オフィス向けスマートロックの比較ポイントは?安全な鍵管理のコツ
目次
スマートロックをオフィスに導入すると、詳細な入退室管理やセキュリティ強化などに役立ちます。機種と管理システムの組み合わせによって、利用できる解錠方法や管理機能は異なります。用途や設置場所に合わせて、最適なシステムを導入しましょう。
そこで本記事では、オフィス向けスマートロックの機能や導入メリット、選び方を解説します。IPカメラや予約システムとの連携機能にも着目しましょう。
オフィス向けのスマートロックとは?仕組みや主な機能
スマートロックはオフィスの入退室管理に役立つシステムです。配線工事不要でスマホやICカードを解錠ツールにでき、クラウド型のシステムで多彩な管理機能を活用できます。まずは、オフィス向けスマートロックの仕組みや主な機能を解説します。
配線工事不要でスマホやICカードを解錠ツールにできる
スマートロックとは、機器本体をサムターンに取り付け、スマホ・ICカード・暗証番号などを解錠キーとして施解錠ができるシステムです。物理的な鍵を差し込むことなく、システム上で設定した解錠キーを使用し、電池駆動の機器でサムターンを回します。電力供給のために配線工事が必要な電気錠と区別され、電子錠とも呼ばれます。
製品によって対応する解錠方法が異なり、主に以下のような解錠方法の中から1つまたは複数のものに対応します。
- 機器本体にスマホを近付ける、または専用アプリを操作
- 社員証などのICカードをカードリーダーにタッチ
- 暗証番号をキーパッドに入力
【関連記事:スマートロックとは?導入メリット・注意点やおすすめの選び方を解説】
クラウド型のシステムで多彩な管理機能を活用できる
スマートロックは機器本体や付属のゲートウェイ(中継器)に無線通信機能があり、クラウド型のシステムで管理するものが一般的です。Webブラウザや専用アプリから解錠キー付与など各種設定を行い、入退室の状況なども一覧できます。システムによって機能は異なりますが、オフィス向けスマートロックの一般的な機能は以下の通りです。
- 施解錠:解錠時は解錠キーとして設定したスマホやICカードなどを使用、施錠時は基本的にオートロック
- 入退室管理:施解錠の状態をシステム上に自動反映し、ドアごとやユーザーごとの入退室履歴を一覧できる
- 解錠権限の設定:特定のユーザーやグループに対する鍵の発行や無効化、解錠できる期限やエリアの制限など
- 複数拠点の一元管理:特定のオフィス内の全ドア、さらに別拠点の全ドアも1つのシステムで管理
- 遠隔解錠:システムによっては、特定のドアを遠隔で解錠できる
- 外部システム連携:APIを介して、運用中の勤怠管理システムやPMS(ホテル管理システム)などと連携できる
オフィスにスマートロックを導入するメリット
オフィス向けスマートロックを導入すると、管理者は「サーバルームに入退室できる従業員は○○のみ」「入退室可能な時間帯は○時〜○時のみ」など詳細な設定ができます。PマークやISMS認証の取得に向けた対策としても有効です。
詳細な入退室管理とセキュリティ強化
オフィスにスマートロックを導入することで、物理的な鍵の貸し出しや保管ではなく、システム上で権限を設定して入室管理ができるようになります。さらに、物理的な鍵では難しい「入室可能な時間」の管理も、スマートロックなら簡単に行えます。
スマートロックは操作履歴が自動的にシステムに記録され、「誰がいつどこに入退室したか」をリアルタイムで確認できます。また、一部のシステムでは曜日や時間帯ごとに特定のユーザーやグループの入退室エリアを制限でき、施設管理の効率化に大いに役立ちます。
さらに、オートロック機能によって鍵の閉め忘れを防ぎ、万が一鍵を忘れて閉め出されても、遠隔解錠機能で迅速に対応可能です。これらの管理業務は、PC1台で簡単に実施できます。
鍵管理の物理的手間を削減
物理的な鍵の受け渡しが必要なくなることも、オフィスにスマートロックを導入するメリットです。スマートロックの鍵は電子的に管理され、解錠キーの付与や無効化はインターネット経由で行えます。
1つのドアに対して複数の合鍵を作成して保管する必要がなく、貸し出しや返却に伴う手間も削減できます。また、貸し出し中の紛失や保管中の盗難、さらには無断複製といった物理的な鍵特有のセキュリティリスクを排除できる点も大きなメリットです。
アルバイトやインターン、清掃スタッフなどに対して、特定エリア内のみの一時的な解錠権限を付与することも可能です。
API連携で勤怠・所在管理を実現
スマートロックのシステムによっては、APIを利用して勤怠管理システムと連携させることが可能です。この仕組みを利用すれば、従業員が出社や退社時にスマートロックを操作した際の入退室履歴を、勤怠管理システムに自動で反映できます。
各種履歴はシステム上に即時反映されるため、「誰がどこにいるか」という所在確認もリアルタイムで行えます。打刻漏れの防止や休憩・営業などでの外出履歴の把握にも役立ち、勤怠状況を効率的に管理できるようになります。
スマートロックのハッキングリスクや導入費用は?
スマートロックは、セキュリティ管理の効率化に役立つ一方、ハッキングリスクや費用面での検討が必要です。ここでは、リスク対策と導入費用について解説します。
「解錠操作の瞬間」のハッキングリスクは対策できる
スマートロックは、施解錠やクラウドサーバとのデータ送受信時にBluetoothやWi-Fiを使用して無線通信を行います。一時的で近距離の通信とはいえ、通信の傍受によるハッキングリスクが懸念される場合もあります。
特に解錠操作の瞬間、電波の届く範囲内に第三者がいると、解錠キーのデータを盗まれる可能性があります。ドア付近で解錠操作を待つ不審人物に注意することで、こうしたリスクを軽減できます。また、SSL通信やAES256暗号化を採用した製品を選ぶことで、さらに安全性を高めることができます。
運用中の費用として電池交換も視野に入れたい
スマートロックの導入に当たって、初期費用として機器の購入費用や取付工事費用がかかります。ランニングコストとしてかかるのは、クラウドサービス(管理システム)の月額利用料金や、電池の交換費用です。料金体系はサービスによって異なり、初期費用無料のサービスもあれば、「ドア1つ当たり月額○○円」といったサービスもあります。
スマートロックは電池が切れると解錠操作などを行えなくなるため、定期的な電池交換が必要です。電池切れの際にドア前面から給電できる製品を選ぶなど、緊急時の対応も想定しておきましょう。
オフィスに導入するスマートロックの選び方
オフィスに導入するスマートロックは、「オフィス向け(法人向け)」の製品の中から、利便性や安全性に優れたものを選びましょう。設置方法や解錠方法の他、IPカメラ連携でセキュリティを強化できるかどうかも注意したいポイントです。レンタルスペースで活用する場合、予約システムと連携できる製品を選びましょう。
「オフィス向け(法人向け)」の製品や管理システムを選ぶ
まず必須条件として、オフィス向け(法人向け)の製品や管理システムを選ぶことが重要です。
スマートロックはECサイトなどで手軽に購入できる製品もありますが、基本的には一般家屋向けで、個人や家族による鍵管理を想定しています。このため、「多数のドアや拠点を一元管理できない」「各従業員の解錠権限を詳細に設定できない」といった制限があり、入退室管理やセキュリティの面で懸念があります。
オフィス向けの製品・管理システムは、オフィス内の全てのドアや複数拠点を一元管理でき、従業員や来客などユーザー属性に応じた解錠権限を細かく設定することもできます。製品単体の価格や導入の容易さだけでなく、管理上必要となる機能もよく検討しましょう。
原状回復に支障がなければ「交換タイプ」の製品を選ぶ
スマートロック本体の設置方法は、後付けタイプと交換タイプに大別できます。
後付けタイプは、機器本体をサムターンの上から貼り付けるものです。両面テープなどで簡単に取り付けられますが、脱落しやすく、故意に取り外すことも容易です。一般家屋の玄関ドアなどでは便利に活用できますが、セキュリティが重視されるオフィス向きではありません。
交換タイプは、キーシリンダーやサムターンを交換するものです。ドアの穴開け工事が必要なものもあれば、不要なものもあります。出入りの多いドアにも確実に取り付けられますが、賃貸物件の場合は原状回復に支障がないものを選びましょう。
設置場所・用途に応じて利便性の高い解錠方法の製品を選ぶ
スマートロックはスマホやICカードなど、従業員の所有物を解錠キーとして利用できます。製品によって選択できる解錠方法は異なるため、設置場所・用途に応じて、利便性の高いものを選びましょう。
スマホ解錠は、清掃スタッフや来客など、社外ユーザーへの一時的な解錠権限付与にも便利に活用できます。ICカードには社員証などを活用でき、ドア前面に専用のカードリーダーを取り付けることで運用を開始できます。どちらの解錠方法も、スマホやICカードの紛失時には解錠できません。閉め出し防止のために、遠隔解錠に対応している製品を選ぶと安心です。
暗証番号でも解錠できる製品なら、解錠ツールの紛失時にもキーパッド操作で入室できます。ただし暗証番号が漏えいすると不正入室の恐れがあるため、定期的な番号変更は重要です。ユーザーやグループごとに異なる暗証番号を割り当てられる製品を選ぶことでも対策できます。
IPカメラ連携でなりすましや共連れを防止できる製品を選ぶ
セキュリティをより強化するなら、IPカメラ(ネットワークカメラ)と連携できる製品を選ぶこともポイントです。
スマートロックは、解錠権限が付与されたスマホやICカードなどで解錠可能ですが、システム上の入退室履歴だけでは、確実に本人が通過したかを判断しづらい場合があります。また、正規ユーザーが解錠した際に別の人物が一緒に入室し、入退室管理の仕組みをすり抜ける不正入室のリスクも懸念されます。
こうしたなりすましや共連れによる不正入室への対策として、IPカメラとの連携が有効です。スマートロックと連動するIPカメラの映像を管理画面から確認することで、許可された入退室かどうかを目視で確認でき、セキュリティをさらに強化できます。
レンタルスペース活用なら予約システムと連携できる製品を選ぶ
オフィスの一角や店舗をレンタルスペースなどとして活用する場合、予約システムと連携できる製品・管理システムを選びましょう。物理的な鍵の受け渡しをなくし、予約や決済もオンラインで完結するため、フロントで有人対応する必要がなくなります。解錠可能な時間帯もユーザーごとに設定でき、24時間365日の無人運営も可能です。
従業員向けにも来客向けにも最適なスマートロック導入ならイッツコム!
イッツコムは、会議室や個室ブースなどの一時利用の管理に向いた「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」、オフィス全体の詳細な入退室管理ができる「Connected Portal(コネクティッドポータル)」を提供しています。
スマホ解錠でスペースの一時利用を管理するなら「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」
スマホを解錠ツールとして会議室や個室ブースなどの一時的な利用を管理する場合、誰でも簡単に利用できるシステムが有利です。
「Connected Space Share(コネクティッドスペースシェア)」なら、スペース利用の予約からスマートロック解錠まで、LINEアプリだけで完結できます。LINEアプリをインストール済みなら、その他の専用アプリをダウンロードする必要はありません。
LINE Payやクレジットカード決済(Stripe)によるセキュアな料金授受も可能で、ドロップイン形式のコワーキングスペース運用などにも活用できます。専用のダッシュボード(Webページ)から全スペースの予約状況やライブ映像、売り上げなどを一覧でき、清掃スタッフなどによる入退室も一元管理できます。
オフィス全体の詳細な入退室管理なら「Connected Portal(コネクティッドポータル)」
解錠ツールとしてICカードや暗証番号を活用するなら、「Connected Portal(コネクティッドポータル)」の導入がおすすめです。こちらは特定ユーザーに特定期間だけ利用可能な時限キーを発行する、API連携も可能なサービスです。解錠できる曜日や時間帯をユーザー個別に設定でき、オフィス全体の入退室管理に便利に活用できます。
スマートロック操作と連動したIPカメラや空調の管理、遠隔解錠にも対応し、施設管理の効率化に役立つシステムです。連携可能なスマートロックはキーシリンダーとサムターンを交換するタイプのため、原状回復が必要な賃貸物件でも穴開け不要で導入できます。
PMS(ホテル管理システム)とAPI経由で連携すると、予約から時限キー配布まで自動化でき、24時間営業の会員制店舗を無人運営する用途にも活用できます。
まとめ
スマートロックをオフィスに導入するなら、オフィス向け(法人向け)のサービスを選択するのがおすすめです。ビジネスユースを想定した管理システムは、複数のドアや施設を一元管理したり、ユーザーごとに解錠可能な範囲を個別設定したりできます。
IPカメラや予約システムと連携できるシステムなら、レンタルスペースの無人運営にも活用可能です。オフィス向けスマートロックの導入をお考えなら、ニーズに合った最適なシステムを提案できるイッツコムにご相談ください。