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防災インタビューVol.217

みんなで助かるための「みんなのヘルプカード」

放送月:2023年9月
公開月:2024年1月

湯井 恵美子 氏

一般社団法人 福祉防災コミュニティ協会 理事
福祉防災上級コーチ

FMサルースで放送された音源をお聞きいただけます。

ヘルプカードで目指していたもの

平成30年の西日本豪雨災害で、真備町ではものすごくたくさんの方が亡くなってしまいました。特に、高齢だったり何か障がいがあったり、ひとりでは避難ができなかった方が多く犠牲になられました。そして、ヘルプカードを作りたいという地区の方たちには、「次に同じことが起きた時に、高齢や障がいが理由でその人たちを取り残すようなことが絶対に無いようにしたい」という強い思いがありました。

この倉敷市真備町箭田地区は遣唐使の吉備真備(きびのまきび)のふるさとでもあります。また、美味しいたけのこで有名な場所でもあり、まちづくりにとても力を入れています。まちづくりと言ってもいろんな活動がありますが、吉備真備駅の前に市民のガーデンスペースを作ったり、お店の前や家の前に花のプランターを置いて、地区全体でとても綺麗に飾っておられます。また、箭田地区には、岡山県立特別支援学校があります。特別支援学校が地区に来ると、反対運動が起こりがちなのですが、箭田地区では、最初から「みんなで支えるのでぜひ来てください」と歓迎していました。今でも登校時間には、支援学校の子供たちが駅から学校まで歩いて行くルートに、地区の皆さんが出てきて見守りをされています。

箭田地区には、小田川という川があります。河川敷には、森のようにたくさんの木があったのですが、これが水害をひどくした一因であるということを勉強して、土手を強くするために、今はまちづくりの中で定期的に集まって土手を踏み固める活動が行われています。踏み固めても丈夫な強い草についての研究もされています。

箭田地区の皆さんから要求されたことは、年間5回、1回あたり2時間の勉強会は全てワークショップで行い、年度末にはヘルプカードを完成させ、定着させたいので3年間行いたいということでした。

倉敷市真備町箭田地区でのヘルプカード作り ~1年目~

箭田地区の方から、ワークショップを年間5回行って欲しいとの依頼を受けましたが、私の方からも2つだけお願いをしました。1つは、できるだけ多様な参加者を集めてほしいということ。そして、毎回のワークショップでは必ず成果物をつくり、グループごとの発表をして、皆さんで共有してほしいということです。

実際に、学校関係者としては、幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校の校長先生や教頭先生が集まり、真備町の職員、まちづくりの役員の方や自主防災会の皆さん、社会福祉協議会の方たち、それから高齢や障がい福祉施設の職員や障がいの当事者の方、また当時は小田川の付け替え工事を行っているタイミングだったこともあり、国交省の職員の方も一緒になってワークショップに参加をしてくださいました。

箭田地区では平成30年の西日本豪雨災害以来、2週間に1度水害について自主的に勉強会が行われていました。ところが、地震についてはなかなか勉強が進まないということで、1年目は地震がどのようにして起きるのか、真備町の大きな地震が起きた時の揺れの被害想定や、津波は来なくても液状化の可能性はある、というような地震の勉強を何回も重ねました。

箭田地区は低い土地なので、水害の時には地区外に避難するしかありません。そのため、避難場所は地区外にしか作れないという強い共通認識がありました。その避難場所に向かうために必要な情報を共有しておけば、みんなで一緒に避難できるのではないかということを重点的に考えました。具体的には、避難するタイミングや手段、誰と一緒に避難をしてその時にどのような支援を受けたらいいのか、ということです。ヘルプカードというのは情報共有カードなので、どのような情報であればみんなで共有できるのかということを話し合ってもらいました。

避難のタイミングについては、ワークショップの中で出てきた言葉で「レベル2でスイッチオン、レベル3で連絡を取り合い避難開始」としました。また避難の手段についても、避難場所が遠いことから箭田地区の避難ルールとして車で避難をすることを決めました。

※今回のインタビュー記事は、「FM salus」が過去に放送した「サロン・ド・防災」の内容を、一部改定して掲載しています。

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