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防災インタビューVol.188

災害に備え、命を守る

放送月:2021年5月
公開月:2021年9月

今石 佳太 氏

芦屋市総務部 コンプライアンス推進室主査

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

中越地震・東日本大震災の現場支援

平成16年7月新潟、福井の豪雨災害の際に私は現地に支援に行きましたが、その後10月の中越地震でも支援に行きました。それが大きな支援の始まりで、それ以降、平成23年に発生した東日本大震災では、それまでは、阪神淡路大震災の現場以上のものはないだろうと思っていましたが、実際にはそれ以上の災害現場を目の当たりにしました。

3月11日に東日本大震災が発生して、その数日後の3月16日には私は青森県八戸に支援に入りました。なぜ八戸かというと、20数年前の阪神淡路大震災の時に八戸からは、かなりの支援を頂き、それ以来、人の交流もありましたので、まずは八戸にということで出向きました。その時に現地の方に「われわれも被害は大きいけれど何とかする。今もし芦屋に人を助ける余力があるのであれば岩手県、宮城県、福島県、この被害の大きい3県に行ってあげてほしい」という言葉を掛けていただきました。この時点で、兵庫県は宮城県を支援するということが決まっておりましたので、われわれはすぐに宮城県石巻市の支援に入らせていただきました。

阪神淡路大震災の時には、市内が焼け野原になった光景が目に焼き付いておりましたが、その光景とは違い、石巻市に入ってみると、いわゆる目に入る部分全てが津波にのみ込まれてしまったというような現場でした。悲惨な現場にはある程度は慣れているのですが、この現場を前に、当初は声が出なかったというような感じでした。

その中で、私は専門としていた災害対策本部の支援ということで、石巻市の災害対策本部に入らせていただいて、過去の経験則からある程度の事が分かっていたので「今から数日後にこういうことが起こります。住民の方からはこういう要求が来ます」ということを先読みして「今早め早めにこういう手を打ちましょう」という提言をさせていただきました。結果的には、読みが当たっていましたので、少しはお役に立てたのかなと思っています。しかしながら、阪神淡路の直下型の地震とは違って、東日本大震災では津波で人がその場所からいなくなってしまっているとか、地形が完全に変わってしまっていましたので、その辺りの違いには非常に苦労しました。

熊本地震に対する支援

平成28年に起こった熊本地震は、地震の規模としては非常に大きな地震で、震度7という観測史上最大の震度を初めて体験したのが益城町でした。震災直後にも支援をさせていただきましたが、震災から2年ほどたった時に、「災害復興に力を貸してほしい」と益城町の西村町長が芦屋市を訪れて来られました。なんとか力添えができればということで、私は熊本に行かせていただいて、その後3年間熊本で支援をしてきました。

熊本地震は非常に大きな地震で、1回目の震度7の地震が発生してから28時間後に、もう一度、震度7の地震が起きました。マグニチュードは1回目の地震が6.5、2回目が7.3で非常に大きく、マグニチュード7.3というのは、阪神淡路の時と同じ大きさでした。この2つの地震の震度は7で、同じ震度ですが、地元の方に聞いても1回目と2回目ではかなり揺れが違ったというお話を伺っています。

建物の被害、全半壊の数で見ますとほとんど阪神淡路大震災と同じで、地区内の9割強の建物が被害を受けたということです。ただ、1回目の震度7があった時に住民の方がかなり避難をされていましたので、2回目の地震では、被害の規模からすると、少し少なめに収まってたという気がしますが、この2つの地震でたくさんの方が犠牲になられました。

そのような中で、1回目の震度7の地震の直後に、避難所に指定していた総合体育館の天井部分に小さなゆがみが見つかりました。避難所に来た人たちを入れるべきか、入れざるべきか、かなり判断に迷われたようなのですが、結果として町長の判断で「入れない」ことを決定しました。当初「避難所になぜ入れないんだ」という不満はあったようですが、結果として28時間後に起こった2回目の震度7の地震で、天井が全て崩落してしまいました。もしあの時に、その避難所に住民の方が入っていたら、2回目の地震が起こったのが深夜1時半でしたので、数百名の方に大きな被害が出ていたのではないかと思うと、本当に一つ一つの判断は非常に重要であり、また難しいものだということを改めて思い知らされました。

本当に一つの判断ミスが、次の大きな被害につながることがあります。しかしながら次に何が起こるかを予測することは本当に難しいので、やはり一つ一つ小さな事実を積み重ねて、日頃の訓練で判断力を養っていくことが、住民の安全を守るというわれわれの立場からすると、とても重要なことなのではないかと思います。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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