電子POPとは?種類・機能・使い方・具体的な活用例まで詳しく解説
電子POPは紙のPOPより訴求力も運用の効率性も高く、さまざまな業種・業態の店舗で活用が広がっています。電子POPの導入・運用を検討しており、機能や活用方法について理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。
機種によってはインターネット経由での端末管理やタッチコンテンツの活用、各種センサーと組み合わせた運用も可能です。そこでこの記事では、電子POPの種類や基本機能・便利機能、具体的な活用例について紹介します。
電子POPとは?
電子POPは紙のPOPを小型のデジタルサイネージに置き換えたもので、店内販促ツールの1つです。画像・動画・音楽で商品CMや耳寄り情報などを流し、商品の認知や購買率の向上などを目指せます。
電子POPは什器や陳列棚に取り付けて使用することが一般的です。一般的なデジタルサイネージより低コストで導入・運用でき、紙のPOPよりさまざまな面でメリットが大きいため、スーパーやドラッグストア、家電量販店などの店舗で活用が広がっています。
【関連記事:店舗にデジタルサイネージを導入!得られる効果を事例とともに解説】
電子POPの種類と基本機能
電子POPはサイズによって最適な用途・設置場所が異なります。コンテンツ管理の方法は「スタンドアロン型」または「クラウド型」で、クラウド型の場合はWi-Fi・有線LANを経由したインターネット通信またはデータSIMによるパケット通信が可能です。また、訴求力に影響する視認性の高さは、液晶ディスプレイの種類によって大きく異なります。
サイズによって用途・設置場所が異なる
電子POPのサイズ展開は4.3~32インチ程度と幅広く、サイズによって用途・設置場所を使い分けることが一般的です。
4.3~7インチ程度の小型の電子POPは、商品棚やレジ横に設置しやすく、紙什器への設置などに向く紙製筐体の小型軽量モデルもあります。10~14インチ程度の中型の電子POPは、エンド棚などへの設置に向いたサイズ感です。
15.4~32インチ程度の大型の電子POPは、大型店舗で卓上スタンド設置などに利用される他、商品棚のトップボードとして設置されることもあります。
【関連記事:デジタルサイネージとは?仕組み・導入効果や具体的な導入事例を解説】
コンテンツ管理はスタンドアロン型またはクラウド型
電子POPは大型のデジタルサイネージとは異なり、ディスプレイ・STB(セットトップボックス)一体型の機種(STBレスモデル)が一般的です。外付けのSTBがなくても電子POP単体で画像や動画を再生できますが、機種によってインターネット接続機能のあるもの(クラウド型)とないもの(スタンドアロン型)に分かれます。
・スタンドアロン型:コンテンツデータの入ったUSBメモリやSDカードを機器本体に差し込み、表示内容を更新する
・クラウド型:サービスベンダーのサーバとデータをやりとりし、遠隔でのコンテンツ更新や、クラウドサーバへのデータ蓄積などができる
【関連記事:クラウド型デジタルサイネージとは?配信方式別メリットや導入の流れ】
通信方法はWi-Fi・有線LANまたはデータSIM(パケット通信)
クラウド型の電子POPはWi-Fiや有線LANに対応し、店舗のインターネット回線を通じてデータをやりとりできます。
・Wi-Fi:LANケーブル配線不要で、商品陳列を邪魔せず通信できる
・有線LAN:Wi-Fiの電波状況が悪い場所でも安定して通信できる
SIMカードスロットのある機種なら、対応キャリアのデータSIMを差し込むと、単独でクラウドサーバとデータをやりとりできます。別途パケット通信料は発生しますが、店舗のネットワーク環境によっては便利に活用できるでしょう。
【関連記事:Wi-Fiとは?利用シーンや関連知識を初心者にも分かりやすく解説】
液晶ディスプレイの種類は視認性に影響する
電子POPの液晶ディスプレイには複数の種類がありますが、視認性の高さはIPSパネルが有利です。TNパネルやVAパネルは見る角度によって色味や輝度(明るさ)の差が大きく、画像や動画の見え方が変わってしまいます。
IPSパネルの特徴は、上下左右の視野角が広く、どの角度から見ても色味や輝度の変化が少ないことです。複数人で視聴しても、また縦置き・横置きどちらでも見え方の差が少なく、広い範囲に鮮明な画像・動画を届けられます。
【関連記事:液晶パネルの種類(TN・VA・IPS)・特徴・選び方まで徹底解説】
電子POPの便利な機能と使い方
クラウド型の電子POPはスケジュール配信の遠隔管理機能を活用でき、機種によってはタッチパネル機能も搭載しています。各種センサーと組み合わせたコンテンツの自動配信や顧客行動分析、タイマー機能(スリープ機能)による消灯・再起動の自動化も可能です。
スケジュール配信の遠隔管理機能
スタンドアロン型の電子POPは画像や動画によるプレイリストをオートリピートすることが一般的ですが、クラウド型の配信システムなら手作業でのUSBメモリの差し替えなどは必要ありません。1拠点から全ての電子POPの配信コンテンツを遠隔管理できます。
例えば複数の番組とタイムテーブルを作成し、時間帯や曜日によって番組を出し分ける、スケジュール配信の遠隔管理が可能です。全店舗の電子POPのスケジュール配信を統一することも、店舗や端末の設置場所に応じて個別に設定することもできます。
タッチパネル機能
タッチパネル機能付きの電子POPなら、通常の画像や動画に加え、タッチ対応コンテンツを配信できます。商品CMなどのコンテンツをプレイリスト通りに表示させるだけでなく、来客が興味のある商品をタッチして詳細を確認するなど、自発的に情報を引き出すツールとして活用することが可能です。
クラウド型の電子POPの中には、来客がタッチ操作した履歴をクラウドサーバで集計できるものや、売り場スタッフがタッチ操作で複数の番組を切り替えられるものもあります。
【関連記事:タッチパネル式デジタルサイネージとは?活用事例や導入のコツを解説】
人感センサー機能
人感センサー機能を搭載した電子POPなら、来客が視聴範囲に入ったことを感知して、特定のコンテンツを自動的にプッシュできます。一般的な電子POPはプレイリスト通りに画像や動画を配信するため、最も伝えたい情報が来客の目に留まらないことも多いでしょう。
人感センサー機能を活用すると、棚前を通過する瞬間を狙ってアピールしたいコンテンツを頭出しでき、視聴率や購買率の向上につなげやすくなります。この機能は、斜めからも視認性が高いIPSパネルと好相性です。
顧客行動の感知・判別・分析機能
電子POPは顧客行動分析のツールとしても活用できます。電子POPにAIカメラやモーションセンサーなど各種センサーを取り付けることで、通行者数・閲覧者数やスライド別・時間別の視聴者数、どの商品が最もよく手に取られているかなどを分析可能です。
各端末から収集したデータをクラウドに蓄積し、顧客属性や特定の商品・期間などと関連付けて詳細に分析することで、これまで見えていなかった重要なインサイトを得られるでしょう。
タイマー機能(スリープ機能)
電子POPは紙のPOPに比べてさまざまな面でメリットが大きい販促ツールですが、設置台数が多くなるほど電気代はかさみ、電源オン・オフの手間もかかります。
タイマー機能(スリープ機能)を搭載した電子POPなら、指定時間に自動的にシャットダウンしたりディスプレイのみ消灯してスリープモードに入ったりでき、再起動の自動化も可能です。省エネ性能を高め、店舗スタッフの負担も抑えられるため、多台数の運用時に役立つでしょう。
電子POPの具体的な活用例
電子POPは小売店と相性のよい販促ツールです。エンドで連動型の訴求により購買率を向上させたり、重点販売商品コーナーで付加価値をアピールしたりできます。またタッチ対応コンテンツで同カテゴリの商品検索を補助することも可能です。
エンドで連動型の訴求により購買率の向上
メイン通路に面するエンドは、購買率の向上や中通路への誘導を目指したいスペースです。電子POPを活用すれば、特定メーカーの新商品や大量陳列と連動した訴求がしやすくなります。
例えばシェルフ型デジタルサイネージを活用すれば、大型の電子POPによるトップボードをアイキャッチとしつつ、プライスレール型の電子POPなどと連動した訴求が可能です。タッチパネル機能のあるプライスレールなら、タッチ操作による詳細情報の確認や操作情報のログ取得などに対応でき、より効果的な訴求を目指せます。
重点販売商品コーナーで付加価値をアピール
特選品・特売品などを陳列する重点販売商品コーナーは、紙のPOPで分かりやすいメッセージを伝えることがよく行われます。初見のインパクトは強いものの、情報量が少なく、商品の価値やメリットが伝わらないこともあるでしょう。
ここでも電子POPが活躍します。食材なら「生産者の顔」や関連食材を使った調理例、化粧品や家電製品なら品質・機能や「なぜ必要か」など、映像と音声を使って付加価値をアピール可能です。電子POPが自動的に商品説明をするため、売り場スタッフの負担を軽減でき、紙の張り替えや廃棄のコスト削減効果も期待できます。
タッチ対応コンテンツで同カテゴリの商品検索を補助
同カテゴリの商品が多数陳列されるスペースで、紙のPOPで各商品の情報を伝え切れないような場合、タッチパネル式の電子POPが有効です。
例えばワインなら産地や相性のよい料理、目薬なら症状別に項目エリアを分けたタッチ対応コンテンツを作成し、来客自身で希望の商品を検索しやすくします。特に見た目で比較するのが難しい商品カテゴリの場合、タッチ対応コンテンツは顧客体験の向上にも役立つでしょう。
イッツコムはクラウド型の電子POPの導入・運用をサポート
イッツコムは東急グループの駅・商業施設・電車内などで培った豊富な実績により、クラウド型の電子POP・デジタルサイネージの導入・運用をきめ細やかにサポートできます。また、売り場のWi-Fi接続を漏れなく快適にできる「かんたんWi-Fi」のセット導入も可能です。
初めての運用でも安心なクラウド型デジタルサイネージ
クラウド型デジタルサイネージは汎用性・利便性・訴求力が高く魅力的なメディアですが、部分的なサポートに留まる事業者もあり、導入・運用に不安を感じるかもしれません。
その点イッツコムは、素材(静止画・動画)を用意するだけで遠隔でコンテンツ更新が可能なクラウド型デジタルサイネージを提供しています。PC1台で複数端末・複数拠点の一括管理ができ、人件費削減にも効果的です。
他にも、USBメモリでコンテンツ管理するUSB型サイネージ、導入後すぐに利用できる屋内スタンド型のスターターセットも準備しています。
また、外部情報との連携や配信コンテンツの運用をオーダーメイドでお手伝いするカスタムプランも利用可能です。遠隔保守サービス・駆けつけ保守サービスも付帯するため、安心してデジタルサイネージを運用できます。
「かんたんWi-Fi」で売り場のWi-Fi接続を漏れなく快適に
クラウド型の電子POP・デジタルサイネージを運用するには、店舗にネットワーク環境が必要です。有線LANはLANケーブルの取り回しが難しく、データSIMはパケット通信料がかさむため、Wi-Fi接続をおすすめします。しかしWi-Fiルーター1台では電波の死角が生じることもあるでしょう。多くの電子POPを設置する場合は最大同時接続台数も懸念点です。
これらの課題は、高性能Wi-Fiアクセスポイント(AP)を低コストでレンタルできる「かんたんWi-Fi」で解決できます。ケーブル接続だけで使い始められ、365日9~21時のヘルプデスクも標準付帯するため、専門知識は必要ありません。
Wi-Fi6対応の「ハイエンド6」プランのAPなら、最大同時接続台数は100台/1APで、フリーWi-Fiの提供に必要なゲストWi-Fi機能も充実しています。電子POPはもちろん、売り場スタッフ用・来客用の快適なWi-Fi環境も同時に整備できるのが強みです。
【関連記事:Wi-Fiのアクセスポイントとは?LANの仕組みや機器の機能も一挙解説】
まとめ
電子POPは画像・動画・音声を使って商品CMや耳寄り情報などを配信でき、紙のPOPよりも高い訴求力を期待できます。タッチパネル機能による接客の自動化、各種センサーを組み合わせた顧客行動分析など、活用の幅が広いことも特徴です。インターネット経由でコンテンツ更新ができるクラウド型の電子POPなら、多台数の運用も容易になります。
イッツコムはクラウド型デジタルサイネージとWi-Fiサービスを提供しており、電子POP・デジタルサイネージの運用をきめ細やかにサポートできるのが強みです。電子POPの導入をお考えなら、初めての導入・運用でも安心なイッツコムにご相談ください。