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防災インタビューVol.184

住民と行政の協働で考える「地域防災」

放送月:2021年1月
公開月:2021年5月

山本 美咲 氏

経済産業省
経済産業政策局 地域経済産業グループ
中心市街地活性化室 係長

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

ライフステージの変化と防災意識

ライフステージの変化に応じて起こる防災意識の変化について、お話ししたいと思います。私は今30代ですが、同世代を見ると防災に対する関心は、決してゼロではないと感じています。ただこの世代の防災活動というのは、どうしても家庭や個人で完結してしまっていて、なかなか地域の防災活動、防災訓練などには出て行っていないという印象があります。その理由としては、普段所属していないコミュニティに出て行くのがハードルになっていることと、仕事や家庭があると、多くの人と一緒にやるような防災活動になかなか出て行きづらいことによるものだと感じています。

ただ一方で、若いお母さん向けの子育てサロンなどで話をさせていただくと、お母さんたちはとても熱心で、「子どもの命を守るためにどうしたらいいか」ということを、本当に一人一人が真剣に考えていらっしゃいますし、お母さん同士のネットワークもしっかりと出来ているのを感じます。実際に地域の訓練には出て来ないけれども、若い世代の防災意識は決してゼロではないので、そこをどうやって伸ばしていくかが課題であると思います。

このように、いろいろなライフステージの変化の過程で、結婚、出産、引っ越しなどのタイミングで、自分が暮らす町にはどういうリスクがあって、どういう知恵があれば命を守ることができるのかというのを考えていただくことが重要だと感じています。それをどのように伝えていくかという中で、やはり地域の訓練に出て来てもらうだけでは難しいので、そういった方々のコミュニティに向けて働き掛けていくことが重要だと思っています。

災害ボランティアへの参加をきっかけとして

私自身もいろいろな場に呼ばれて、話をしに行きますが、そこで知り合った縁を通じて、別のネットワーク、別の場につながることが出来ています。特にお母さんたちのコミュニティでは、防災に対する関心も高く、また横のつながりがとても強いと思います。この若いお母さん世代は意外と防災意識をしっかり持っているにもかかわらず、地域の訓練には参加していない人が多いと感じているのですが、そういった若い世代が集まっているコミュニティにどうやって働き掛けていくか、啓発していくかをここ数年悩んでいました。そういう中で一つ着眼したのが、「災害ボランティア」です。災害現場には、比較的普段の防訓練に出て来ていない20代30代のボランティアもたくさん来ており、誰かのために役に立ちたいという動機付けがあると若い世代は参加しやすいのではないかと感じました。そこで、この世代の方たちに災害ボランティアを経験してもらうことで自分の防災意識を見直し、地元の防災活動につなげてもらいたいという思いから、ボランティアツアーを企画して、2019年にやってみました。私は、地元が高知なので、高知の20代から40代の働いている世代20名ほどに声を掛けまして、台風19号で被災した長野県に災害ボランティアとして行きました。ボランティアの内容は、りんご農家の畑にたまった泥をかき出す作業でした。これは体力勝負なので、まさしくその世代の力があった方が現場も助かるのではないかということと、災害ボランティア経験のないメンバーでしたので、防災知識や事前の知識がなくても、行ってすぐお役に立つことができるよう、この活動を選びました。これまでボランティア活動をしたこともなく、防災にもあまり関心がなかった方が多かったのですが、実際にこのボランティアを経験してみて、自分の目で被災地を見てみると、いろいろなことを感じたようです。今回の参加者は知り合いづてに声を掛けた感じでしたので、友だちが行くから行くと言ってくれた方もいますし、いろいろでしたが、「高知で同じことが起こったらどうなるのか」「どういう準備が必要なのか」というようなことを真剣に考えてくれて、当初狙っていた防災意識の啓発にきちんとつながったのではないかと感じました。今回は、高知から長野までバスで行ったこともあり、なかなか体力勝負のところもありましたが、「次があったら絶対に行きたい」と皆さんに言っていただけて、自分でも役に立てるのだということを実感してくれたようでした。現在はコロナの影響で続けることができませんが、同じくらいの世代の方で、まったく災害ボランティアをやったことがない方が、実際に活動してどのように感じるのかということが、私にとっても非常に勉強になりました。今後もぜひ再開して、2回目、3回目につなげていければと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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