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防災インタビューVol.209

物流と防災 ~3PL物流を活用した循環型備蓄の構築~

放送月:2023年1月
公開月:2023年3月

森兼 優佳 氏

株式会社丸和運輸機関
BCP物流支援企画部

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

物流業者から見た自治体訓練や地域防災計画の現状と課題

私が所属する丸和運輸機関の社長である和佐見が理事長を務める一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワークという組織があるのですが、2022年12月の段階で合計38の地方自治体と大規模災害時の支援に係る協定を結んでいます。その関係で、私も複数の自治体が主催する防災訓練に参加させていただきました。協定を結んだことをきっかけに、自治体が主催する訓練にお声がけをいただき参加できることは、私たち民間企業にとって非常に学ぶことが多い貴重な機会でした。フォークリフトや、実際の物資を使用する本格的な物流の訓練を行っているところもあり、私たちもトラックの提供などをさせていただきました。

私も、訓練の企画や運営をすることがあるのですが、複数組織が参加する訓練の設計はとても大変で、組織の中だけの訓練でも大変なのに、官民が連携できるよう訓練設計をしていただき感謝しています。毎年防災の日である9月1日の前後に自治体主催の災害対応訓練が行われることが多いのですが、私が初めて物資輸送訓練に参加して驚いたのは、物流現場では当たり前に行われていることが行われていなかったことです。

例えば、物資受け入れ時の物の個数を確認する検品作業や、倉庫内の適切なレイアウト設定やハンドリフトや台車など機材を使用した荷物の運搬の想定が少ないなどです。物資を受け入れるときに検品をしていないと実際にモノが倉庫に何個入ってきて、何個出ていったかが分からなくなり、在庫を把握することができないですし、この配置だと大量にモノが出たり入ったりする場合、不便だろうなとか、物量に対してハンドリフトや台車が少なくて、手作業で作業する人が多いとなると時間がかかるし大変だろうなとか1つ1つは細かい点になりますけれども、東日本大震災や熊本地震の課題や問題を改善しようとする自治体職員の方々や自主防災組織の方々の努力で災害物流の問題は良くなってきているとは思いますが、普段物流の業務に関わっているわけではないので、改善部分ももちろんあると感じました。例えば、私が他業種や自治体のお仕事を急遽お願いされても行うことができないのと同じだと思います。ですので、災害発生前から官民の連携を強化し、災害時を想定した物資輸送や管理体制を共に構築していくことが改めて必要だと認識いたしました。

また、災害時に緊急輸送を突発的に任せるのではなく、民間企業の力を最大限に活用しようと考えると、普段自治体で保管している災害備蓄品の管理から委託した方が良いと私は考えています。

物流業者で備蓄品を管理する

先ほど災害備蓄品の管理から物流業者に委託した方が良いとお話させていただきましたが、なぜ備蓄品管理を委託した方が良いのかというと、民間に備蓄管理を任せていただければ、より効率かつ豊富に備蓄品を管理できると考えたからです。例えば、備蓄品が取り出しやすいように、どこに何があるか一目で分かるようなレイアウトの設計や、揺れで崩れにくい荷物の積み方、賞味期限・使用期限の徹底した管理など、平常時からでも物流会社が当たり前に行っているノウハウが活用できると考えたからです。備蓄倉庫を見学させていただいた時に、担当者の頭の中でしかモノの把握ができておらず、それも1~2名程度の担当者が管理しているような状況で、初めて備蓄倉庫に入った人には、どこに何がどれだけ置いてあるか、全く分からないというような状況がよくありました。災害が発生し、現場で備蓄品の管理をしている担当者の方が被災して、もしくは家族や周辺の住民の方々の被災など、何らかの理由で担当者の方が備蓄倉庫に来ることができないとなった際に、必要なものが倉庫内から取り出すことが少し難しいかなと感じました。他にも備蓄品管理において、非効率で危険な保管方法だなと感じる部分が視察をさせていただいた時に多くありました。

例えば、備蓄物資を保管しているある倉庫では段ボールが平積み、つまり全て同じ向きに積み上げられて保管してありました。通常物流倉庫では、段ボールを重ねて積む時に、荷物を交互に向きを変えて積み上げます。そうすることで、安定性が増して、荷くずれを抑えることができます。

平積みですと、シンプルで分かりやすい積み方ではありますが、実は振動や横揺れに弱く、地震発生時には倉庫内で積み上げられた備蓄品が倒れて物資として使用できなかったり、物資を取り出すための歩行や運搬の導線の妨げになってしまったり、片付けなどに大幅な時間を要してしまったりと、被害発生前に予防しておけば大幅に軽減できたことを被害後に行うということで非常に貴重な時間や価値を損失してしまうことになります。

もちろん、私たち物流会社としてのノウハウを共有して、取り入れていただくことも可能ですが、普段の業務を行いながら、普段行っていない物流の保管の改善を行うことは非常に労力を使うことだと思います。そこで、普段から物流保管のプロフェッショナルとして活動している物流業者で備蓄物資の保管管理をすることで、管理負担を軽減できると考えています。

特に備蓄品管理業が多くて、お困りの地方自治体の行政の方や、従業員や協力会社の方々への備蓄品を保管管理している民間企業の方は、ぜひ物流業者での保管を検討していただければと思います。 AZ-COM丸和グループでは3PL物流(サードパーティ・ロジスティクス)が、お客様の立場にたって、ロジスティクスの企画・設計・運営を行う物流業態で、もう少しかみ砕いて説明すると、調達・物流・回収・廃棄まで、お客様の本業ではない物流部門を物流専門家である私たちに全面的に委託していただくことでコストの最適化や物流改善による作業品質、生産性の向上を図ることで、お客様が成長されてきましたので、このような提案をさせていただきたいと思いました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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