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防災インタビューVol.184

住民と行政の協働で考える「地域防災」

放送月:2021年1月
公開月:2021年5月

山本 美咲 氏

経済産業省
経済産業政策局 地域経済産業グループ
中心市街地活性化室 係長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

地区防災計画の「量の拡大」

行政が作る地域防災計画というものがありますが、それとは別に、地域の皆さんが自分たちで作るボトムアップ型の計画というのが地区防災計画です。実は高知市の下知地区という地域で、私も携わらせていただいたのですが、この下知地区の地区防災計画の取り組みの中で感じたことや、今後につなげたいと思ったことについてご紹介させていただきます。

この下知地区という地域は、高知市の中でも浦戸湾に面している地域で、南海トラフ地震が来ると津波のリスクがある地域です。もともと海抜ゼロメーター地帯で、住民の方もとても危機意識を持たれている地域です。地区防災計画の作成を通じて住民の方々の意識を向上させていきたいという思いで、内閣府が募集していたモデル地区にエントリーしまして、地区防災計画の作成に取り掛かりました。その時テーマにされていたのが、「事前復興計画」というもので、通常は災害が起こった後に復興計画を立てるのですが、それを災害が起こる前に皆さんの想像力をかき立てて、みんなでイメージを膨らませて復興計画を立てるという、非常に難しい計画作りに取り組まれていました。その計画の中身を深めていくことももちろん必要なのですが、それ以前に、一緒に議論していく仲間をどうやって増やしていくかというところが一番の課題になりました。復興計画というのは、一部の方だけで作ったものでは到底皆さん納得した計画としては受け入れられないことが多いので、事前に計画を作る中で、「どうやって多くの方を巻き込んで、みんなが納得した計画にしていくか」というところで大変苦労されていたということです。

私たちは、多くの人を巻き込むということを、「質の向上」に対して「量の拡大」というような呼び方をしていました。「どうやって参加者層を多層化するか」「若者の参加を増やしていくか」ということを住民の方、行政職員が知恵を出し合いながらいろんな工夫を重ねてきました。具体的にどんなことをやったのかと言いますと、地域の拠点でもあり、子どもたちが通っている「学校」が一つのキーワードだろうということで、学校に協力をお願いして、PTAの方々、保護者の方々、学校の先生方にも計画に参加していただきました。また、一緒にワークショップに参加はできなくても、学校の授業の中で子どもたちにいろんな議論をしてもらう機会を設けていただくというような形で学校と連携することで、いろいろな世代の意識の啓発や、いろいろな世代のご意見を頂戴する機会というのを設け、学校をキーワードに地域の若い世代を巻き込んでいくという工夫をされていました。そうした中で、地域のお祭りなどでは、保護者の方、子どもさんの参加が非常に多いですが、そのお祭りの中で防災ブースを設けて、いろいろな紹介をすることで、保護者の世代の方々と地域の住民の方々との連携につながる場面がありました。もともと住民の方々と保護者の方々のネットワークがないと、いろいろな行事を一緒にやるというのは難しいと思いますので、そういう意味でもこれは地域の方々が工夫をされて実現したことなのではないかと感じています。

また、この地域は津波避難が必要な地域で、津波避難場所をたくさん指定されていますが、これらの避難場所の所有者、オーナーの方々にも声掛けをして、地域の事前復興計画の作成の仲間に入っていただいて、実際に避難させていただく施設に避難した後に、どういうふうにして町をつくり直していくのかという議論にも加わっていただき、一緒に取り組んでいたのがとても印象的でした。

このように、地区防災計画は住民が主体となって作る計画なので、どういった方を巻き込むのかとか、どんな内容にするのかというのは各地域によって自由です。自由な中でその地域の特徴に応じて、どういうふうなスキームでやっていくのかが工夫のしどころだと思っています。この下知地区の取り組みは3年ほど行われている間に、多くの方々が参加され、その取り組みが終わってからも、避難訓練を実施したり、お祭りを一緒にやったりという取り組みは引き続き継続されていて、今もPTAや学校と地域の防災組織とのネットワークがしっかり続いていると聞いています。今はコロナ禍でなかなかお祭りをしたり、集まったりということは厳しくなっていますが、逆にいろいろな手段で連絡を取り合える環境は強くなってきていると思いますので、オンラインの活用なども考えていけるのはないかと思っています。それは災害時に連絡を取る手段ともなり得ますし、いざというときの連絡体制についても日頃からのつながりが絶対に必要です。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。