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防災インタビューVol.194

ソーシャルグッドアクターとして ~災害関連死ゼロへ~

放送月:2021年11月
公開月:2022年2月

早瀬 マミ 氏

俳優・上智大学非常勤講師・防災士

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

災害関連死をゼロに

皆さんは、TKBという言葉をご存じでしょうか? これはトイレ、キッチン、ベッドの頭文字を取ったものなのですが、例えば、冷たい食事や床での雑魚寝など、仮設施設での避難生活の疲れ、ストレス、環境の悪化などが健康に悪影響を及ぼします。避難所生活では、トイレの問題も大変重要になってきます。トイレが遠くにあったり、もしくは暗くて怖かったり不潔だったりすると、なるべくトイレの回数を少なくしようとして水分などを控えてしまうため、それによって健康リスクが高まるということも指摘されています。実際に東日本大震災や熊本地震では、災害が起きた時には助かったものの、避難生活を続ける中で体調を崩して亡くなってしまう「災害関連死」が相次いだそうです。

「災害関連死」という言葉を初めてお聞きになった方のために、その被害の深刻さを数字でお伝えさせていただきますと、初めて公的に災害関連死が認定された阪神淡路大震災では災害関連死は921人、東日本大震災では2017年9月末の時点で福島県で2202人、岩手県で464人、宮城県で926人、熊本地震では直接死の4倍以上となる222人が災害関連死として認定されています。とても数が多いのに驚きますが、私もこの仕事をやりはじめて、初めてこのことを知りました。現在は、この災害関連死をゼロにしていきたいと思って活動しています。

避難生活における重要な問題の一つに、トイレ不足があり、これは被災された方々をはじめ、駆け付けたボランティアにとっても大きな課題となっています。それらのトイレ不足を解消する一つとして、私ども「助けあいジャパン」では、清潔で安全で明るいトイレトレーラーを全国の自治体に導入していただいて、災害時には近隣のトイレトレーラーが助けに駆け付けるネットワークづくりに取り組んでいます。災害時の避難者数は、東日本大震災で40万人、熊本地震では18万人でした。必ず起きると言われております国難級の災害首都直下地震では避難者数はなんと700万人、南海トラフの地震では950万人にもなると言われています。そこで全国の1741の市区町村が1台ずつトイレトレーラーを配備しまして、災害時には、被災地に全国から駆け付けることができたら避難生活のトイレ不足問題の解消につながると思います。

また今、フェーズフリーという概念が広められていますが、日常時と非常時という2つのフェーズをフリーにする、それがフェーズフリーで、その考え方としてトイレトレーラーも被災地だけでなく、花火大会や平常時のイベントにも活用いただくことで、日頃から多くの方々に被災時の環境に慣れ親しんでいただくことを願っています。災害時によくありがちなのですが、急に環境が変わると、トイレに行ってもおしっこが出ないというようなこともよくあるそうなので、例えば、日頃から使っていれば、いつもの清潔なトイレだということが分かっているので、小さなお子さんやお年寄りも安心して使うことができると思います。非常時だけでなく、日頃から使っていただけるような、そういう取り組みをしていきたいと思っています。

みんなが元気になる トイレトレーラー

「みんな元気になるトイレトレーラー」が助けあいジャパンで取り扱っているトイレトレーラーなのですが、この機能とスペックについて詳しくお話しさせていただきたいと思います。

このトイレトレーラーは、片側に2つ、そしてもう反対側に2つの合計4つのトイレが設置されています。入口も当然4カ所ありますので、感染症予防として導線を分けて使うことも可能です。実際に個室に入ってみると、かなり広いスペースで設計されておりまして、例えばお子さんがいる方は一緒にトイレに入ることもできますし、避難所生活でプライバシーを守るために中で着替えができるような配慮もされています。さらにはシャワーも設置されておりますので、人工肛門や人工膀胱を持つ患者さんが袋にたまった便を流したり、体の一部を洗ったりするためにも使っていただけます。

以前のトイレは、長く使っていると床が泥などで汚れてしまって、衛生面で心配になってくるということが指摘されていたのですが、そういった時にこの設置されたシャワーを使って床を清掃することもできますので、清潔に保って長く使っていただくことができます。また今コロナ禍で特に気になる換気面についてですが、窓と換気扇が設置されており、滅菌装置も装備しておりますので感染症への対策もしっかりと行っています。さらにこのトレーラーの天井にはソーラーパネルが設置されておりますので、換気扇や室内の灯りがつく仕様になっています。電気がつくので暗い時間でも安心してトイレに行くことができますし、コンセントもありますので携帯電話などの充電もできます。もともとハリウッドなどの撮影現場で使用されていたトイレトレーラーが基となっていますので、広さや快適さについてはイメージしていただきやすいかと思います。

皆さんが気になるこのトイレトレーラーの導入については、実は自治体への負担の少ない3つの方法がございます。1つ目は「ふるさと納税の活用」。これはふるさと納税での寄付金控除制度を活用できるために寄付するものにとっては少ない負担で支援を行うことができます。2つ目は交付自治体に限りますが、緊防債と言われる、緊急防災・減災事業債の利用もできます。3つ目はクラウドファンディングの利用です。現在は高知県高知市が「ふるさと納税型のクラウドファンディング」という合わせ技で2021年12月6日夜11時まで寄付募集を行っています。ぜひ詳しくは日本最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」のインターネットサイトで検索していただければと思います。

このトイレトレーラーですが、一般的には2000万円が必要と言われています。もともと予算の潤沢な自治体だったら問題がないのですが、なかなかそうもいきません。いろいろな地域に対して予算が使われているので、ちょっとトイレにそんなにはお金が掛けられないという自治体であっても、先ほど申し上げました3つの方法で自治体の負担が少なく導入が可能ですのでぜひご検討ください。

※今回のインタビュー記事は、東急電鉄の協力のもと、「FM salus」が過去に放送した『東急建設 presents 「サロン・ド・防災」』の内容を、一部改定して掲載しています。