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防災インタビューVol.188

災害に備え、命を守る

放送月:2021年5月
公開月:2021年9月

今石 佳太 氏

芦屋市総務部 コンプライアンス推進室主査

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

危機管理意識の持続化の仕組みづくり

私たち防災に関わる者は、まずは住民の方の命を守るという大きな目的があるのですが、大きな災害の直後は、非常に危機管理意識は高まります。住民の皆さんも災害の直後は、家庭の備えをしっかりされますが、それが1年2年とたってしまうと意識が薄れてしまうというのは過去のアンケートでも数値として出てきています。時間とともに薄れていく防災への意識を持続させていくことが課題になっています。

しかしながら普段の生活の中で常に防災を意識するというのは難しいので、住民の防災意識が少し薄れてきたとわれわれが感じたときに、皆さんに、もう一度防災を思い出してもらえるような仕組みづくりを日々やっていくことが大事だと思います。現在は住民の方への情報ツールが確立されていますので、そういうものを使って、日頃の備えを確認したり、新たな考え方を皆さんに提案したりということを繰り返し行っています。またそれと同時に消防訓練、防災訓練というものも非常に大切になってきます。しかしながら、訓練というのは、住民の方にとっては、なかなか参加しづらいものでもあるので、住民の皆さんに楽しみながら参加してもらい、何かを学んでいける仕掛けづくりをしていきたいと常々思っています。

一般的には、よく公園などで消火器の訓練などをしていますが、それ以外に「災害が起こったときに、どうするか?」ということを自然に学ぶことができるゲーム形式の訓練なども最近は取り入れるようにしており、皆さんの意識は高まっていると感じています。そして、訓練に参加してもらって、「行ってよかったな」「ちょっと笑えたな」という楽しい経験をしてもらうことが、危機管理意識を持続し、また今後の防災訓練にも参加してもらうためには、何よりも大切なことだと思っています。

身体で学ぶ防災訓練

防災訓練においては、われわれがリードするのではなく、まずは自分たちで主体的に動いて、一度試してもらう方が記憶に残ります。もしやってみて失敗したとしたら、なぜ失敗したのか、どうすれば改善するのかをみんなで話し合うような場を持つと、割と皆さんに理解していただけます。

一番端的な消火器の訓練で言いますと、ややもすると消化器訓練というのは、消火器のピンを抜いて、水を掛けて、はい終わりというような感じなのですが、本来この訓練で一番大事なのは、「声を出す」ということなのです。消火器を使うということは、目の前で何かが燃えているから消火器を使うので、訓練であってもその時に「火事だ」という大声を出すことが重要です。「火事だ」という声を聞いた誰かが消防署に電話してくれたり、避難するために他の方にも声を掛けたり、またあるいはもっと多くの消火器を持ってきてくれるなど、何かしら次につながる行動が生まれます。そのためにも消火器の訓練の肝というのは、声を出すことだというふうに思っています。

この声を出すということは、非常に大切なことなのですが、なかなか難しいことでもあります。私もよく住民の方と話をさせていただく機会があるのですが、例えばどこかの建物で、自動火災報知器がジリリンと鳴ったとします。多分それだけでは避難行動になかなか結びつかず、まずキョロキョロと周りを見渡して、皆さん顔を見合わせながら「これは間違いかな」というふうに思いがちですが、実は本当に何か災害が起きている前兆かもしれません。その警報が鳴ったときに誰かが声を出して「念のために逃げましょうか」「避難しましょうか」という声があると、人は行動に移すことができるものです。ですので、普段から「間違ってもいいので、まずは周りに声を掛けて、一度逃げましょうよ」というような感じでお話をさせていただいています。最初に声を出すというのは、他の人の反応を考えてしまうと、なかなか難しい部分もありますが、そこは思い切って声を出してほしいと思います。人というのは、一つの異変が発生しただけでは、「安全かな」と思ってしまって、なかなか次の行動ができないものなのですが、他にもう一つ要素が加わると人は行動に移すことができると言われています。まずはその辺りを認識していただいて、何かがあったら、まず思い切って声を出していただくことが大事であると思っています。

もう一つ一般的な訓練で、煙の中に入る体験がありますが、うまくイメージトレーニングができないと、何回も行ったり来たりしてしまいがちです。まず今自分のいる所のイメージを持って、どういうルートで避難をするのかを考える訓練をすることが、非常に役に立ちます。テレビや新聞などで、大きな火災が起こって自宅で亡くなったというニュースをよく目にしますが、家の構造が分かっている自宅でもそうなので、旅行などで家を離れたり、違った場所に行ったときにはさらにリスクが高まります。まず最初に避難口を見ておき、どのくらいでそこに行けるのかを一度試してみるだけでも助かる率は高まりますので、まずは意識してみることも大切です。このことを、一度訓練で取り上げた後、参加された市民の方が次の訓練の時に私のところに来られて、「あなたの言ったことをその後に旅行に行ってからずっと実践してやっていますよ」と言っていただいた時は本当に嬉しく感じましたが、このような積み重ねが、危機管理には大切だと思っています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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