従業員の退職を防ぐ効果的な対策は?定着率を高める組織・環境づくり
目次
優秀な人材の確保は企業の成長に欠かせません。しかし、せっかく採用・育成した従業員が次々と退職していくようでは、企業のパフォーマンスは低下する一方です。
従業員の退職を防ぎ、定着率を高めるには何が必要なのでしょうか。本記事では、退職理由の分析から効果的な退職防止策までを詳しく解説します。企業の持続的な成長のカギを握る「組織・環境づくり」のヒントをぜひ参考にしてください。
退職防止対策の重要性
従業員の退職が常態化していると、延々と求人を出し続けなければなりません。時間もお金もかかり、思うような生産性を上げられないでしょう。まずは、退職を防止する対策がいかに重要かを再認識することから始めましょう。
人材流出で企業パフォーマンスが低下する
人材の流出は、企業のパフォーマンスに大きな影響を与えます。特に優秀な人材が退職すると業務の品質が下がり、生産性の低下に直結します。
例えば、中核となる社員が次々と辞めてしまうと、新しいプロジェクトが大幅に遅れることもあるでしょう。最悪の場合、頓挫してしまうかもしれません。
また、退職者の知識やノウハウが社外に流出し、競合他社に渡れば深刻な事態を招く恐れがあります。
既存従業員の負担が増しさらなる退職につながる
退職者が増えると、残された従業員の業務負担が増大し、モチベーションの低下を招きます。「自分だけが頑張り過ぎているのでは?」と考える従業員も出てくるでしょう。過重な負担が続けば、さらなる退職につながりかねません。
退職者が出るたびに新たな人材の採用・教育にコストがかかり、生産性も一時的に低下します。こうした悪循環を断ち切るためにも、従業員の定着率を高める取り組みが欠かせません。
「離職率が高い会社」という評判が広がる
従業員の退職が相次ぐと、「あの会社は離職率が高い」という評判が広がるでしょう。結果、求職者から敬遠され、企業の成長に大きな影響を及ぼしてしまいます。新たな人材の獲得が難しくなるだけでなく、取引先からの信頼も失うかもしれません。
なお、離職率の公表は義務ではありませんが、非公開にしていると「公表できないほど高い」と疑われ、結果的に悪評が広がることもあります。
従業員が退職する理由を分析
従業員が辞めてしまう理由を把握しておくことで、退職を防ぐための対策を立てやすくなります。代表的な3つの退職理由とその内容は次のとおりです。
労働条件への不満
労働条件への不満は、従業員の退職理由の上位に挙げられます。給与水準や福利厚生が同業他社と比べて低いと感じると、不満が生じやすいでしょう。特に長時間労働が常態化している職場では、ワークライフバランスが崩れ、心身ともに疲弊してしまいます。
また、有給休暇の取得が難しかったり、休暇を取得しづらい雰囲気があったりするとモチベーションが下がり、退職を考えるきっかけになります。
人間関係によるストレス
人間関係のストレスも退職を決意する代表的な理由です。上司とのコミュニケーション不足や同僚との人間関係の悪化は、出社への足取りを重くするでしょう。そこにパワハラやセクハラが発生すると、従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を与えかねません。
会社の将来性が不安
一般的に、会社の将来性に不安を感じている従業員は少なくありません。「この会社は5年後、10年後も存続しているのだろうか?」などと考えると不安になり、転職を考えるきっかけになります。特に、業績不振や事業縮小などのネガティブなニュースが流れると、その傾向は顕著になるでしょう。
世代別価値観で異なる退職理由
退職理由は世代によって異なりますが、共通して挙げられるのは「待遇や評価への不満」や「人間関係のストレス」です。
その上で、20代の若手従業員は、キャリアアップの機会不足や労働時間の長さに対する不満、「他にやりたい仕事ができた」といった理由を挙げる傾向があります。「転職がしやすい今の年齢のうちに」と考える従業員も多いでしょう。
一方、30代の中堅従業員は、ワークライフバランスの崩れや評価制度への不満から退職を検討するケースが目立ちます。将来を見据え、上司と未来の自分とを重ねた結果、退職を選ぶ従業員も出てくる年代です。
40代以上のベテラン従業員はより切実になる傾向があります。「これ以上のキャリアアップが見込めない」と感じると、「最後のチャンスかもしれない」といった心境で転職活動に乗り出すケースがあります。また、中間管理職の立場で上司と部下の間で苦労することや、派閥争いに巻き込まれることが原因で、人間関係に疲れて退職するケースもあります。
退職防止対策(1)コミュニケーションの活性化とメンタルヘルスケア
効果的な退職防止対策としてまず挙げられるのは、社内のコミュニケーションの活性化と、従業員のメンタルヘルスケアです。定期的な面談や社内イベントを通し、信頼関係の向上に努めましょう。
上司と部下の定期的な面談の実施
上司と部下の定期的な面談は、退職防止に効果的です。面談では、業務の進捗や悩みを共有し、適切なアドバイスを行いましょう。
また、部下の成長を認め、褒めることも重要です。面談を通じて信頼関係を築くことで、「この人の下で頑張ろう」という感情が芽生え、離職率の防止につながるでしょう。
面談では部下のキャリアビジョンについても話し合うことが大切です。会社としてどのようなキャリアパスを用意できるのか、一緒に考えることで、部下のモチベーションアップにつながります。
社内イベントやチームビルディングの推進
社内イベントやチームビルディングは、従業員同士の絆を深め、一体感を醸成する上で非常に有効です。例えば、社員旅行や運動会、ボウリング大会などを定期的に開催することで、普段は交流の少ない部署間のコミュニケーションが活性化されます。
また、チームビルディングのワークショップを通じて、お互いの強みや個性を理解し合うことで、協力体制が強化されるでしょう。
メンタルヘルス不調の早期発見と支援体制の整備
メンタルヘルスの不調は、従業員の退職につながる大きな要因の1つです。従業員のメンタルに目を配り、不調のサインの早期発見に努めましょう。
そのためにも、定期的なストレスチェックの実施や、社内での相談窓口の設置など、支援体制を整備することが大切です。一人ひとりに寄り添った対応が、従業員の心の健康を守り、離職防止につながります。
退職防止対策(2)適切な評価制度とキャリア支援の実施
「自身の評価に対する不満」は、退職の一般的な理由の1つです。従業員が「自分は必要とされている」と感じる環境は、会社に留める十分な効果を見込め、生産性の向上にも寄与するでしょう。
公正で透明性のある評価制度の確立
従業員の定着率を高めるために、公正で透明性のある評価制度を確立しましょう。例えば、業績だけでなくプロセスや行動も評価対象に含めることにより、従業員のモチベーションが向上します。
また、評価基準を明確にし、上司と部下の定期的な面談を通じてフィードバックを行うことで、従業員は自身の強みと弱みを理解し、成長につなげられます。評価結果を賃金や昇進に反映させることによって、従業員の努力が報われる環境を構築ができるでしょう。
個人の強みを生かしたキャリアパスの提示
個人の強みを生かせるキャリアパスを提示することも、従業員の定着率向上に効果的です。一人ひとりの適性や興味を把握し、それに合わせた成長の道筋を示すことで、従業員は自身の将来像を描きやすくなります。
例えば、営業職として入社した従業員が、顧客との折衝を通じて交渉スキルに長けていることが判明した場合、将来的に営業管理職やコンサルティング部門への異動の可能性を提示するなどです。
個人のポテンシャルを引き出し、長期的なキャリア形成を支援する姿勢は、従業員のエンゲージメントを高め、会社への帰属意識を強める効果が期待できるでしょう。
社内外の研修・教育機会の提供
従業員の成長を支援するために、社内外の研修や教育機会を積極的に提供しましょう。例えば、新入研修や管理職研修など、階層別の研修プログラムを用意することで、各段階に必要なスキルを身につけられます。
また、外部セミナーへの参加や資格取得支援など、従業員の自発的な学びを後押しすることも大切です。「自分の成長を会社が応援してくれている」と感じてもらえる環境づくりに努めましょう。
退職防止対策(3)企業文化の醸成とワークライフバランスの実現
従業員にとって居心地が良い、あるいはやりがいを感じられる環境を醸成することも重要です。また、物理的な働きやすさを追求し、業務効率化に役立つICTツールを導入することも検討しましょう。
企業理念の浸透と従業員との価値観の共有
企業理念は、会社の存在意義や目指す方向性を示すものです。従業員一人ひとりがその理念に共感し、自分の価値観と一致していると感じることが、仕事へのモチベーションにつながると考えられます。
日々の業務やコミュニケーションを通じて企業理念を浸透させ、「この会社で働き続けたい」という気持ちを育みましょう。
退職者の知見を生かした組織改善策の実施
容易ではありませんが、可能な限り退職者の声にも耳を傾けましょう。退職理由から組織の課題が見えてくるかもしれません。
例えば、「業務プロセスが非効率で残業が多い」「情報共有の不足でストレスがたまった」などです。こうした意見をもとに、業務マニュアルの整備や社内コミュニケーションツールを導入することもあるでしょう。
有給休暇の取得促進と長時間労働の抑制
有給休暇の取得を促進し、長時間労働を抑制することも、従業員の定着率向上に効果的です。「年次有給休暇の取得率は50%以下」という企業も多いのが現状ですが、休暇を取りやすい雰囲気づくりや、計画的な休暇取得の推奨が大切です。
また、長時間労働は従業員の心身の健康を損ない、仕事の効率低下や、最悪の場合は過労死につながる恐れもあります。適切な業務管理とタスク配分、残業時間の上限設定など、長時間労働を防ぐ取り組みが求められます。
柔軟な働き方の導入とリモートワーク環境の整備
リモートワークの導入は、従業員の働き方の選択肢を広げ、ワークライフバランスの実現に寄与します。
一方で、在宅勤務者が孤立感を感じたり、コミュニケーション不足に陥らないよう、定期的なオンライン会議や情報共有ツールの活用が欠かせません。
例えば、Web会議ツールの「Zoom」を使えば、離れた場所にいる従業員とも円滑なコミュニケーションが可能です。また、「Box」のようなクラウドストレージサービスを導入することで、セキュアな環境で社内データを共有できるでしょう。
こうしたICT環境の整備により、リモートワークでも生産性を維持しながら、従業員のエンゲージメントを高められます。
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「Zoom」でリモート社員と円滑なコミュニケーションを
Zoomは、どのデバイスからでも利用できる「Zoom chat」をはじめとする多機能を提供しており、どこからでも簡単にコミュニケーションを取ることができます。
有料プランであれば、オンラインでの会議や商談、リモートでの社員交流会などにも最適です。30時間に及ぶ連続使用が可能になり、大規模なオンラインイベントの実施にも対応します。全従業員が参加する朝礼や研修会など、さまざまな形式の会議にも活用可能です。
Zoomを導入することで、リモートワーク中の従業員間の疎外感が軽減され、チームの結束を強化するのに役立つでしょう。従業員の満足度が向上し、組織全体の生産性が増加することも期待できます。
「Box」で高セキュアな情報共有を
リモートワークでは情報共有の課題が生じがちで、これが従業員の不満の原因や営業活動の効率低下につながることがあります。このような問題を解決するために推奨されるのが、法人向けのクラウド型コンテンツマネジメントシステム「Box」です。ファイルはもちろん、タスクや業務フローも無制限に一元管理できます。
「Box」は、米国政府も採用するほど高いセキュリティを誇るのもポイントです。細かなアクセス権限設定や堅牢な認証システムを備えており、社外の人材とも安全にファイルを共有し、リアルタイムでの共同編集が可能です。また、1,500以上のアプリと互換性があり、リモートワークを支える基幹システムとして運用できます。
まとめ
退職防止対策に効果的なのは「コミュニケーションの活性化とメンタルヘルスケア」「適切な評価制度とキャリア支援の実施」「企業文化の醸成とワークライフバランスの実現」の3つが考えられます。中でも、ワークライフバランスの実現を目指す改革や環境整備は、従業員の心身の健康を保つのに役立つでしょう。
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