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防災インタビューVol.168

「地区防災計画」から始める防災への備え

放送月:2019年9月
公開月:2020年11月

早川 直喜 氏

札幌市危機管理対策室
地域防災担当係長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

地区防災計画を作ることで広がる防災の輪

「地区防災計画」というと、計画という名前が付いていることで敷居が高くなっている感じがあると思いますが、それぞれが防災対策をしないといけないということは、皆さんご理解いただいていると思います。そこで、まず一人一人、自分自身がしっかりと防災に取り組み、それを例えば家族で、親戚同士で、友達でということでちょっとずつ広げていくのがいいのですが、それだけでは災害が大きくなった場合には、自分たちだけでは対応できないような状況になることもあります。防災については、地域で助け合うことが大切だということを実感して、少しずつ進めていくことが必要だと思います。

防災を考えた時に、まず地区防災計画を作ることから入るひとつのメリットは、やはり「まず計画を作る」というところだと思っています。ただ「防災をやりましょう」と言ってもなかなかできません。それは勉強と同じで、「勉強しましょう」と言っても勉強は大切なのは分かっているけれど、勉強はなかなかできません。例えばお子さんに勉強部屋を与えてもなかなか勉強するようにはならないし、ただ「夏休みの計画を立てなさい」と言ってもなかなか計画というのは立てられないものです。まず夏休みの計画を立ててみて、計画通りやってみて、計画通りにならなかったらまた計画を修正していくことで学力がついていくのと同じように、防災も地域防災計画を作る作業をしていく過程で、顔を合わせたり、知り合いになったり、つながりができるというところから、防災力というのがついてくるものだと思います。このように、「地区防災計画を作りましょう」というところから始めて、どんなことでもいいので、1行でも、A4用紙1枚でもいいので、「うちの町内会、うちの地域は災害が起きたらこうします」「災害に備えてこんなことをします」というようなことを書いてまとめていく過程が、むしろ大切なのではないかと思います。

9月6日の地震の後、2月の夜9時過ぎに余震が起きました。この時は、子どもたちは習い事をしていて遠くにいて、札幌の地下鉄が全然止まってしまったので帰れなくなってしまうという事態が起こりました。この時は、停電はなかったので、携帯電話で連絡は取り合えたと思うのですが、もし、大きな地震が日中に起こると、お父さんは会社、お母さんは買い物で、子どもたちは学校、お兄ちゃんは習い事で遠くに行っているというような状況で皆がバラバラでどこにいるのか分からないということも起こり、大変なことになると思います。このようなこともいろいろ想像しながら、地区防災計画をまとめていくことで、こんな時にはこうしようというイメージができてきますので、まずは家庭から、そして地域へというふうに広げていくと良いと思います。

今後の災害への備え

札幌市ではまだ約120世帯の方が自宅に住むことができずに、いわゆるみなし仮設や市営住宅に住んでいます。そのような住宅に住んでいる方のために今後何ができるのかを考えて、実際に行動していくことが大切ですので、今対策を立てています。また、地震直後はしばらく外国人観光客の方が少なかったのですが、最近本当にまた大勢来ていただいています。今札幌は一番いい季節ですので、たくさんの海外の方が大通り公園や札幌駅にいらしていただけるのは、本当にありがたいことだと思っています。

逆に札幌市民の方が、地震から1年迎えるに当たって、ちょっと地震を遠い存在というか、「震度6弱を乗り越えることができた」「地震6弱というのは、この程度の地震なんだ」という、変な自信を持っているような気がします。本当に大変な地震というのはこんなものではありませんし、同じ6弱でも直下型だったらもっとすごい被害が起きてしまいます。実際大きな地震が起きたら何とかしなければいけないのですが、やはり備えられるものは備えておいていただきたいと思っています。

地区防災計画のない所も、少しずつでもいいので考えていただいて、地震の直後はこういう行動をしよう、風水害の時にはこうしよう、台風が近づいて来たら、こんな対策を取ろうというように、地域でのルールを事前に決めておくための話し合いをぜひ進めていただければと思います。現在札幌では、10地区の町内会の方が地区防災計画を進めていますが、できれば札幌市の全地区で地区防災計画に取り組んでいただければと願っています。私はこれまで3年間取り組んできて、地区防災計画というのは、その計画を考えていく課程で何かがつながる、何かが始まる、何かが期待できる、そんな制度だと感じているので、難しく考えずに、ぜひ興味を持って、皆さんに取り組んでいただければと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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