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防災インタビューVol.209

物流と防災 ~3PL物流を活用した循環型備蓄の構築~

放送月:2023年1月
公開月:2023年3月

森兼 優佳 氏

株式会社丸和運輸機関
BCP物流支援企画部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

仙台長町未来共創センターについて

仙台長町未来共創センターとは、2022年の春、不動産開発や建設計画の専門である株式会社フクダ・アンド・パートナーズ様が仙台市長町副都心に開発した施設です。AZ-COM丸和グループも2階と3階に入居しています。

この施設は、SDGsをテーマにした共創共生のオフィスで、平常時と非常時で機能が変わるリバーシブル・ビルをコンセプトにしています。平常時は(共に創ると書いて)「共創」をテーマに、BCPや防災の情報発信拠点として展開し、非常時においては(共に生きると書いて)「共生」をテーマに、地域密着の防災施設として活用できる様、平常時にも非常時にも役に立つ機能を備えた施設です。テナント入居企業のみならず地域企業も加わった「産・官・学」が永続的にここで新しい価値を創出すること(つまり共創すること)により、この施設が「持続可能な社会」の実現に寄与し続ける存在になることを目指しています。

企業防災及び事業継続の推進を目的として、仙台市、東北大学災害科学国際研究所、株式会社フクダ・アンド・パートナーズ様、そして私たち株式会社丸和運輸機関の4社間にて「仙台長町未来共創センターを活用した企業防災等の推進に関する協定書」を締結しています。協定の内容を一部紹介させていただきますと、仙台長町未来共創センターを活用した地域における企業防災及び事業継続の推進や大規模災害時の一時滞在場所の提供、災害が発生した場合における支援物資輸送の推進などです。このような産官学の取り組みが全国に広がっていけばよいと思っています。

この仙台長町未来共創センターは災害時には入居テナント企業のBCPを支える事はもちろん、地域を守る施設として、最大80名分の帰宅困難者の受け入れが可能です。

BCPを支える施設機能としては、停電が発生した際でも、電力に関しては太陽光発電機、蓄電池、EV車による3つの異なる電気バックアップシステムがあり、72時間以上連続稼働する電気の絶えない施設となっています。また、断水時でも3日間トイレが使用可能な水量を受水槽に確保しており、初動から3日間のBCPを支えることができます。

ライフラインに関する重要設備は、万一の浸水に備え設備架台の上に載せ、建物内の電源盤や防災版は2m、コンセントは1m嵩上げされており、あらゆる災害に対して対応ができる様な準備が整っています。

地域を守る施設としては、備蓄物資の配布やトイレの使用、他にも平常時は憩いのベンチとして使用でき、災害時にはかまどとして炊き出しが可能なかまどベンチを使用した炊き出しなどによって、地域住民の方々が不自由なく被災生活を過ごすことができる様にサポートしたいと考えています。

仙台長町未来共創センターでは、非常時における防災拠点として最大80人分の帰宅困難者を受け入れることができる様に、施設の中で備蓄物資の保管・管理を行っています。備蓄倉庫は見学が可能であり、どのように備蓄品を管理する事が有効的な管理方法なのか、視覚的に分かる様になっています。また今後においては、ハンディーターミナルやクラウド型の備蓄管理システムを使用した、備蓄品の入出庫などの在庫管理体験ができるように準備を進めています。

またギャラリースペースもあり、東日本大震災を中心に過去の大規模災害が発生した際の対応やその前の対策についての好事例を災害物流に注目して、物資の輸送の課題や問題を物流に関わっていない方々に分かりやすく紹介しています。ギャラリースペースの作成には東北大学の丸谷教授にもご協力をいただいております。私たちの施設を見学されたことによって少しでも防災意識の向上やBCP策定の重要性を理解していただき、BCP策定のヒントとなる様な情報を発信していけたらと考えています。今後は、地元小中学生向けの防災・BCP体験セミナーの開催を予定し、大人だけでなく子供への教育にも力を入れていきます。この建物には、最大105名収容できるセミナールームがあり、先に述べた備蓄倉庫やBCPギャラリーの見学と併せて勉強会を開催することも可能です。

さらに、この施設は災害に強く、環境にも配慮した施設です。屋上に設置されている太陽光発電で施設の約25%の電力をカバーし、EV車から出た廃リチウムイオン電池をリサイクルし蓄電池に活用することで環境負荷も低減しています。施設内3か所にソーラー式の街路灯を設置しており、施設にCO2ゼロのクリーン電力を導入しています。

将来的には、この施設を3.11伝承施設として登録を目指し、東日本大震災時の企業の取り組みや、BCPの重要性、災害時物流をよりよくしていくための取り組みを発信していく施設にしたいと考えています。

最後になりますが、AZ-COM丸和グループは災害が発生したら、被災地・非被災地どちらにおいても活躍するべく日々研究を重ねています。また、災害発生前から現状の体制の課題を洗い出し、物流企業だからこそできる提案や情報発信を行っていき、社会に貢献し続けていきたいと思っております。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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