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防災インタビューVol.183

地域医療と防災 ~地域からのエンパワメント~

放送月:2020年12月
公開月:2021年4月

加古 まゆみ 氏

広島大学大学院 医系科学研究科
国際災害看護学 准教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は広島大学医系科学研究科で国際災害看護学の准教授として勤務しています。広島には2019年3月に赴任してきました。

実家が神戸市内にあり、神戸で看護師になるための教育を受け、卒業してからも地元神戸で勤務していました。もともと、留学して海外の看護を学びたいという希望があったので、少し勤務した後、オーストラリアのアデレードで看護師として働いたり、大学で看護教育に携わったりして、合計20年ほど住んでいました。日本に帰って来てもうすぐ2年になります。私は、もともとは看護師ですので、その活動の中で地域医療の大切さを感じ、現在は広島大学で、「地域医療の要である訪問看護ステーションや地域の診療所において、あまり進んでいない災害に対する準備を進めるためにはどうしたらよいか」ということを研究しています。

私が防災に関わるきっかけになったのは、1995年に起きた阪神淡路大震災です。この時、私は卒業してちょうど1年目で、だいぶ仕事に慣れてきた時期でした。朝一番の地震が起きた時は、私は実家の2階で寝ており、すごい揺れとともに目を覚ましました。「ああ、自分はこのまま家がつぶれて死んでしまうんじゃないか」という状況の中で、「死」に非常に近い体験をし、ものすごい恐怖感を感じました。その後、病院で何が起きているのかが心配になり、被災された皆さんもきっと同じような経験をされていると思いますが、いつもは15分で行ける道のりを2時間かけて行き、様子を見に行きました。そのような実体験が災害に関することを研究したり関わることになったきっかけであったと思います。

阪神淡路大震災からの復興

阪神淡路大震災の時、私の実家は震源地から離れていて、それほど被害はなかったのですが、学校で一緒に学んだ友人が亡くなったり、同級生の家族が亡くなったりということを身近に経験しました。

学生の時からボランティアとして、地域での入浴介護サービスに関わっていましたが、留学をしている間は、休みの期間に日本に帰って来て、ボランティアのサービスに参加させてもらいました。海外にいたため、地域の方々との日々の関わりはできなかったのですが、1年に1度日本に戻ってきた時に、入浴介護サービスのボランティアに出かけて行く際に、神戸の町がどのように変化しているのかを見ることができました。被災した家がなくなり、空き地が目立つようになり、その後また新しい家が建つようになって、人通りも増え、新しいお店も出来てきているのを見て、神戸がまた元気になってきていることを知ることができましたし、見た目には、震災から復興をしつつあるのを感じました。その一方でまだ仮設住宅に住んでいる方もいて、その方たちの健康をどう保つのが良いのかということが課題になっていました。

その後帰国して教員をしていた時期があり、その時にも同僚の教員と一緒にボランティア活動をしました。その時期には、仮設住宅から恒久住宅に移られた方がほとんどでしたが、神戸製鋼の跡地に建てられた「HAT神戸」のような、高層の災害復興住宅に住まわれている方にとっては、今までの平屋とは違って、高層住宅では横のつながりがあまりなく、お互いが行き来しにくいという状況でした。そこで教員と学生が一緒になって、月に1回、「健康相談」という形のイベントを企画して、普段会わない方たちにも外に出てきていただいて、健康のことだけではなく、悩み事について話をしたり、季節のイベントなどをしながら語り合える場を作るというボランティア活動をしました。

当時の皆さんの悩み事としては、生活習慣病や、糖尿病の方が血糖コントロールができない、一人でこういう所に住んでいるのは寂しいと言われる方もいました。特に病気がない方にとっても、毎回同じ人が顔を見せに来てくれることで、安心して話ができたり、健康管理を超えたつながりを求めている方がいたりして、このように何かを話す機会、話す場はとても大切だと思いました。

1995年以降、発災してから10年、20年という形で見てきましたが、被災された方たちは、今はもう高齢で、亡くなっている方も多くなっています。神戸の町も、見た目では復興しているように見えますが、高齢で地域に残って復興住宅に住んでいる方にとっては、近所の方がだんだんいなくなる中で、孤立されるケースもまだあるのではないかと思います。これに対して、神戸では自治会やNPO団体などがネットワークを組んでイベントをして、健康的に生活を続けていくための取り組みなども続けられています。

東日本大震災の時は、直接支援には行かなかったのですが、後から、被災者への調査ということで、岩手県の仮設に住んでいらっしゃる住民の方にインタビューをさせていただきました。お話を聞いて、神戸と違うと思ったことは、住民の方が、「仮設住宅に住んでいても、近所の方、前からの知り合いの方が近くに住んでいるので、とても心強い」とおっしゃっていたことです。特に地域のつながりが強い所でしたので、その中のリーダーの方の存在もあって、皆さん前向きに取り組まれていて、自分が出来ることを一生懸命するんだとおっしゃっていたことが、非常に素晴らしいと思いました。この事は、住んでいる地域と住民のつながりということでいろいろ考えさせられた場面でもありました。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。