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防災インタビューVol.180

特別支援学校における防災

放送月:2020年9月
公開月:2021年1月

湯井 恵美子 氏

福祉防災コミュニティ協会
福祉防災上級コーチ

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は現在、福祉防災コミュニティ協会の福祉防災上級コーチをしています。息子が2人おりまして、今年25歳になる次男は、重度の知的障がい者です。彼が地元、大阪の吹田支援学校に通っている時にPTA会長をやり、そのご縁で特別支援学校の防災に関わるようになりました。今では防災企業連合関西そなえ隊の事務局や大阪府立支援学校PTA協議会OB会の防災担当などの防災に携わりながら、ボランティア活動も行っています。

4年前から兵庫県立大学大学院で特別支援学校の防災計画について研究を始めました。年を取ってからの学生生活ですが、防災士として、またボランティアとしてだけではなく、研究者としても特別支援学校の防災対策、あるいは防災計画がもっと進むことを願って研究をしています。

特別支援学校で防災に取り組んだきっかけ

まずは特別支援学校で防災に取り組んだきっかけをお話ししたいと思います。自分の子どもに障がいがあって生まれてくるということについて、最初からその事実を認めるというか、受容することはとても難しいことです。「わが子の障がい受容のプロセス」などとも言われますが、「自分の子どもに障がいがあってもいいわ。だってこんなに愛しいんだもの」と思う日もあれば、「ああ、何で障がいがあるんだろう」と悲しく思う日もあって、そういう日が繰り返してやってきます。良い日もあれば悪い日もある、でもだんだんと時間をかけて「わが子に障がいがあっても愛すべき存在なんだ」ということを受け入れていくようになります。その過程において、障がいのあるわが子だけにフォーカスされていた自分の世界が、だんだんとPTAなどの社会活動に向いていって、その活動の中で仲間ができていくことで、より自分も過ごしやすくなるというようなプロセスを経ていくように思います。その中で、特別支援学校で起こること、あるいは障がい児を育てる中で起きていることというのは、災害に突然遭うこととよく似ています。というのは、「突然被災者になる」というそのプロセスと、障がいのある子を持つ親の心情のプロセスというのはとてもよく似ていると自分では思っていて、私たちのような障がいを持つ子どもの親だからこそ、防災の世界にも、また違ったことを見いだせるのではないかと感じ、防災に本格的に取り組もうと思いました。

特別支援学校におけるPTAの役割

障がいのある子どもの親が、視野がだんだん広がって特別支援学校のPTAに入っていくのですが、その中ではやはり印象的なのは、全員が同じ境遇だということです。日常では私たちは非常に珍しい境遇で、地域の中では圧倒的少数派なのですが、支援学校に行くとみんなが仲間で自然と支え合う、そういう空気感があることに私は最初びっくりしました。特別支援学校のPTAの役員を経験して「仲間って大事だな」と改めて思いました。

一般の小中学校のPTAとは圧倒的に関わり方が違っていて、特別支援学校のPTAというのはなくてはならない存在です。これはなぜかというと、自分でこうしてほしい、ああしてほしいと言えない子どもたちの代弁をしなければならないこともたくさんありますし、親だけではなく学校の先生たちと一緒になって、子どもたちがもっと過ごしやすくなる学校の環境改善、生活の改善、療育の方法などを一緒に考えていく、その組織が特別支援学校のPTAだからです。私も実は初めての経験でしたが、吹田支援学校に入って自分で立候補して会長になりました。その時に防災の研修会がありまして、そこでこちらのサロン・ド・防災でもおなじみの鍵屋先生が京都で講演をされました。その中で、講演の最後に「今この瞬間に大規模な地震が起きても、あなたのお子さんは大丈夫ですか?」と問い掛けられたのです。私はそれを聞いてものすごく衝撃的で、「絶対に無理だ。このままだと私の息子は死んでしまう」と思いました。京都から私の住む大阪までは電車でも3、40分かかりますが、歩いて帰ることになったらどれぐらいかかるのか、本当にたどり着けるのか、そう思っただけでもものすごく悲しくて、特別支援学校の防災をもっと整えておかなければならないと思いました。そこで特別支援学校の防災をもっと身近なものに捉え直して、親が主導になって作り直すものにしていけないかと考えるようになりました。

この時は、PTAの会長になって1年目だったので、まだ私の方から強く「こうしてください」と発信する力がなかったのですが、取りあえず自分でできることをやってみようということで鍵屋先生の講演の中で紹介していただいた「SOSファイル」という情報ファイルの作成に取り掛かりました。それは、災害が起きて親が亡くなってしまったときに、障がいのある子どもたちがとても生活面で不便をするのではないかという親の思いから、福岡の特別支援学校のお母さんたちが作られたものなのですが、それを吹田支援モデルに書き換えて作りました。吹田市での福祉サービスの情報や、吹田支援学校の避難所での過ごし方や装備しておく備蓄品の情報などを掲載し、万が一、親が亡くなってしまった際にもそのSOSファイルを見たら初めてその子どもに会う支援者でもきちんと支援ができるような、そういう情報をまとめた情報ファイルになります。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。