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防災インタビューVol.188

災害に備え、命を守る

放送月:2021年5月
公開月:2021年9月

今石 佳太 氏

芦屋市総務部 コンプライアンス推進室主査

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

学校での防災教育の必要性

阪神淡路大震災からの26年間を振り返ってみると、災害の際の制度設計や国の仕組みは大きく様変わりしてきています。ただ、その一方で、やはり災害が起こるたびに出てくる課題というのはあまり変化がないように思います。いわゆる住民の方の災害に対する意識、あるいはわれわれ行政担当者の基礎的な自治体の初動対応という部分の課題などは、あまり改善が図られていないのではないかと思っています。

まず、住民の意識を高めていくためには、やはり私は学校における防災教育が必須であると思っています。芦屋市でも、26年前に災害を経験して、一番積極的に取り組んだのは子どもたちへの防災学習です。つい最近も成人式を迎えられた方が、「大きな災害があった町で生まれたわれわれとしては」というようなことを言っていましたが、今20歳の方は震災時には、まだ生まれてもいなかったのですが、彼らにも防災教育を通じて記憶の継承が行われたからこそ、この言葉が出てきたわけで、それが脈々と生きてきたというのは、われわれが人に誇れる部分だと思っています。

芦屋市では、系統立てた教育の仕組みが出来ています。一方的に教えるのではなく、子どもたちが考え、テーマを自分たちで決めて調べて、伝えるという形での教育が行われています。芦屋市の小学校6年生は、各チームに分かれて調べ、それを5年生以下の下の学年の子どもたちに伝えていくという取り組みをもう何十年と続けています。これはやはり大きな成果です。こういう取り組みが非常に大事で、何らかの形で防災教育を全ての学校できちんとカリキュラムに入れていくべきだと思っています。

全国レベルで考えたときに、なかなか難しいのは、全国の中では被災していない市町村の方が多く、体験しないと分からない部分があるというのが大きな課題かと思います。しかしながら、実体験はしていなくても、積極的に防災に取り組むことで、自分自身の命を守るという考え方も芽生えてきますので、これをどう広げていくかが、これからの防災の大きな課題であると思います。

まずは命を守るための行動を

私は数十年間にわたって災害の第一線で働かせていただいていますが、本当に身近な方が亡くなったり、被害を受けられる、その重さというのを本当に数多く見てきました。ですから、いきなり大きなことをしなくてもよいとは思いますが、「あの時これをしていれば」というようなことがないように、人の命の大事さ、重さというのを今一度考え直していければと思います。そのためにも、防災の知識、「もし何かあったら」という意識を皆さんが常に持っていただくことが、非常に大事だと思っています。

現在のコロナも完全にわれわれの意識の中では災害です。今年もまだマスクは手放せないと思いますし、6月になりますと出水期を迎えることになります。最近は風水害もそうですが、ほぼ毎年のようにどこかの地区で何かしら大きな災害が起こっています。今年もないことを当然願ってはいますが、やはりまだコロナ禍の中での風水害による災害というのが予想されますし、さらに複合災害というものも考えられますので、今一度、災害時の避難についても、考え直していく必要があると思います。

コロナ禍にあっても、河川の氾濫の危険性がある所に住んでいる方は、まずは避難をしていただくことが大事です。感染予防については、当然われわれ避難を受け入れる側も十分準備をしていますので、ちゅうちょして避難が遅れることがないよう、まずは命を守る行動をしてください。水の力というのは本当に大きなものがありますので、地震もそうですが、まずは何か危険だと感じたとき、どうしようかなと迷ったら、まずは避難をするということが大事です。当然避難する時間帯も大事ですが、まず安全な方を選択して、いち早く、皆さんで動いていただくことがさらに大事だと思います。コロナを心配して避難するのをやめるということもよく聞くのですが、行政も皆さんの命を守るために精一杯努力して、受け入れる側も消毒をしたり、間隔を取ったり、あるいは避難所を増やして対応しています。皆さんもそういう情報に注意していただいて、まず何か災害が予想される場合には、早め早めの行動をすることで命を守る行動をしていただくように願っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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