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防災インタビューVol.209

物流と防災 ~3PL物流を活用した循環型備蓄の構築~

放送月:2023年1月
公開月:2023年3月

森兼 優佳 氏

株式会社丸和運輸機関
BCP物流支援企画部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

広域的な物流支援体制について

一般的に2024年問題として取り上げられているように、中小のトラック運送会社の経営状況はどこも厳しく、深刻な人材不足、特に若年ドライバーの採用が難しく、ドライバーの高齢化が進んでいます。また、輸送量の減少および同業社での競争が激しく、輸送単価が下がっていく中で、各社のコスト削減に向けた自助努力にも限界がきています。それに加えて、社員教育や後継者育成に十分な対応ができていないことなど様々な問題に直面している現状があります。中小事業者が大半を占めるトラック運送業界においては、個々の会社では有効な手立てを講じることは決して簡単なことではありません。そこで、丸和運輸機関の代表の和佐見は、物流業界に恩返しをしたいという想いのもと、協力関係を築いてきた全国のパートナー企業の皆様への経営支援を目的として、2015年の東証一部上場を機に、中小のトラック運送事業者を中心とする会員制のネットワークである「一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワーク(通称 AZ-COMネット)」を設立いたしました。コロナ危機の中でも大手EC企業様が私たちにラストワンマイルの配送を任せて頂けたのも、このAZ-COMネットの存在を評価して頂けたというのが1つあると考えています。

AZ-COMネットの会員数は2015年の設立当初は139社でしたが、2022年12月15日時点では1807社に増加し、2025年には3500社を目指しています。

AZ-COMネットは全国規模の組織ですので、ある地域が災害を被っても他の地域の会員から支援を受ける事ができ、さらにはトラックの動員、燃料や支援物資の確保、支援物資の運搬のみならず、保管・管理・仕分けについても日頃の業務の延長で対応が可能です。BCP物流支援事業は丸和運輸機関だけではできません。AZ-COM丸和・支援ネットワーク組織があるからこそできるのです。

近年の活動では全国を6支部に分け、BCPネットワークという組織を立ち上げて、会員企業一社一社が事業継続力を強化し、災害に強いロジスティクス網の構築ができるよう、通信・連絡手段の整備や災害時の状況を自分自身の問題としてイメージするトレーニングツールを活用したワークショップの実施など、AZ-COMネットの広域物流支援網の強化を図っています。

BCP支援事業を本格的に行っている物流業者はほとんどありません。しかし、誰かが行わなければなりませんし、不測の事態が起きる前に手はずを整えておくことはとても重要なことになります。

非常時における緊急輸送について

私たちは、全国規模の組織であるAZ-COMネットを活用し、自治体だけではなく民間企業とも大規模災害時における支援協定を結んでいます。民間企業との支援協定の締結に関しては、約3年前から行っており、非常時にお客様がご要望のトラックの緊急輸送の手配を中心に行っています。

某大手コンビニエンスストア様での対応事例としては、2019年に千葉県を襲った大型台風15号、19号において、発災二日後の夕方から要請が入り、翌朝から約400店舗に向けた物資支援を延べ約150台のトラックで支援を開始いたしました。中には停電している中で店舗への物資供給を迅速に行った経験があり、この取り組みはお客様から非常に高い評価を頂くことができました。それ以降、某大手コンビニエンスストア様とは大規模災害時における支援協定を継続的に結ばせて頂き、今季も新型コロナウイルスの影響や線状降水帯による車両不足など非常時の対応依頼は5回もあり、中には一ヶ月にわたる車両手配のご依頼もございました。

協定締結の際に緊急時の連絡先や車両の大きさ、時間、距離などの条件を話し合い、具体的な料金設定まで行っているため、災害発生時の迅速な車両手配と手配後の事務的な処理まで滞りなく行うことができています。直近では、2022年12月に新潟県で発生した豪雪においてもお客様からご依頼をいただいており対応いたしました。

昨年、2022年3月16日の夜中23時36分に発生した福島県沖を震源地としたマグニチュード7.4の地震では、某大手医薬品卸企業様に翌朝、連絡確認が取れ、要請があった翌日には関東エリアから東北エリアへの配送を開始し、商品集荷から各小売店、店舗配送まで実施いたしました。当初は関東から東北エリア各店舗へ直接配送というお客様からのオーダーではございましたが、より効率的な配送を行うためAZ-COMネットが所有するリソースを最大限活用し、大型車で配送可能な店舗に関しては、埼玉から直接配送を行い、中型車で対応可能な店舗に対しては東北エリアにあるセンターを中間拠点として、現地での車両手配と合わせて対応することで、使用車両を削減し、お客様により効率的な輸送を提案・実施させていただきました。緊急手配だけで、約600運行も車両の手配を行い、お客様の事業復旧に向けて対応することで、こちらもお客様から大変高い評価を頂くことができました。

過去の災害や非常時に車両や人員が足りないという経験がある民間企業の物流担当の方がいらっしゃれば、非常事態になる前に丸和運輸機関にご相談いただければ、「事前に」、そして「共に」、非常時の輸送について検討していければと考えております。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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