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病院における多言語対応の必要性とは?導入のメリットや注意点を解説

近年、訪日外国人や在留外国人の増加に伴い、病院での多言語対応の必要性が高まっています。言葉の壁は単なるコミュニケーションの問題だけでなく、医療方針や患者満足度、経営効率にも直結する重要な課題です。

しかし、どのような方法で多言語対応を進めるべきか分からないという方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、病院における多言語対応の具体的な導入方法を紹介します。導入時に知っておきたい注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

外国人患者は増加中?病院における多言語対応の必要性

病院での多言語対応導入を検討するにあたって、「どのくらいの方が、なぜ他言語対応を必要としているのか」を把握することは重要です。まずは、外国人患者数の推移や、外国人患者受け入れに関する認定制度、受診時に起こりやすい問題点について紹介します。

日本における外国人患者数の推移と病院の受け入れ状況

近年、日本における外国人患者数は増加傾向にあります。厚生労働省の「令和5年度 医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」によると、調査に回答した全国約6割(5,184病院)の医療機関のうち、約5割が外国人患者の受け入れ実績を有していることが分かりました。

2024年の訪日外客数が年間3,600万人を突破し過去最多となったことを考えると、今後さらに外国人患者は増加すると予測されます。

一方で、病院の多言語対応体制はまだ十分とはいえません。自院の外国人患者受診状況を把握していない医療機関は約4割、受け入れ体制の「現状把握および課題抽出」をしていない医療機関は約9割にのぼります。医療通訳者の配置や多言語化対応も地域によって格差があり、病院における多言語対応の整備は急務となっています。

外国人患者が多い病院と認定制度

同調査では、医療機関全体の外国人患者の受け入れ実績が約5割であるのに対し、「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」における受け入れ実績は約8.5割と高い結果でした。「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」とは、要件を満たし、かつ外国人患者の受け入れに協力できる医療機関のことで、都道府県ごとに選出(募集)されます。

また、以下の認定制度を取得した医療機関では、外国人患者の受け入れ実績が約9.5割とさらに高く、多くの外国人患者を受け入れていることが分かります。これらの認証取得は、院内の意識向上や体制整備の推進力となるだけでなく、外国人患者誘致にも効果的です。

・JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度):多言語による診療案内や宗教などに配慮した対応など、外国人患者が安心・安全に日本の医療サービスを受けられる体制が構築された医療機関を認証する制度。

・JIH(ジャパンインターナショナルホスピタルズ):日本での治療や診断を希望する渡航受診者の受け入れに積極的な医療機関を認証する制度。

外国人患者に起こり得る病院での問題点

外国人患者が日本の病院を受診する際、言語・文化・制度の3つの壁が大きな障壁となっています。

言語の壁では、患者が症状を正確に伝えられないことが最大の問題です。医療従事者の多くは日本語を母語とするため、医療通訳の不足や専門用語の誤訳により、誤診や不適切な治療につながるリスクが高まります。

文化の壁では、宗教的配慮も求められます。例えば、イスラム教徒女性の場合、夫や家族以外の前では基本的に肌を露出しません。女性医師がいなければ、診療・検査の必要性を説明した上で、受診の意志を確認する必要があります。

制度の壁としては、保険制度や診察の流れ、支払い方法の違いによって混乱が生じることがあります。海外旅行保険の加入状況確認や、キャッシュレス決済への対応も課題です。

病院の多言語対応がもたらす3つのメリット

病院における多言語対応は、外国人患者と医療スタッフの間に存在する言語の壁を取り除くことで、さまざまなメリットをもたらします。病院の多言語対応がもたらす具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。

医療ミスのリスクを低減できる

医療ミスを防ぐには、患者と医療従事者のコミュニケーションが不可欠です。外国人患者が自身の症状や既往歴を母国語で正確に伝えられると、医師は的確な診断を下せるようになります。

また、処方薬の服用方法や治療計画の説明も患者の理解しやすい言語で行えるため、治療の順守率が高まり、誤った薬の飲み方や治療中断などのリスクも減少します。

患者の安心感や満足度が向上する

病院で多言語対応を実施することは、外国人患者に大きな安心感をもたらします。母国語で医療情報を得られることで、診断内容や治療方針を正確に理解できるようになるからです。

複雑な医療処置や手術の説明を受ける際、自分の理解できる言語で情報を得られれば、質問もしやすくなり、インフォームドコンセント(十分な説明に基づく同意)も適切に行えるようになります。また、総合案内や受付、検査の案内といったコミュニケーションが円滑に進むことで、患者の満足度も向上し、外国人患者数の増加も期待できます。

時間の節約や収益向上につながる

通常、言語が通じない場合、身振り手振りや簡単な英語での説明に多くの時間を要します。しかし、多言語対応により患者が母国語で情報を得られれば、説明に費やす時間も減り、医療スタッフの負担も軽減されるでしょう。

また、診療の効率化によって1日に対応できる患者数が増えることで、病院の収益向上にもつながります。多言語対応は単なる患者サービスではなく、病院経営の効率化という側面も持ち合わせているのです。

病院で実施されている多言語対応の具体的な方法

外国人患者とスムーズにコミュニケーションを取るための体制整備は、今や病院における重要な課題です。ここでは、病院で実際に行われている多言語対応の具体的な方法について解説します。

医療通訳や専門部署の設置

医療通訳は、外国人患者と医療従事者の間の言語・文化の壁を取り除く専門家です。厚生労働省は、家族や友人による通訳ではなく、医療知識と通訳倫理を備えた専門通訳者の活用を推奨しています。これは、医療知識の不足によるトラブルや通訳者への責任を回避するためです。

医療通訳の利用方法には、通訳者の直接雇用・派遣依頼・電話やインターネットを用いた遠隔サービスなどがあります。通訳者によって使用できる言語は異なるため、直接雇用の際は対応言語の数や種類に注意が必要です。

外国人患者の来院数が多い病院では、「国際診療部」などの専門部署を設置するケースもあります。この部署は医療通訳の手配や外国人患者からの相談対応、部署間連携による受け入れのサポートなどを担当します。専門部署の設置は、スタッフの業務負担軽減だけでなく、外国人対応に関する情報やノウハウを集約できるのもメリットです。

病院内の資料・案内の多言語化

病院内の資料や案内の多言語化は、外国人患者受け入れにおいて欠かせない要素です。日本語での会話ができる外国人でも、文字の読み書きが苦手なケースは少なくありません。

特に、問診票や手術同意書といった重要書類は、患者が確実に理解できる言語で提供することが重要です。厚生労働省で作成された、医療機関を対象とした外国人向け多言語説明資料を活用する方法もあります。

院内表示については、全てを多言語化するより優先順位をつけた対応が現実的です。まずは各フロアの案内図や窓口表示、災害時の案内、危険区域の表示など、安全に関わる表示から始めるとよいでしょう。

翻訳ツールの導入

翻訳サイトや翻訳機などの翻訳ツール導入は、外国人患者とのコミュニケーションを円滑にする有効な手段といわれています。

Web上には無料の翻訳サイトもありますが、病院では医療特有の表現や複雑な説明に対応する必要があり、翻訳精度が高いツールの選定が求められます。また、情報漏洩リスクにも注意が必要です。そのため、基本的には翻訳機など有料ツールを使用し、専門的で個別性の高い内容については医療通訳を依頼するといった使い分けも検討するとよいでしょう。

【関連記事:無料翻訳ツールの危険性|情報漏洩リスクと安全な対策とは

翻訳ツールの導入成功事例から見る多言語対応の課題

成田国際空港付近の成田赤十字病院において、受付や会計窓口業務などを請け負う株式会社ニチイ学館では、英語以外の言語を話す患者数の増加や、対応スピードに課題を感じていたそうです。

語学堪能なスタッフを配置した専門部署が設置されていますが、タイ語・ベトナム語・ペルシャ語など英語以外を話す患者の増加により、対応が難しいことも増えていたといいます。翻訳用タブレットでの対応については、都度文章の打ち込みに時間がかかることや翻訳の精度が低いことが問題視されていました。

そこで、新たな翻訳ツールとして、対応言語数が多い翻訳機(ポケトーク)を導入します。結果、比較的簡単なやりとりは翻訳機での対応が可能になり、対応スピードが上がったほか、希少言語も網羅されていてスタッフの安心感にもつながったとのことです。

診療内容など重要かつ専門的な内容が多い場面では、通話による通訳サービスを組み合わせて利用し、業務効率と安全面の両立を実現しています。

病院の多言語対応はイッツコムにお任せ!

病院の多言語対応において、複数言語に対応した翻訳ツールは重要な役割を担います。

イッツコムでは、通訳がいるかのように対話が可能なAI翻訳機「ポケトーク」を提供しています。低コストでありながら、双方向の自動翻訳やカメラ翻訳が可能なため、これから多言語対応を進めるという病院にもおすすめです。

対応言語数が豊富で言語選択も容易

多言語対応ツール「ポケトーク」は、対応言語数の豊富さが魅力です。

<対応言語(※2025年3月現在)>
Sシリーズ:85言語(うち74言語が音声とテキスト、11言語がテキストのみ)

国旗をタップすることで、各国で使用されている言語が一覧表示されるため、患者の言語が特定できない場合も簡単に言語選択が可能です。言語選択後にボタンを押しながら話しかければ、翻訳結果が音声として出力されます。

体調悪化などにより余裕のない状況になりやすく、さまざまな国からの患者が訪れる病院において、対応開始までの時間が最小限に抑えられるポケトークは強い味方となるでしょう。

多機能で翻訳精度が高い

ポケトークの特長は、翻訳精度の高さや機能の多さです。

カメラ翻訳機能は、撮影したテキストを自動で認識・翻訳できるため、患者が母国から持参した処方箋を読み取るという使い方も可能です。実際にポケトークを導入した病院では、何語か分からなくても自動で言語を特定してくれて便利だったという声もありました。

また、文章登録機能があり、使用頻度が多い文章を事前に登録しておくことで、薬局や精算場所への案内といった受付業務の効率化が図れます。

初期費用無料!導入しやすいお得なプラン

イッツコムでは、法人向けにポケトーク本体と法人データSIMをセットにしたレンタルプランをご用意しています。ポケトークSシリーズのレンタルプランは、初期費用は無料、1台につき月額1,900円(税抜)です。本体の購入が不要で高機能な翻訳機を導入できるため、初めて翻訳機を導入する病院にもおすすめです。

まとめ

訪日外国人や在留外国人の増加に伴い、今後さらに外国人患者は増加すると予測されています。医療ミスのリスク低減、患者の安心感・満足度の向上、業務効率化のためにも、病院における多言語対応は急務といえます。

翻訳ツール導入の成功事例から、対応言語数の多さや操作の容易さが重要であると分かりました。診察内容やインフォームドコンセントといった重要な内容の翻訳は、医療通訳や通話による通訳サービスとの組み合わせも検討しながら、患者と正確なコミュニケーションを取れる環境を整えましょう。

イッツコムでは、ポケトークSを初期費用無料でレンタル提供しています。コストを抑えつつ、高精度で多機能な翻訳ツールをお求めなら、ぜひポケトークの活用をご検討ください。