中、北海道を拠点とした「セイコーマート」というコンビニエンスストアでは、震災直後の停電時に、プラグインできる電気自動車を店のところに持って来て、そこから充電をしてレジを打てるようにして、いち早く営業を再開しました。このことは「セイコーマートの神対応」ということで、随分と評判を上げました。さすが北海道のコンビニエンスストアだということで非常にいいお手本になっています。

現在政府は電子マネーやキャッシュカードによる電子化、キャッシュレス化を進めていますが、ブラックアウトのときにいち早く営業できたのはいわゆるアナログの一般の小売店でした。市場は結構早くに再開したのですが、大手スーパーマーケットは買い付けに来られず、物流においても電気がないと注文も配送もできないので、実際に市場で仕入れて販売できたのは、市場の近くで野菜を手売りしている八百屋さんで、すぐに営業していました。魚屋さんなど、生ものを扱う店は電気がないとなかなか難しいかと思いますが、アナログで手売りをしている商店の方が、停電などのインフラがなくなったときにも何とか早くに営業を再開できたのです。現在はキャッシュレス化をどんどん進めていますが、災害時を考えた際には弱い部分となり得ますので、そういうことも考えた上でやっていかなければならないと思います。通常はキャッシュレスであっても、災害時を考えた場合は、現金も少しは用意しておいた方がいいと思います。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。