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防災インタビューVol.184

住民と行政の協働で考える「地域防災」

放送月:2021年1月
公開月:2021年5月

山本 美咲 氏

経済産業省
経済産業政策局 地域経済産業グループ
中心市街地活性化室 係長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は高知市役所から現在、経済産業省に出向しています。高知市役所の最初の配属先が防災部局だったことがきっかけで、必ず来ると言われている「南海トラフ地震の災害リスクを少しでも減らしたい」という思いから防災に夢中になり、仕事の枠を超えて、ライフワークとして防災に取り組むようになりました。

ここ数年は特に、可能な限り災害支援に行き、いろいろな災害における避難所の運営支援をさせていただいたり、防災についてもっと若い人に知ってもらいたいという思いから、地元で同世代の人たちを集めて、地域課題の解決のためのコミュニティを立ち上げたりしています。

2020年3月までは高知市役所にいましたが、4月からは職場が経済産業省になったため、東京に住んでいます。高知市役所で防災に関わった期間は最初の4年くらいで、その後は、いろいろな部署を異動していまして、直近では秘書課に所属して仕事をしていました。市役所に入って、最初の配属先が防災であり、一番関わっているのが長かったということもあり、今では防災が自分のライフワークになっています。

住民と行政の協働による地域防災

私が高知市の防災部局に配属になったのは、東日本大震災から2年後ぐらいの時期でした。「津波避難について、どのように考えていくか」ということが、一番のテーマになっていました。高知県高知市も南海トラフ地震で津波が広範囲にわたってやって来ると言われている地域ですので、「どうやってその津波から市民の皆さまの命を守っていくか」が一番重要なテーマであり、そこからスタートしました。

地域には、自主防災組織があり、町内会のメンバーが集まって構成され、地域の防災活動をリードしてくれています。その方々と一緒になって、「どこにどうやって逃げるか」ということを議論することからスタートしました。具体的には津波避難場所を考えたり、その避難場所に向けてどこをどうやって通るかという経路を考えたり、ワークショップを行って、みんなで議論しながら津波避難計画というプランを作りました。この活動を通して、住民同士が対話をする中で、「どうやったら命を守れるか」ということについての理解が深まっていくのを感じました。実際に、住民の皆さんと行政職員が一緒になって対話していくことによって、こちらがどういうふうに考えているか、行政としてどのような計画を作っていきたいかというような主旨を伝えることもできます。ワークショップとは言っても、行政職員も一緒に対話をしながら作り上げていくというプロセスを体感することができました。

ワークショップによる津波避難計画の作成

住民と行政の対話、ワークショップによる津波避難計画の作成を通じて、地域と行政が協働した地域防災活動についてお話しさせていただきます。もともと立場が異なる、地域住民と行政職員が対話をする機会というのはあまりないと思うのですが、立場を超えて議論や対話をすることによって、初めて具体的に命を守っていく方法を見つけていけるのではないかと思っています。

どうしても防災啓発や防災活動というのは、成果やゴールが見えづらいものであるため、実際に災害が来るまで、「これでよかったのか」ということがなかなか分からないものです。そのため、地域の皆さんにとっても、防災に対する日々のモチベーションを保ちづらいというのがあると思います。行政職員は、その活動の動機付けをすることで、住民の皆さんを鼓舞して、地域全体として防災意識を上げていったり、防災活動につなげていけるかを考えており、その熱量の伝播みたいなところを大切にしています。そういった意味で対話というのが、熱量を伝播するのには一番有効なのではないかということを防災に携わる中で強く感じて仕事をしてきました。

また、避難所対策としまして、避難所運営マニュアルの作成や避難所運営訓練の企画実施をやってきましたが、そちらも避難所になる学校や施設の管理者の方も一緒に入っていただいて議論をするということが大切だと思っています。行政職員、地域住民の方、施設管理者である学校の教員の方、そういった3者共同でプランを立てていく中で、対話を通じてそれぞれの立場を理解し合って、できる限り命を守っていく、リスクを減らしていくというような、みんなが同じ方向を向いていくことが大切だと感じました。

高知市で、仕事として携わっていた4年間に、地域の方と協働による防災計画の作成をメインでやっておりまして、その後仕事を異動してからもライフワークとして携わる中で、いろいろな地域に個別に呼んでいただいて、ワークショップの運営をお手伝いしたり、行政の立場でもなく、住民の立場でもなく、一個人としてワークショップに交ぜていただいて、「どうやって避難をしようか」という議論を一緒にさせていただいたりもしました。 

こういった防災計画というのは、ネットワーク作りがとても大切で、机上で数人で計画を作っても、それを知らない多くの方は思ったように逃げてくれないとか、そもそもリスク自体も知らないということが起こってしまいますので、できるだけ計画作りの段階で多くの方を巻き込んでいくことが大切だと思っています。その意味でも、各地域では本当に工夫されていて、できるだけ老若男女に集まっていただくような取り組みをしてくださっていたので、それを私たちとしても精一杯応援するという形で協働していました。しかしながら、若者といいますか、現役で働いている世代の方の参加というのはどうしても少なくて、そのことが課題であると感じまして、私たちがお手伝いできることとして、学校を巻き込むというような工夫もしてみてはいましたが、なかなか難しいのが現状です。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。