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防災インタビューVol.176

社会福祉協議会と災害ボランティアセンター

放送月:2020年5月
公開月:2020年9月

高橋 良太 氏

全国社会福祉協議会 地域福祉部長
全国ボランティア・市民活動振興センター長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

新型コロナ禍における災害ボランティアの活動

今回の新型コロナ禍においては、いままでボランティア活動で大事にしてきたつながりとか、寄り添いということとは真逆の形になっており、つながれない、寄り添えないということになっていますので、今までの考え方ではなかなか活動できないということを実感しています。新型コロナウイルスがまん延している中では災害ボランティア活動をどうするのかということがネットでも話題になっていますし、災害ボランティアの関係者の中でも話題になっていることです。

本当にこの難しい状況の中でどうしたらいいのかを私たちも考えてはいるのですが、まず何よりも大原則としては、こうした新型コロナウイルスがまん延する中でも「ボランティアは自主的で自由な活動である」ということを崩してはいけないのだろうと思います。そこのところがとても大事で、本来的には自由な活動なので、できることをしっかりやっていくことが必要だと思っています。ただそうは言っても、今回の新型コロナウイルスがまん延している状況、また緊急事態宣言まで出ている状況においては、被災地の外からウイルスを持ち込むということは非常にまずいことなのではないかなと思っています。ですので、被災地外からボランティアさんたちに来ていただくことは現段階では難しいと思っていますし、また来ていただいたにしても、被災地からウイルスを持ち帰る恐れもあったり、また被災者とボランティアさんの間で接触をして感染することもあるだろうと思いますので、基本的にこうした緊急事態宣言下での災害ボランティアの活動というのはある程度制限せざるを得ないと思っています。

実際にも、長野や宮城県丸森町などの2019年の台風19号の被災地では、ボランティアセンターはまだ開けてはいますけれど、今外からボランティアさんたちの応援を求めることはしていません。ただ一部のボランティアセンターでは近隣の市町村の方で登録をされている方に限って来ていただき、細々と活動しているところはありますが、そこのところは本当に顔の見える関係の中で、お互いに感染に注意をしながら、合意を得ながらやっているのが現状です。こういう状況でも1人では生きていけない方もたくさんいるので、そういう中で誰を優先していくのかということが非常に難しい問題です。

避難所における感染症対策

熊本地震はまだ記憶に新しいと思うのですが、その避難所でノロウイルスが発生したという事件がありました。断水していて、なかなかトイレの手洗いが十分ではないことが原因だったという話もありました。

この熊本地震の時に私もホームヘルパーさんたちと現地に行きました。2人1組で2泊3日ずつ、約1カ月間ヘルパーさんたちを派遣していましたが、ヘルパーさんたちは、通常からインフルエンザなどの感染症に対する対応がしっかりしていますので、被災者の家に行った時にきちんと手の消毒をしたり、きちんと換気をしたり、室内の環境整備をしたりしていました。特にトイレなどで感染をする場合もあるので、そこをきちんと掃除されていました。このように、生活環境を整えて、感染予防をする姿勢は、非常に学ぶところが多いと思います。

新型コロナウイルスがまん延している状況において、内閣府から4月1日と4月7日に、避難所の対応についての事務連絡が発出されました。新型コロナウイルス感染予防のために、間隔を空けたり、換気をきちんと行うということも当然ありますけれども、やはりそれぞれが手をしっかり洗ったり、換気をきちんとしたり、環境を整えるということが大事で、それは通常の災害の際の対応とあまり変わらないと思っています。外出自粛が要請されている中では、自宅で生活される場面も多いかと思いますが、もしも感染をした場合でも家族の中でうつし合わないような環境を整え、手の消毒をきちんとしたり、マスクをしっかり着けておくということが大事になってくるのではないかと思います。徹底した対策を取っていても、新型コロナウイルスは本当にしぶとくて、しっかりやったつもりでもなかなか防ぐことが難しいということもありますので、今は社会的にもかなり課題になっていますが、感染した人を責めたり、差別をすることがないようにしなければいけないと思います。これだけ感染力が強いと言われている状況の中で、本当に身近なところに来ている新型コロナウイルスですので、もういつ誰がかかってもおかしくないし、そこのところを完全に防ぎきることは難しいです。そういう中で本当にお互いがお互いを思いやること、人に対して優しくなることが大事になってくると思います。

施設の中で今感染するリスクを負いながらも障害がある方に対してきちんとケアをしている介護従事者の方もいます。そういう困難な状況でも、自分がうつさない、感染の媒介をしないようにしっかりと対策を練りながら対応してケアを続ける方々もいらっしゃいます。もし、ご自宅で感染した方をケアすることになったときには、同じようにしっかりとした対策を練りながらやっていただくことが大事になってくると思います。しっかりと対策しながら、精神的にも疲弊しない努力も必要ですので、自分一人で抱え込まずに、必要であればSOSを出して助けを求めることも必要です。「駄目だ」と思ったら助けてもらう、「できる」と思ったら助けてあげる、そんな「助けられ上手、助け上手」になっていただければと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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