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防災インタビューVol.176

社会福祉協議会と災害ボランティアセンター

放送月:2020年5月
公開月:2020年9月

高橋 良太 氏

全国社会福祉協議会 地域福祉部長
全国ボランティア・市民活動振興センター長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私が全国社会福祉協議会に入ったのは約30年前で、途中2年間、中央共同募金会に出向し、4年前から地域福祉部長、ボランティアセンター長として、現職に就いています。災害支援に関しては、中越地震、能登半島地震、中越沖地震、さらには東日本大震災など、いろいろと携わってきてはいましたが、地域福祉部長になって最初に災害対応したのが、熊本地震でした。その後も土砂災害を含めて、2018年7月の広島豪雨、2019年の台風19号などさまざまな災害に携わってきました。

社会福祉協議会自体は全国の市区町村に全て、さらには都道府県にも全てあり、社会福祉法に定められる民間の団体として、主に地域福祉を推進する団体と位置付けられているのですが、私はその中央の団体で活動しています。災害が主な仕事ではないのですが、社会福祉協議会は実際に地域を基礎に活動を展開していますので、いざ災害になった場合は、その地域の社会福祉協議会がその地域に住んでいる方の支援を行うのが使命になっています。災害時に各自治体で立ち上がる災害ボランティアセンターに対して、私ども中央の全国社会福祉協議会が中心になって、バックアップの支援をしています。

災害ボランティアセンターの起源と歴史

災害ボランティアセンターの起源は1995年の阪神淡路大震災にさかのぼります。この時はまだ災害ボランティアという呼び名がなく、福祉救援ボランティアというような形でした。災害被災地でボランティアをする方々も初めて、そこで支援をする社会福祉協議会のボランティアコーディネーターも実際にやるのは初めてという形でした。災害ボランティアというものが根付いていない時代に137万人を超えるような多くの方々に被災地に来ていただきました。この年は、「ボランティア元年」と言われるぐらい、その後のボランティア活動の発展にもつながっていくものになりました。私がボランティア支援に携わり始めるのが中越沖地震の時でしたが、2000年になるとさまざまな地震災害や台風災害が発生し、その頃には、災害ボランティアセンターを社会福祉協議会が立ち上げて活動するということが一般化してきました。

その後、社会福祉協議会だけではなく、地元の関係者の方々や外から来てくれたNPOの方たちと一緒になって災害ボランティアセンターを運営することが一般化していく形になってきたと思います。さらに東日本大震災の時には、190を超えるようなボランティアセンターが立ち上がりましたが、全て社会福祉協議会がやるということではなく、地元の方々、あるいはNPOが単独でやることもできるようになり、多様な災害ボランティアセンターも広がってきたのではないかと思っています。また2018年の7月豪雨の際には、ボランティアセンターを立ち上げるというよりも、地元の町内会自治会の方々が自分たちでボランティアセンターのような形で活動するという事例も出てきていますので、本当に多様な広がりが出てきていると感じています。災害が起こると、まず若い方や自分ができることをしようとする方々がすぐに集まってきてくれるような時代になってきたという印象を持っています。

今一番全国で問題になっているのは新型コロナウイルスの問題ですが、これは今まで経験したことがないような災害だと感じています。災害ボランティアにとっては、「つながる」とか「そこに寄り添う」ということがキーワードになるかと思いますが、それが、三密の防止のために基本的にはつながることもできない、寄り添うこともできないという事態になっているので、これをどういうふうに乗り越えるかというのは、この災害に携わる方々の大きな課題になっています。外の力を借りるというよりも今は自分たちで自分たちの命を守る、あるいは近隣の方も含めて、近くの顔の見える方々でどういうふうに支え合うのか、互助の力というのも非常に問われているのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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