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防災インタビューVol.188

災害に備え、命を守る

放送月:2021年5月
公開月:2021年9月

今石 佳太 氏

芦屋市総務部 コンプライアンス推進室主査

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

私は、現在は兵庫県芦屋市の総務部コンプライアンス推進室に勤務していますが、もともとは芦屋市の消防職員として勤務を始め、阪神淡路大震災などを経て市役所の防災関連部署に出向し、定年までは市長室で危機管理の担当をしていました。阪神淡路大震災以降、中越地震、東日本大震災、熊本地震など、国内の災害、水害も含めて先遣隊という形で派遣され、その後、熊本地震の最大の被災地である熊本県益城町から要請を受け、危機管理監として3年間、熊本地震からの災害復興に従事して、この3月に芦屋市に戻ってきました。

阪神淡路大震災での経験

消防にいた時は救助隊、いわゆるレスキューの隊長をしておりまして、阪神淡路大震災の時は現場にいて、最前線で倒壊した建物の中などの人命救助に携わっていました。あの当時は、まさか関西地区であれほど大きな地震が起こるとは誰も思っていませんでした。消防では仕事柄、人の命を助けることを最優先に最前線で活動しており、皆、最大限頑張って救助を行ってきましたが、それでも助けられなかった命があって、自分の心の中には悔いが残りました。

そのような中で、その後、市役所の防災関連の仕事に就くことになりました。消防だけでは救えなかった命、賄いきれなかった災害に対して、市役所での災害部門に従事することで何かできるのではないかという思いで、仕事をさせていただきました。中越地震、東日本大震災の際には、現場に支援に行かせていただき、さまざまな現場を経験してきました。

われわれ消防隊は、常に一つの隊として固まって動きます。通常の災害現場であれば、1カ所、あるいは同時多発したとしても2カ所ぐらいですが、大災害の際には、全市的に数十カ所で一斉に人が助けを求めるということになるので、現場の数に対して消防力が圧倒的に足りない状況になってしまいます。いま思い返しても、阪神淡路大震災の際にも、もう少し何かできたのではないかという悔いが正直残っています。

阪神淡路大震災は、午前5時46分という早朝に起き、私は自宅にいましたが、仕事柄すぐに駆け付けて、6時過ぎには消防署に出勤しました。その直後に、建物が倒壊して被災した1歳の子どもを抱いた家族の方が駆け込んで来られて、何とか命を助けてほしいというので心臓マッサージをしたことが一番強く印象に残っています。

その後の数日間、ずっとそのような状態が続いて、当然われわれ救助に当たる者以外にも消火に当たる者もおりますが、本当にそこかしこで初日だけで数十人、百人近くの方がお亡くなりになったという情報が入ってくるような状況で、本当に大変な現場でした。

震災の原体験を防災に生かす

阪神淡路大震災といえばやはり建物の倒壊のイメージが大きいですが、一番象徴的なのが、阪神高速道路の倒壊でした。勤務している消防署が阪神高速道路のすぐそばにあったのですが、最初はその現場を見ていなかったので、途中の情報で「高速道路が倒れている」と聞いた時には、信じられない思いでいっぱいでした。倒壊した高速道路は、基幹道路でもあったので、すぐに撤去され、早い段階で高速道路は立ち直ったのですが、最初は恐怖感がありました。その後、電気もガスもない状況が1カ月、2カ月続き、非常に苦しい思いをしました。あの時の経験がそれ以降の仕事の原体験につながった気がしています。

もともと私は、消防の仕事に就いていましたので、人の命を助けることが第一義の目的であったのですが、あれだけの大災害になってしまうと、消防力だけでは賄いきれず、国や県、あるいは全体で何かしっかりと対策を立てないといけないという思いが芽生えました。その後、市の防災関連の部署に勤務することになり、8年ほど関わる中で、やはり当初から思っていた消防以外の部分での対策強化、いわゆる組織全体の強化が必要だということで、防災力を上げていったということになります。消防にいた時から仕事柄、われわれは一つ目標を定めてそこから逆算でものを考えるという癖がついていますので、そういう部分で言うと「1年後にはここまで組織を持っていきたい」という目標があって、そのために逆算で仕事をしていくという仕事のスキームがあり、そのスキームに従って進めていくことで、防災力を上げていくことができたという気はしています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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