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防災インタビューVol.199

天気と知育 ~いろどりくらうど~

放送月:2022年4月
公開月:2022年6月

三宅 惇子 氏

気象予報士
防災士

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

「幅を伝えられる気象士」を目指して

私は2012年、東日本大震災の翌年からNHK仙台放送局で気象キャスターとして、東北地方のお天気を伝えていました。当時、私はまだ新米予報士で、本当に予報を伝えるだけでいっぱいいっぱいで、朝方、秋田県や岩手県などで局地的な豪雨があったのですが、朝の情報番組の中のニュースで気象情報を伝える際に、まさに大雨が降っている状況の中で予測を伝えました。そのため「この後の見通しは、雨雲は1時間ごとに徐々に西から東に抜けていく予想です」という画面に出ている通りに話してしまったのですが、放送終了の1時間後にNHKの画面の一番上に「岩手県では経験したことのないような大雨になっています」というニュース速報が出ました。最近だと「経験したことのないような」という表現はよく見るようになっていますが、私はそこで初めてこの言葉を見ました。自分がキャスターになって初めて知り、東北地方で出るのも初めてだったこの文言の通り、雨雲が抜けずに岩手県にかかり続けて、土石流も起きて亡くなる方や家が流された方も出てしまいました。気象情報を伝えた際にも、雨が抜けない可能性もあるかもしれないということは一瞬頭をよぎったのですが、尺の問題もあり、見通しを話すことの方を選択してしまい、「予想の幅」というのを伝えられず、予想を上回る大雨が降ってしまい、「避難してください」という言葉を伝えることができませんでした。それから大雨が降るたびに、それをフラッシュバックして、「本当に2度と繰り返してはいけない」と肝に銘じ、「自分の周りで大変なことが起きているんだ」「経験したことがないような大雨が来ているんだ」というようなことを、言葉を選んで、皆さんに行動に移してもらえるように、「予想の幅を伝えられる予報士」にならないといけないと感じました。その後は、いろいろな予報の資料を見て、これは本当にどういう可能性があるのかを考えながら、これまでの流れや今の状況など、いろいろなことを調べて、「私の見通しはこれだ」というのを、必ず放送前までに決めるようにしてきました。そうすると、単なる予報だけでなく、実際に起きる現象にちょっとずつ近付けて言葉を選べるようになっていきました。やはりそこの土地に住んで、空を見て、きちんと予報と合っているのか、合ってないのかを確認しながら生きていくことが大事だということを学びました。その土地に何年か居ないとその土地の状況は分かりません。「3年やって予報士1周。季節を過ごして、一つ一つくくりを見るんだ」というふうに先輩からも教えられてきましたが、やはり3年たってようやく空を見て、きちんと予想できるようになってきました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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