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防災インタビューVol.176

社会福祉協議会と災害ボランティアセンター

放送月:2020年5月
公開月:2020年9月

高橋 良太 氏

全国社会福祉協議会 地域福祉部長
全国ボランティア・市民活動振興センター長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

ボランティアが集まる所、集まらない所

2019年の台風15号、19号は、非常に大きな被害を東日本中心にもたらしました。その際に、なんと20万人を超えるボランティアさんが集まって活動してくれました。そして、全国で104の災害ボランティアセンターが立ち上がりました。あまりにも数多くのボランティアセンターが立ち上がったので、それぞれの災害ボランティアセンターになかなかボランティアさんたちが来ていただけないような、言葉は悪いのですが、ボランティアさんが不足しているというような報道も相当あったので、記憶している方もいらっしゃるのではないかと思います。これだけ大きな災害になってくると、外から支援をしてくれるボランティアの人を入れるというのは難しくなってくると思います。郡山市の例でいうと、発災後来られる方が、100人いかない日がずっと続いていました。同じ時期に、長野市には報道も多かったので3000人も来ていました。被害状況としては、郡山も同じように大きな被害があったのですが、長野には人が集まっても郡山には、なかなか人が来てくれないということがありました。ボランティアさんに交通費を渡したら来てくれるのではないかという話もあったのですが、そうではなくて、僕が思うには、基本的には災害のことを自分事、わが事になっていないからではないかと思います。本来的には、遠くから来る人ではなく近隣の方々で支援することが大事だと思います。実際には、なかなか外から入って来られないような状況ももちろんありましたが、台風19号の際には、宮城県丸森町や長野市がシンボルになっており、報道もボランティアさんもそこに集中したために、その他の場所にはあまり人が来なかったということがありました。それを考えると、基本的には被災地の近隣の方たちが、どこまでその被災地を自分たちのことだと思い、自分たちが何とかしなければいけないと思えるかどうかということが問われていたのではないかという感じはします。

報道される所とされない所という偏りももちろんあるのですが、地元で災害が起こったときのことをきちんとあらかじめ考えていられるのか、またそういうことを考えてくれるような市民、住民がいたのか、社会福祉協議会も含めてですけれども市町村の行政も、みんなでそういうような考える場を持っていたのかどうかということが、一番の問題ではないかと思います。また、今回の災害では、被災規模が大きかった所があまり報道されず、絵になる所、センセーショナルな話題がある所ばかりが報道で取り上げられたというのも大きかったと思います。実際、現在の新型コロナウイルス問題にしても、メディアの報道はある程度偏っていると思います。報道では「感染した方が増えてきたから大変だ」とか、「減ったからよかった」ということで一喜一憂をしているのですが、実際そういうことではなく、みんなきちんと家にいて、それによって、「人にうつさせない、自分もうつらない」ということで、みんなで感染を防止しつつ、まん延を防ぐということをしないといけないと思います。

防災ボランティアセンターと防災ボランティアの課題

災害ボランティアセンターの立ち上げについては、行政と協議をしながら立ち上げるところが非常に多いのですが、実際の被害の状況を把握しているのは行政ですので、その行政とどのくらい連携ができるのかにかかってくることになります。もちろん資金面の支援も行政からしてもらわなければいけないのですが、それ以外のところでも、被災された家を片付けた後の災害ゴミをどこに捨てるのか、あるいは集積所はどこにあるのかとか、そういう話についても行政を通してやっていかないとうまく処理できないことも当然出てきますので、どのぐらい行政との連携協働ができるのかというのは災害ボランティアをうまく進めるための重要な課題になってくるのではないかと思います。

台風19号のケースで言いますと、長野市のように1日に3000人のボランティアさんが来るような所もあります。そうすると、3000人のボランティアさんをきちんとマッチングをし、きちんとニーズに結び付けることが必要になってきますので、地元の災害ボランティアセンターに携わる社会福祉協議会の人たちだけではそれを賄いきれなくなります。この台風19号の際には、全国の都道府県から延べ3000人を超える社会福祉協議会の職員を応援派遣していただき運営に携わっていただきました。やはり災害が起こると地元の方々自身も被災者となってしまい、その方々だけでボランティアセンターを運営することはできず、そこに他の団体の方、さらには被災地以外の所からの支援を入れない限り災害ボランティアセンターの運営はできないということになってきますので、この応援の仕組みをあらかじめ作っておく必要があるということも課題のひとつになってくると思います。

さらに台風15号の時の被害が典型的なものになりますが、屋根の上での危険な作業というのは災害ボランティアセンターではなかなか扱えないということと、台風19号の際の床下浸水の被害では床を剥がして泥をかき出す必要があったり、あるいは壁を剥がして断熱材を除去するということが必要になりました。そういうような場合には、建築の知識をある程度持っていなければ作業ができないということになりますので、なかなか災害ボランティアセンターでは対応ができません。専門的な技術が必要な部分については、技術を持ったNPO、NGOに入って来ていただいて、そこと連携をしながらきちんと作業をしていくことが被災者の復興、復旧に貢献するためには重要になってくると思います。

ボランティアにもさまざまな形態がありますが、その他の支援というのも非常に助かります。台風19号の際には、企業の方々も携わっていただき、企業からのお金の支援や携帯電話の貸し出し、あるいは自動車会社からはレンタカーを無償でご提供いただくということもありました。その他にも、ボランティアセンターに常駐していただいて、運営の支援をしていただいたり、さらには屋根の上に上って直す技術を持った工務店にブルーシート張りを手伝っていただいたり、自衛隊と並んで、消防団や消防署の方など、体力もあって、高所作業もできる方にも活躍いただきながら、仕事として、あるいはボランティアとして関わっていただけたことが非常に力になりました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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