インターネット速度が遅い原因は?目安や原因別の対処法を徹底解説
目次
インターネット速度が遅い原因はデバイスやネットワーク機器の性能などの場合もありますが、最大通信速度を決定付けるのはインターネット回線です。デバイスやネットワーク機器を調整しても速度が改善しない場合、インターネット回線の強化が求められます。
インターネット速度に影響する要素や改善方法について、理解を深めたい方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、インターネット速度が遅い原因や対処法について紹介します。
インターネット速度が本当に遅いのかを確認しよう
インターネット速度に関わる主な要素は、上り・下りの通信速度やレイテンシです。通信速度は1秒間当たりに伝送できるデータ量、レイテンシはデータが届き始めるまでの遅延時間を指します。実際にどの程度の速度を発揮できているかは、無料のWebサービスで簡単に計測可能です。
インターネット回線の最大通信速度を確認
インターネット速度は利用中のインターネット回線サービスによって上限が決まっています。まずは契約中のプロバイダおよびプランのサービス紹介ページにアクセスするなどして、最大通信速度を調べましょう。
スペック上の通信速度はあくまで理論値です。実効速度(実際の通信速度)は理論値より十数%は遅くなり、回線の混雑具合や利用デバイスの性能などによって非常に低速になる場合もあります。
インターネット通信の実効速度を計測
実効速度は簡単に計測可能です。検索エンジンで「スピードテスト」や「速度テスト」とキーワード検索すると、Google公式の無料サービス「インターネット速度テスト」が表示されるでしょう。
「速度テストを実行」をクリック/タップすると、自動的に下り速度(ダウンロード速度)や上り速度(アップロード速度)と、レイテンシ(通信の遅延時間)が計測される仕組みです。
計測結果には数値情報に加え、「実効速度が速いのか遅いのか」「どの程度快適にインターネット利用ができるのか」という目安も表示されます。
通信速度(Mbps)やレイテンシの意味
通信速度は1秒間当たりにどれくらいの量のデータを送受信できるかを表します。例えば下り速度が1Mbps(megabits per second/メガビーピーエス)なら、1秒間に125KB(kilobyte/キロバイト)のデータを受信できるという意味です。下り速度が8Mbpsあれば、1MBのファイルを1秒で受信できます。
レイテンシは、データの伝送を要求してから実際にデータが届き始めるまでの遅延時間です。値が小さいほど、データ伝送の要求に対するレスポンスは速くなります。動画を受信し続けるなどの一方向的な伝送には問題になりませんが、頻繁に送受信を繰り返す双方向的な伝送の場合、快適な通信には低レイテンシであることが必要です。
インターネット速度が遅いと感じるのは用途に合っていない?
インターネット速度は一般的に上り速度・下り速度とレイテンシを指標として考えますが、快適な通信にどの程度の数値が求められるかはインターネットの用途によって変わります。
基本的にテキスト情報より映像情報のほうがデータ量は多いため、快適にアップロード/ダウンロードするにはデータ量に応じた通信速度が必要です。また双方向的な通信の場合、レイテンシの大きさも影響します。
動画閲覧の目安
動画を快適に閲覧するために必要な通信速度は、一般的な動画品質で下り3Mbps程度です。4K動画など高画質な動画の場合、下り25Mbps以上が求められることもあります。
同じ動画を視聴し続ける場合、重要なのは下り速度です。視聴する動画を切り替える場合などを除き、上り速度やレイテンシはあまり問題になりません。
Web会議や動画配信の目安
Web会議や動画配信を行う場合、一般的な動画品質でも上り・下りともに最低でも3Mbpsは欲しいところです。同時に参加する人数や画質などによっては、15Mbps以上の通信速度が求められる場合もあります。
レイテンシは30ms未満が望ましいでしょう。双方向的な通信だとアクションのたびにレイテンシが発生するため、高レイテンシだと毎回の遅延時間がストレスになります。
Web閲覧の目安
Web閲覧の場合は下り速度が重要です。テキストがメインのWebページなら下り1Mbpsでもスムーズに受信できます。動画や高画質な画像を含む場合、10Mbps以上が必要になることもあるでしょう。レイテンシは50ms未満であれば特にストレスなく受信できます。
メールやチャットの目安
メールやチャットはテキストだけの送受信なら上り・下りともに128Kbps以上あれば十分です。1Mbps以上あればスムーズにやり取りできるでしょう。
ただしファイルの送受信や大量のメールの一括受信をする場合、低速・高レイテンシなインターネット回線だと時間がかかる場合もあります。
オンラインゲームの目安
オンラインゲームの場合、快適にプレイできる通信速度の目安は上り・下りともに30Mbps程度です。高精細な3Dグラフィックなど通信データ量が多いゲームの場合、100Mbps以上が必要になる場合もあります。
レイテンシは基本的に30ms未満、アクション系のゲームで高レスポンスを求めるなら15ms未満や10ms未満であることが必要です。
インターネット速度が遅い原因
インターネット速度にはデバイスからプロバイダ設備までのさまざまな要素が影響します。例えば、デバイスの処理速度やネットワーク機器による速度制限です。インターネット回線の配線方式によってスペック上の通信速度を発揮できない場合もあります。
デバイスの処理速度
インターネット通信の体感速度は、デバイスの処理速度に大きく影響します。実際に発揮できるインターネット速度は高速でも、デバイスの処理速度が遅いことで、ダウンロードや表示に問題が生じるケースは珍しくありません。処理を滞らせる原因は以下のようなものです。
・CPUの性能不足
・メモリ使用量が多過ぎる
・ストレージの空き容量が不十分
・セキュリティソフトなどがデータ処理に介入している
使用中のWebブラウザやゲームなどのアプリ自体も、複雑なプログラムやバグなどの問題で、体感速度に影響することもあります。
ネットワーク機器による速度制限
デバイスに問題がなくても、LAN内の通信経路でインターネット通信速度が制限されているケースもあります。例えばLANケーブルが古い場合です。LANケーブルは規格上の最大通信速度が決まっており、光回線による高速通信を想定していないものもあります。
Wi-Fi接続の場合は電波を用いてWi-Fiルーター・デバイス間を接続するため、速度低下を招く原因は複雑です。例えば以下のような原因を挙げられます。
・機器の仕様により、Wi-Fi区間の最大通信速度が遅い
・同時接続台数が多過ぎる
・Wi-Fiの電波が混信や減衰を起こしている
・故障や内部的なエラーを起こしている
【関連記事:Wi-Fiとは?利用シーンや関連知識を初心者にも分かりやすく解説】
インターネット回線の配線方式
インターネット回線は光回線が主流ですが、オフィスビルやマンションといった施設の場合、電柱から引き込んだ光ファイバーケーブルは施設内の設備から各戸に分岐されます。施設内の配線方式は以下3種類です。
・光配線方式:室内の光コンセントまで光ファイバーケーブルを配線。最も高速
・LAN配線方式:施設内まで光ファイバーケーブル、室内までLANケーブルを配線。設備・ケーブルが古いと低速な場合も
・VDSL方式:施設内まで光ファイバーケーブル、室内まで電話回線を配線。最も低速
配線方式によっては通信経路に古いLANケーブルや電話回線を含むため、最大通信速度は理論値を大幅に下回るケースもあります。
インターネット速度が遅い原因の見極め方
インターネット速度が遅い原因を探るには、まず問題の切り分けを考えてみることがおすすめです。簡単にできる方法として、Wi-FiではなくLANケーブルでルーターに接続してみることや、複数デバイスでインターネット速度を比較することを挙げられます。さらにデバイスの問題を探って原因不明なら、インターネット回線に問題があるかもしれません。
LANケーブルで接続してみる
インターネット回線が遅い場合の問題の切り分けをするなら、まずデバイスとルーターをLANケーブルで接続してみることがおすすめです。Wi-Fi接続・有線接続でインターネット速度を比較すれば、原因がWi-Fi関連のものか否かを区別できます。
PC・スマホ・タブレットなど手持ちのデバイスが複数あるなら、各デバイスでインターネット速度を比較してみましょう。これでデバイス固有の問題かどうかも切り分けができます。
タスクマネージャーを起動して確かめる
PCの場合、タスクバーからタスクマネージャーを開くと、PC上で現在起動しているソフトウェアの一覧が表示されます。常に起動しているソフトのことを「常駐ソフト」といいますが、これが多過ぎると計算リソースを圧迫し、インターネット速度も低下します。
この中で特に重視すべきなのはCPU使用率です。CPUが働き過ぎているとPCの動作が遅くなり、インターネットもつながりにくくなります。CPU使用率が30%を超える常駐ソフトを見つけたら、「タスクを終了」ボタンを押して作動を止めましょう。
常駐ソフトを削除してみる
不要な常駐ソフトが多く見つかった場合は、常駐ソフトを削除して様子を見ます。Windowsの場合は「プログラムの追加と削除」を開き、インストール済みのソフトを一覧で確認します。この中から不要なソフトをアンインストールしましょう。
優先的にアンインストールするべきなのは、先ほどもお伝えしたCPU稼働率の高いソフトやアプリです。ストレージの容量が圧迫されることでも回線速度低下が起きますので、ファイルサイズが大きい不要ソフトを削除することもおすすめです。
PCの性能を確認してみる
PCの性能が現代の通信速度に合っているかどうかは、システム情報を開示すると分かります。Windowsの場合は「Windows管理ツール」からシステム情報を開きましょう。ここではメモリの使用状況を確認することが可能です。
注目すべきなのは「利用可能な物理メモリ」です。ここに1GB以上の余裕があれば、回線速度に悪影響を与えていないと判断できます。それ以下に落ち込んでいる場合は、前述した常駐ソフトの削除を行いつつ、メモリ増設も視野に入れましょう。
インターネット速度が遅いときの対処法
インターネット速度の遅さを解消する方法として、まず試したいのはデバイスやネットワーク機器の再起動です。解決しなければPCの環境改善やWi-Fiルーターの位置調整、有線接続の場合はLANケーブルの買い替えなどを試します。それでも解決しなければ、インターネット回線の乗り換えや冗長化を検討しましょう。
デバイスを再起動する
インターネット速度が遅いときのシンプルな解決方法は、PCやスマホなどのデバイスを再起動することです。デバイスの起動時間が長いと、不要なデータやエラーなどが蓄積され、処理速度の低下や接続の不具合を招きます。
再起動をするだけでメモリや起動アプリ、ネットワーク接続などの状態がリセットされるため、一時的な問題ならこの方法で解決可能です。再起動後にインターネットへの再接続を試してみましょう。
Wi-FiルーターやONUを再起動する
光回線を契約するとONU(光回線終端装置)やWi-Fiルーター(ホームゲートウェイ)を設置することが一般的です。
これらの機器は通常、24時間365日常時稼働しています。しかし精密機械であるため、起動時間が長くなると熱やエラーの蓄積などにより、不具合を起こすことも珍しくありません。
再起動すれば一時的な不具合は解消できます。Wi-Fiルーター→ONUの順番にコンセントを抜き、10秒ほど待ってからONU→Wi-Fiルーターの順番に電源を再接続しましょう。
デバイスの環境を改善する
デバイスに搭載されたOSは定期的に更新プログラムが配布されます。これをインストールせずに放置していると、最新の通信規格にマッチしなくなったり、動作に問題が起きたりして通信速度が低下するため、最新の状態に更新することも重要です。
同様にWebブラウザが最新の状態になっているかどうか、メモリが不足していないかどうかも確認します。メモリは4GB以上の容量があると理想的です。PCの場合、デバイス本体を買い替えなくても、メモリを増設して対処することも可能です。
Wi-Fiの電波を届きやすくする
Wi-Fi接続の場合、Wi-Fiルーターとデバイスの位置関係などにより、Wi-Fi区間の通信速度が低下しているケースもあります。Wi-Fiルーターは以下のような点に注意して位置調整をしましょう。
・Wi-Fiルーターはなるべく高い場所に置く
・Wi-Fiルーター・デバイス間にコンクリートの壁など障害物を挟まないようにする
・Wi-Fiルーターとデバイスの距離をなるべく近付ける
・電子レンジや他のWi-Fi機器・Bluetooth機器など、2.4GHz帯の電波を使用する機器を遠ざける
Wi-FiルーターがマルチSSIDに対応していれば、接続先SSIDを切り替えることも効果的です。デバイスのWi-Fi設定から、電波干渉を起こしにくい5GHz帯や6GHz帯のSSIDに切り替えてみましょう。
【関連記事:Wi-Fi6とは?5Gとの違いやメリット、おすすめ機器をわかりやすく解説】
LANケーブルを買い替える
有線接続の場合、LANケーブルのコンディションが悪化していることや、破損していることが原因で速度低下することがあります。長期間に渡って使用している場合、ケーブル内の一部が断線することがあり、これも速度低下の原因です。
ケーブルの規格にも注目しましょう。LANケーブルには通信速度別の規格があり、例えば「CAT5」の場合は100Mbpsまでの通信速度にしか対応できません。光回線に対応するクオリティを備える「CAT6」以上の規格への買い替えがおすすめです。
IPv6 IPoE対応の光回線に乗り換える
光回線はインターネット接続方式によって通信速度の安定性が大きく異なります。
従来のインターネット接続方式「IPv4 PPPoE」は、プロバイダの網終端装置(NTE)を経由し、ID・パスワードによるユーザー認証が必要です。通信速度は同時接続する契約ユーザー数に影響を受けやすく、夜間・休日など混雑する時間帯は非常に低速になる場合もあります。
新しいインターネット接続方式「IPv6 IPoE」は、網終端装置を経由せず、アクセス回線そのものにより利用者の識別を行うものです。これによりプロバイダに依存する通信速度低下を回避できます。時間帯によって通信速度に大きな差が出るなら、IPv6 IPoEに対応しているプロバイダ・プランへの乗り換えを検討しましょう。
【関連記事:Wi-Fi6とIPv6の違いとは?メリットや利用方法をわかりやすく解説】
インターネット回線を冗長化する
専用線以外の光回線は施設内や近隣家屋の契約ユーザーと通信帯域を共有するため、近隣住民のデータ通信量が多過ぎるなどの理由で、利用できる通信帯域が圧迫される場合もあります。
また契約する光回線が1つだけだと、障害発生時やメンテナンスの時間帯にはインターネット通信自体ができません。
より安定したインターネット環境を求めるなら、インターネット回線の冗長化(二重化)も検討しましょう。契約中の回線事業者とは別の回線を併用することで、通信帯域の圧迫や障害・メンテナンスがあっても、快適な高速通信を継続できます。
【関連記事:インターネット回線の冗長化とは?仕組みや具体的な構成例を一挙解説】
インターネット速度の遅さを根本的に解決するなら「イッツコム光接続サービス」がおすすめ!
インターネット速度が遅い問題を根本的に解決する方法は、通信速度・安定性の高い光回線を利用することです。乗り換えはもちろん、2回線目の契約もできます。
「イッツコム光接続サービス」は、法人の回線強化ニーズに最適です。下り最大2Gbps・上り最大1Gbpsの高速回線である上、IPv6 IPoEに標準対応するため、時間帯にかかわらず快適なインターネット通信ができます。
2回線目の光回線としても最適です。イッツコム自前の光回線網による独自回線であるため、NTT系の光回線に障害が発生したときも、継続して利用できます。契約期間の縛りもなく、一時的な回線強化のニーズにも対応可能です。
まとめ
インターネット速度が遅い原因はさまざまですが、最も根本的な原因は契約中のインターネット回線です。インターネット回線を強化すれば、Wi-Fiルーターやデバイスの性能を生かし、快適なインターネット通信ができます。
イッツコムが提供する「イッツコム光接続サービス」は、乗り換えはもちろん2回線目の光回線としても最適です。インターネット速度の遅さにお悩みなら、ニーズに合った改善プランを提案できるイッツコムにご相談ください。