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防災インタビューVol.168

「地区防災計画」から始める防災への備え

放送月:2019年9月
公開月:2020年11月

早川 直喜 氏

札幌市危機管理対策室
地域防災担当係長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

停電による交通への影響

実際に札幌市では、揺れによる液状化の被害もあったのですが、一部の地域に限定されており、市全体としては停電による影響が一番大きく、観光客がJRで千歳空港に行けなかったり、バスで千歳空港に向かっても空港が閉鎖されていて、仕方なく札幌に戻ってきたりということで、停電による避難者が1万人くらい出るような状況でした。

減災のための備え

商店などでも夜中に地震が発生し、朝を迎えても棚から物が落ちてしまっていて開店できないという所が多くあった半面、棚を設置してある方向によっては、物が落ちずにすぐ再開できたという所もあり、揺れによって状況はまちまちでした。マンションなどでも食器などが床に落ちてしまって大変でしたが、深夜でベッドの中にいたから被害がなかったという話もありました。もし発生した時間が深夜ではなく、キッチンで調理中の時間帯だったら、さらに大変な状況になったのではないかと思います。キッチンなどでは、耐震ラッチという、揺れても扉が開かないような器具がついている扉もありますが、これが出荷状態のままでセロハンテープなどで止めてあったため、耐震の食器棚だったのにもかかわらず、扉が開いてしまって中身が全部落ちてしまったという話も聞きました。まずは家具の転倒防止をしたり、棚が揺れによって開かないように対策をきちんと取っているかを確認して減災につなげていただければと思います。特に今回の地震は夜中に起こり、掃除機などで片付けをしている最中に停電が起こって、真っ暗になった中で壊れた食器などを踏んでしまって足をけがしたという話も聞きましたので、このような体験を生かして、ぜひ災害に備えていただければと思います。特に、懐中電灯やLEDライトは、停電になってから電池を探して入れるのでは、なかなか難しいと思いますので、常に使える状態であるかどうかを日頃から確認し、真っ暗な中でもすぐ分かる場所に置いて、いつでも使えるようにしてください。

想定しきれていなかった外国人観光客への対応

札幌というと「観光のまち」というイメージがあると思いますが、札幌にいらした観光客の皆さんも、9月6日3時に地震が起きた時にはホテルに泊まられていたと思います。地震の後にブラックアウトした後、その日1日停電していたので、ホテルも停電により営業ができないということで宿泊をキャンセルしたり、ホテルに延泊しようと思っても延泊もできないし、新たに予約をしようと思っても予約も断られる状況でした。帰ろうと思ってもJRや飛行機も動いていませんし、そもそも駅や空港にも入れない状況で、地震から1日たって夜を迎えることになりました。携帯電話の充電量も減っていって、部屋も取れない、今晩どうすればいいんだろうというのが、9月6日の夜の状況でした。ただひとつ良かったのは、ちょうど台風が来た直後だったので、札幌の9月にしては暖かかったということです。これがもし雨であったり冬だったりしたら、もっと大変な状況になっていたと思います。

さらに、想定していたのに想定しきれていなかったことがひとつありました。それは、全道から外国人観光客の方がバスに乗って札幌に集結したことにより、毛布や寝袋や食料が足りないという情報が入って、それらを届けるとまたすぐその直後から、さらに同じ国の方がどんどん増えて人数が倍になり毛布などが足りないと連絡がありまた届けに行くということが繰り返されたことです。外国人観光客がどんどん札幌に集まってきて、さみだれ式にそれが認知され、その都度必要物資を届けるというような、後手後手の対応になってしまいました。最初は、観光客の方が3千人いて困っていたのですが、それからもドンドン増えていき、添乗員が食料を確保するためにコンビニで何十食も買っていると、買いだめをしていると勘違いされて白い目で見られたということもありました。

これからも日本の各地で地震が起こると言われているのですが、旅先で地震が起きて帰れなくなることは十分起こりうることですので、携帯電話の充電池ぐらいは自分で持っていくというような対策を事前に考えておくのも必要だと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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