1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報
  4. 防災インタビュー
  5. 災害情報とボランティア
  6. 社会福祉協議会と災害ボランティアセンター
  1. ホーム
  2. 東急沿線の地域情報
  3. 安心・安全情報

防災インタビューVol.176

社会福祉協議会と災害ボランティアセンター

放送月:2020年5月
公開月:2020年9月

高橋 良太 氏

全国社会福祉協議会 地域福祉部長
全国ボランティア・市民活動振興センター長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害ボランティアの限界

2019年9月には、台風15号が強い勢力で千葉県に上陸して停電したことが最も大きい課題になりました。台風そのものの被害も大きかったのですが、停電したことで電話が使えず、連絡が取れないことが一番課題になっていました。何をしたらいいのか、どのぐらい被害があるのかが分からない中で、何をするべきかを相談しようにも通信手段がないようなブラックアウトの状態は、2018年の大阪の台風や胆振東部地震の時も発生しました。このようなブラックアウトの状況においては、災害ボランティアというよりも実のところは、近隣の助け合いが問われたのではないかと思います。

台風15号では、千葉県を中心として瓦の被害が非常に大きかったのですが、災害ボランティアセンターとしては屋根の上の危険な作業というのはなかなかボランティアさんたちにお願いすることができないということがありました。ここはボランティアの支援による課題というか、限界が見えたところかなというふうに思います。この時は、たくさんの技術系のNPOの方々が、屋根の上に上がって、瓦が外れた所にブルーシートを掛ける作業を担ってくださいました。そういう方々がいない限り、技術系の作業というのはなかなか進まないということをこの災害を通して実感しました。現在もまだ修復できず苦しんでいる方が千葉にはたくさんいますが、新型コロナウイルスの騒動もありましたので、ブルーシートを掛けるNPOの方々が一時活動できない状況が今なお続いているということで、本当に大変な状況だと思います。制度的な面も少しずつ整ってはきているのですが、屋根を完全に直すような制度がないので、このような状況はまだまだ続いていくかと思います。

同じように台風19号で宮城県の丸森町でも大きな被害が出て、本来的にはまだまだ土砂を撤去しなければいけないお宅があるのですが、この新型コロナウイルスの影響でボランティアさんたちを集めることができずにそのままの状態が続いているということです。災害だけでも大変なところに、新型コロナウイルスが来て、被災している状況が直らないままずっと留め置かれてしまうというのは本当に厳しい状況ではないかと思います。被災された方もそうですが、いつもなら助ける側に回る方々も動けない。本当にひどい状態で被災者の方もつらい思いをしています。

新型コロナウイルスによる災害

本当に皆さんがつらい思いをされている今の事態は災害だと思います。ただ、現在はライフラインが通じていて、食べ物、飲み物、さらにトイレの心配をしなくていいというのはまだましなのだろうという感じがします。ちょっと不謹慎かもしれませんが、災害になるとライフラインも消え、食べる物も飲み物もなくて、トイレを流すこともできなくて、寝る場所もない状況になると思いますが、それを考えれば、なんとかもうしばらく辛抱して家にいるというのはとても大事なことではないかと思います。ある意味、新型コロナウイルスは、原発事故の時に相当似ている感じです。「見えない敵」という意味では、放射線と新型コロナウイルスは相当似てはいます。そういう意味では、分からない恐怖というのが当然あるのではないかと思います。感染というのは、まだ治療薬もないということで、自分自身ではどうにもならない部分はありますが、きちんと対処していく必要はあります。

こういう時期なので、家にいることを強いられますけれど、それにしても孤立をすることで、さらにつらい状況、大変な状況になってしまうのではないかと思います。電話やメールなどでつながれる人は、きちんとつながっていくことが大切ではないかと思います。接近したり、つながることは駄目だと言われていますが、物理的に接近するのではなく、電話やメールなどを使いながらしっかり「隣にいるよ」ということをお互いに発信しながら、お互いに支え合っていくということを、今こそやる必要があるのではないかと思います。災害の際にも、仮設住宅や復興公営住宅などに、地域から離れて住んでいて、孤独に過ごされている方もよくいますが、そういう方々に対しては、見守りをしたり、個別訪問をしながら、しっかりと支援をしていくことが必要になってきます。しかしながら、今のこの新型コロナウイルスの状況ではお宅に訪問することができないので、それ以外の手段でつながることを考えていく必要があるかと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

会社概要 | 個人情報保護方針