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防災インタビューVol.217

みんなで助かるための「みんなのヘルプカード」

放送月:2023年9月
公開月:2024年1月

湯井 恵美子 氏

一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会 理事
福祉防災上級コーチ

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

プロフィール

以前、特別支援学校のお話をさせていただき、重度の知的障がいがある次男が今年28歳になりました。そのご縁で、大阪府の特別支援学校の防災に関わることができています。今は、大阪府教育庁の学校防災アドバイザーの特別支援学校担当として、毎年5校から6校の防災計画の改定や、教職員向けの訓練指導などを行っています。

また、特別支援学校だけではなく、福祉防災コミュニティ協会の理事兼福祉防災上級コーチとして、高齢者や障がい者向けの福祉施設の事業継続計画の策定や、訓練指導も行っています。

特別支援学校は、障がいのある子どもたちがたくさん集まっているところですが、この特別支援学校が防災に強くなることで、地域全体が強くなるのではないかと考え取り組んでいるところです。現在、大学院で研究した防災や減災のこと、特別支援学校のこと、障がいのことなどを論文としてまとめていますが、フィールドとして大阪府内の特別支援学校で、実際に先生方のお話を聞いたり、父母のお話を聞いたり子供たちの様子を見ながら防災活動を進めており、とても面白い研究ができているなと思い感謝しています。

ヘルプカードに取り組むことになった経緯

倉敷市真備町箭田地区は、平成30年の西日本豪雨災害で大きな災害を受けました。そこで、高齢者や障がい者のための避難行動のアクションカードである「ヘルプカード」を作りたいので手伝ってほしいというご依頼がありました。そのご依頼が短期間ではなく3年間の取り組みで、腰を据えて取り掛かれると思いお受けしました。

支援が必要な障がい者や高齢者向けの「避難行動をいつ開始するのか」「どこに逃げるか」「誰と逃げるか」などをあらかじめ決めておくためのカードを作りたいというご要望でしたが、3年間取り組む中で配慮の必要な人だけを「助ける」のではなく、地区のみんなで「助かる」ためのアクションカードが出来上がりました。要配慮者と言われている高齢者や障がい者の支援を考えて取り組んできたものが、なぜ地区全体で助かるための活動になっていったのか、全体を通してお話していきたいと思います。

1年目は水害だけではなく、地震についても学びました。地震について一生懸命勉強し、避難方法などについて理解してきましたが、ふわっとした共通認識の状態で、具体的に逃げる場所が決まっていても、実際にどのように逃げるかということが決まりませんでした。そこで2年目は、こちらのインタビュー記事にも掲載されている兵庫県立大学大学院の澤田雅浩先生にお願いし、地図を使ったワークショップを行っていただきました。地図を使うことにより、避難先までの避難ルートを具体的に設定することができました。3年目は避難場所が決まり、避難ルートも決まった上で、ヘルプカード本来の目的である「助け合いのためのカード」という点にもう一度立ち戻り、ひとりで逃げられない人のために何を考えるかということについて、しっかりと議論をしました。

皆さんとても防災に熱心で、活動を始めた1年目は、西日本豪雨災害から3年目だったこともあり、まだ地区内で亡くなった人たちのことをとても辛く感じておられる方もたくさんおられましたが、「当時の自分の弱かった部分」や、「できたこと」「やりたかったけどできなかったこと」などをみんなで話をしていく中で、自分たちに起きたことを納得する時間にもなったのではないかと思いました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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