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防災インタビューVol.212

メディアと防災

放送月:2023年4月
公開月:2023年7月

入江 さやか 氏

松本大学
地域防災科学研究所 教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

防災情報は急速に進化 きめ細かく・リアルタイムに

2011年に発生した東日本大震災以降、気象庁や国土交通省、地方自治体では防災情報の改善に力を入れ、雨の降り方や川の状況など、よりきめ細かく、リアルタイムの情報が手に入るようになりました。実例をいくつか紹介します。

まず、気象庁が導入した「キキクル(危険度分布)」があります。大雨が降っている時などに、洪水や浸水、土砂災害などの災害発生の危険度の高まりを地図上でリアルタイムに確認することができるシステムです。「キキクル」という名称は、「危機が迫っている」 から「キキクル」です。

また、国土交通省のウェブサイト「川の防災情報」では、川の水位や全国の川のリアルタイムな映像が見られます。このようなサイトやサービスはすべて無料で利用できます。

スマホやパソコンで、その場所が今どのような状況なのか、災害の危険が迫っているのかどうかも、誰でも確認出来るようになっています。

「わがこと」と思わなければ防災情報は役立たない

最近の災害、例えば2019年の「台風19号」や岡山県倉敷市真備町などが大きな被害を受けた2018年「西日本豪雨」などでは、避難の遅れが問題になりました。気象庁や国土交通省などの情報に基づいて、市町村は「高齢者等避難」や「避難指示」といった情報を出して早めの避難を呼び掛けますが、なかなか迅速な避難には結びつかないのが実情です。

NHKの放送文化研究所では「関東・東北豪雨」や「西日本豪雨」「台風19号」など、豪雨災害の被災地で住民を対象としたアンケート調査を行いました。これらの調査結果では、早めの避難をしなかった理由として「ここまで浸水すると思わなかった」という回答が共通しています。

台風19号で長野県の千曲川が決壊しました。決壊地点の長野市長沼地区ではすさまじい勢いで川の水が住宅地に流れ込み、木造住宅の2階以上まで浸水して非常に大きな被害が出ました。ところがこの長沼地区では、8割の住民が避難所や離れたところにある家族や親せきの家などに避難していました。この地域では、過去に何度も千曲川による水害を経験しています。この地域に住む人たちは、この地域は浸水する、水害のリスクがあることを「わがこと」として知っていたからです。そのため、非常に早い段階から声を掛け合って避難をしていたのです。

どんなにきめ細かいリアルタイムの防災情報があっても「自分には関係ない」と思っていたら役に立ちません。自分の住んでいる場所、働いている場所の浸水や土砂災害の危険性があるか、ないか。スマホを使って国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」にアクセスすれば今すぐに確認できるので、ぜひご活用いただきたいです。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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