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防災インタビューVol.212

メディアと防災

放送月:2023年4月
公開月:2023年7月

入江 さやか 氏

松本大学
地域防災科学研究所 教授

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

熊本地震で唯一機能したメディア ―地域FM

7年前の2016年4月16日、この日は熊本市や隣接する益城町などが大きな被害を受けた熊本地震の2回目の震度7の地震が起きた日です。熊本地震では、まず4月14日に1回目の大きな地震があり、最大震度は阪神・淡路大震災と同じ震度7でした。この地震がいわゆる本震だと思っていましたが、28時間後の4月16日に2回目の震度7でマグニチュード7.5のより大きな地震が同じ地域で発生しました。この地震が本震で、14日に発生した地震は前震であったと考えられるとする見解が発表されています。この地震によって、熊本市や周辺の益城町や西原村、南阿蘇村では、木造住宅やマンションが多数倒壊し、電気・水道・ガスなどのライフライン、道路や橋などにも非常に大きな被害が出ました。

当時、私は4月16日の震度7の地震が発生した翌日にNHK熊本放送局に入りました。ライフラインや医療機関が大きな被害を受けている中で、水や食料の配布場所また診察が可能な医療機関など被災者に向けた「生活情報」を発信する放送の支援を行いました。

この熊本地震で非常に被害が大きかった益城町では、益城町役場の庁舎も被災してしまい、役場からインターネットや電話、防災無線を使用した情報発信ができなくなりました。町の職員の人たちが、伝達事項を紙に書いて避難所へ持って行き、掲示板に貼り付けていました。

このような中で有効に機能していたメディアが地域FM(コミュニティFM)でした。地震から2週間後に「ましきさいがいFM」というコミュニティFMが立ち上がりました。住民に向けてラジオで生活情報を細かく丁寧に伝えて、非常に役に立ったと思っています。

北海道ブラックアウトの教訓 ―情報入手の方法を複数もつこと

いつでもどこでもスマートフォンで情報を得られるようになってきた私たちの日常生活に、大きなショックを与えたのが2018年9月に発生した北海道胆振東部地震でした。北海道のほぼ全域の電力供給が止まり、最大で約295万世帯が停電する状況になりました。停電により携帯電話の基地局なども停波し、電話での通話やインターネットの接続に大きな影響がありました。

NHKでは、北海道全域の3,300人余りを対象にインターネット調査を行いました。「地震が発生した時に情報を得る手段として何が役に立ちましたか」という質問をしたところ、情報取得の手段として一番役に立っていたのは電池式のラジオでした。電池式のラジオはラジオ本体と予備の電池があれば停電していても起動します。この調査結果によって、改めて災害時のラジオの有用性と、1つのメディアにだけ頼るのではなく、複数の情報を得る手段を確保することの必要性に気づかされました。

ラジオの聴取方法は複数ありますが、いざという時のために電池で使えるラジオと替えの電池をぜひ備えていただきたいと思います。私自身もいつもカバンの中にICレコーダー兼用のラジオを入れています。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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